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#研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(11)

東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT MOMEN)に2020年の8月に採択され、プログラムは委託先のコンサルティング会社さんに支援して頂く形で、進んでいきました。つい先日成果発表会があり、受講生を代表して挨拶させていただきました。

同期生には大企業さんとの事業連携や大型の資金調達を達成された方、国のプロジェクトに採択された方、皆さんの事業のコンセプトなどを知ることで非常に刺激になり、かつ、本当に素晴らしい女性起業家の方々とお友達になることができました。

私は昨年9月から、優秀なメンターさんの伴走を受けながら、ピッチの練習から事業計画のブラッシュアップまで手厚いご支援いただき、今まで一人で何とか何とかやっていたことが、自分の事業に共感して頂ける助っ人に囲まれ、さらに勇気をいただきました。

APT WOMENに採択されたときは、女性起業家という言葉にピンとこなかったのですが、プログラムを通じて、自分は一人の起業家であるという認識を持つことができるようになりました。自分の考えに共感してくださる方が出てきて自信がついたんだと思います。

2020年8月、なんと国のプロジェクトにも採択され、9月から佐賀県のJAさんに弊社の装置を導入するための準備も始まりました。公的研究機関の実験からいよいよ本当に必要としてくださっているところでの実証です。

JAの柑橘選果場では多くの関係者の方から現場のニーズを直接伺うことができました。弊社が開発した装置はとてもニーズがあることもわかり、導入にあたっての細かい要望も聞き取ることが実現しました。

大学の先生方も柑橘選果場に入り、今の小型装置では大型倉庫にそのまま導入することは難しいことも実際に装置を入れてみてわかりました。大型倉庫での実証実験は結局中止となり非常に残念でしたが、選果場の中に入った人ではないと到底わからない新しい形のコンセプトが生まれ、現在、大型倉庫に導入する装置の開発に入っているところです。

年末から大学の先生方と新しい装置の事をディスカッションしていて、とんでもない構想が生まれました。私はこんなことが本当に実現できたら、途上国の人だけでなく、世界中の人が豊かになれると真剣に思っています。

APT WOMENを通じて、一つの「事業計画書」が完成しました。今まで何回も何回も断られた金融機関さんが初めてその「事業計画書」を受け入れて頂き検討に入ってくださいました。

同時に「事業に将来性があるから出資したい」「事業提携したい」というお話もたくさん頂き、今まで何百回も断られていた時とは違い、現在状況が一変しています。

会社を設立して3年が経ちました。事業計画書には収支計画やビジネスモデル、市場分析はもちろん書いていますが、今までの3年間何を考えて研究開発をどのように進めてきたのか、研究開発の成果をこれからどのような形で社会に還元していくのかということも書き綴っています。

今まで特に資金面では非常に苦しい場面に直面しましたが、資金獲得が私のゴールではありません。やっとのおもいで上市一歩手前までたどり着きました。これからもまた同じような、想像以上の困難があるのだと思います。

私はその「困難」も楽しみながら乗り越えていくようではないと、この仕事は出来ないと確信しています。命まで取られることはありませんが、自分は安定ではない人生を選択しました。結婚して、自分一人で選んだ初めての大きな「選択」です。自分で選んだんだから、どんなことがあってもやり遂げたい、どんな結果になっても自身で受け入れたいという心境です。(終)



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