元いじめられっこ(8月31日の夜に)

歳は50になろうとしている。

今では自分が小・中学生のころいじめられっこだったということを思い出す日はほとんどなくなった。何かのきっかけで思い出したとしても「懐かしい」と思えるし嫌な気持ちも全くない。
あの時はあんなに悩んだのに・・・・
当時は今のようにスマホのようなコミュニケーションツールが無かったので、小中のクラスメイトとも疎遠(そえん)になってしまい連絡もとれていないのだが、自分をいじめていたクラスメイトを恨むどころか久しぶりに会ってご飯でも食べながら話したいと思うくらいだ。(もちろんおびき出して復習するつもりもない(笑))

最初に言っておくが、金銭を要求されたり暴力をふるわれたりするのはいじめではなく「犯罪」なので、自分自身や学校内で解決しようとせず一刻も早く警察に相談しよう。
「犯罪」は「犯罪」。そういう文化をつくることでいじめを通り越した犯罪はきっと減っていくと思う。

当時の話に戻ろう。

------エピソード 1「ドリルチ〇ポ」------
ある日、体育の授業が終わって教室に戻るとあるクラスメートが5人ぐらいに囲まれて「ドリルチ〇ポ!」「ドリルチ〇ポ!」と言われてパンツを脱がされていた。「次は自分だ・・」恐怖の毎日が始まった。
次の日から体育の授業が終わると次の授業が始まって先生が来る寸前まで校庭で時間をつぶしタイミングを見計らって戻り急いで着替えた。

今の自分が当時の自分に声をかけられる超能力を得たとしたら「ドリルチ〇ポやられそうになったら、自分から見せてやれ。笑い取れるぞ!」と言ってやる。

------エピソード 2「大きい人が来るとつまらない」------
小6の頃、昼休みに同じ学年の輪に入ることの出来なかった自分は3年生ぐらいのグループの中に入って遊ぼうとした。というか同じ場所に居ただけで会話も無かった気がする。
「大きい人が来るとつまらないんだよね」
本当にショックだった。
人の輪に入るやりかたがホンマに分からんかった・・・

------エピソード 3「うんこ」------
トイレに行って「大」の個室に入ってしゃがむ(和式しか無かったので)といじめっこが後を付けてきてドアや隣の個室からよじ登って上から眺めてくる。「おできうんこしとるど!」。
掃除用のホースで水をかけられたこともある。

「おでき」?
そう、、、名前が「ひでき」なのであだ名が「おでき」なのである。それも実話から来ている。
自分は幼少のころからアトピー性皮膚炎で肌が荒れ放題だったので、ある時おなかのへその上付近の皮膚にバイ菌が入って大きな出来もの、そう「おでき」が出来たのだ。
クラスメイトに「うわ!」それ何?って聞かれて「おできが出来てもーてん」・・・・・「やば・・」・・・嫌な予感がした・・・
それ以来あだ名は「おでき」で確定した。
もし、自分がお笑い芸人だったら最強のあだ名である。でも当時はそんな風に考えられなかった。

その他いろんなエピソードがあるのだが多くは忘れてしまった。しかし当時は1つ1つの出来事に毎日なかなか寝付けないぐらい悩んでいた。
本当に苦しかった。
ただ、死にたいとは一度も思わなかった。「俺のせいちゃうし!」と思えたからだった。

今から思うと、自分は変わり者で人の輪に入るのが苦手で、人の気持を考えない自己チュー野郎だった。
いじめられていたのは自分の性格のせいでもあったのだ。

事実「いじめ」というのはいじめられる側にもその素質がある場合がある。(全部ではない、可能性の話。自分の場合がそうだった。)
但し、ここで言っておきたいことがある。
いじめられて悩んでいる子がいたら、周りの人(親・先生)が「お前にもその原因がある」とは絶対に言ってはならない。これは本人が自分の力で気づくべきことなのだ。周りに言われてもまず理解できない。
それに気づくのが大人になってからという可能性もある。でも、自分の力でそれに気付くことができたら、すべての嫌な思い出が懐かしく思えるようになることだってある。

ここでもう一度言っておくが、金銭の要求や暴力は警察へ!
「いじめ」と「犯罪」はキッチリ分けて考えよう。
「犯罪」の場合は「やった側が100%悪!」というのは言うまでもない。
警察に突き出して法の裁きを受け罪を償ってもらう以外に道は無い。

ちなみに自分の場合、暴力といっても「小突かれる」程度だった。
この「程度だった」という言葉で表現できるのは今冷静になって大人の知識や経験をもって思い起こせばこそなのだ。
警察沙汰になるような悪人でも無いかぎり、節度はあるだろう。
いじめていても無意識に加減をしている場合もあると思う。
ただ、その「加減」はいじめられている側にはわからないし、その精神的な重圧は本気で殴られた時と変わらない。これはいじめられた側にしかわからないだろう。
いじめた側からすれば「言葉で言っているだけで手は出していないから大したことないだろう」、でもいじめられてる側からすれば毎日「反抗すれば殴られるかもしれない、何もしなくてももっとやられるかもしれない」という恐怖が日に日に増幅していくのです。
「俺のせいちゃうし!」と思えない人は増幅した恐怖の逃げ場がないのです。それをわかってあげて欲しいです。

自分のいじめ体験は、いろんなパターンのうちの1つでしかないと思う。
名付けるなら「たかが子供のじゃれ合いレベルのいたずらに真剣に悩んでいて大人になってそれに気づいたパターン」(長!(笑))

いろんなパターンの元いじめられっこが経験談や考えを発信することで、いじめられっこの後輩をサポートできたらいいなと思う。

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