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月夜ヲうたう人魚 【朗読用】

著者:tana

歌いたい 届けたい

私の声聴こえる?

月夜の灯りが光さす時だけ

地上に現れることを許された人魚姫

ただ、わたしには声が出せない

約束をやぶったから

足はいらないの
声が欲しいの

私は、美しくないから…


目覚ましのアラームの音で起きた

目頭には涙が…夢だった…

なぜ、こんな夢を見たのか…

昨日、想うように歌えなかった事が
きっと残っていたのかもしれない

ただ、あれは、本当に夢だったのか…

そんな事を考えながら会社へ向かった

結局、あの夢のことが忘れられず

仕事も手につかず、

無性に海が見たくなった

そして会社を出て

海へ向かった

風が冷たい

夜の海って、こんなに暗いんだ

恐る恐る、歌ってみる

やっぱりダメだ…歌えない

"どうして…どうして…歌えないの"

泣き崩れる私に

月夜の灯りが光を照らしてくれた

"ここよ"

驚いた…あの夢の中に居た人魚姫だった

私の声を、あなたに、あげる

だから泣かないで

その人魚姫はそう言って姿を消した

私は砂をはらい落としながら

口ずさんだ…

歌えた

あの人魚姫は、わたしの心?

もう1人のわたし?

月夜の灯りが光さす時にだけ現れる
人魚姫…

きっと、わたしはこれから歌を歌うたびに、あなたを思い出す

そして、わたしが
あなたの代わりに
あなたの足になる

声をもらったお礼に






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