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小鼓のお稽古について①

ひな祭りが済んでもうかなり日がたちましたが、このたび能楽の五人囃子で合同ワークショップを開催することになりました。

6回のお稽古で一曲を仕上げて発表会、という短期集中プランです。

それに関連して、この機会に能楽小鼓のお稽古について、個人的に普段考えていることを少し書いてみたいと思います。


お稽古に見える方の動機は様々です。

すでに能の謡を習っていて拍子のことも知りたくなった、能や歌舞伎を見ていて興味を持った、美術館でお道具を見て素敵だと思った、とにかく一度アレをポンと鳴らしてみたい、友だちに誘われた,etc.

それら、最初の動機は何でもよろしいのです。優劣とか、純不純とか言ったものはありません、たぶん。

では、誰に習うか。

まずは鼓の音色以上に、掛け声が肌に合うと感じられる人を選ぶと良いと思います。

鼓の稽古に行くようになると、おそらく師匠はあまり鼓を打ってくれません。鼓を打つのはお弟子の方で、師匠は謡をうたい、鼓以外の楽器をあしらうことになります。

ですから小鼓のお稽古とは、実は師の謡の声を聴きに行くことだ、と言っても良いでしょう。そして、能の打楽器奏者の掛け声と謡の声は、密接につながっています。

ただ、能では「美声のわりに良くない」「悪声だけど素晴らしい」ということはいくらでも例があります。「美声に名人なし」という格言すらあるくらいです。

だから「美声の人」ではなく、あくまで「声が肌に合う人」が良いのではないかと思うのです。


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