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使いたい言葉を使いたい。


使いたい言葉を使いたいが為に作った文章は全然面白くない。



射幸心

しゃこうしん【射幸心】 
幸運を得たいと思う感情。
まぐれ当たりによる利益を願う気持ち。

数年前まで【自分の村を作りたい】というカルト的思想を持ち合わせておりました。

でも今になってその時の事を冷静に考えると、
単純に自分を受けれてくれるコミュニティを労せず欲しいっていう射幸心丸出しのそこら辺に転がってるペラッペラで肥大して腐ってヘドロ化した承認欲求と自己肯定の成れの果てでした。

じゃあ更にその先を解剖すると、
なんて事のないただの結婚願望でした。

この世でたった一人の前だけでも心身ともに丸裸になりたいっていう、一人暮らし10年ソリストの悲しき思想。

数年掛けて自分と対話し、解き明かした心の真相、動機がただ寂しかっただけという。
この世に悪い奴なんていないみたいなチープな性善説だった時の自分に対する失望たるやいなや。

これだから人生はやめられねぇ。



ういやつ

うい【愛い】 
感心である。けなげである様。

職場での話。
数年ぶりに会ったお客さんとの会話。

客 『〜らへんに住んでます?』

私 『え、何で知ってるんすか?』

客 『最近家族で引っ越して、たなかさんの事よく見かけるんすよね』

私 『あっそうなんすね、どの辺すか?』

客 『(うちから徒歩1分の)〇〇アパートです』

私 『あぁ〜!あの汚ったねえアパート!』

客 『・・・』

私 『・・・』

すぐにごめんなさいが言える大人になりたい。
ごめんなさいを言う必要がない会話術も身に付けたい。
でも頭と口が直列回路な素直な自分をういやつだとも思う。思うから成長しない訳だが、
でもそれもまた、うい要因である。

ういやつめ、自分。



しゃらくさい

しゃらくさい【洒落臭い】
分をわきまえずしゃれたまねをする様。
小生意気。


職場での話。
高校を卒業して間もない女性新人アルバイト(18歳)が自分(29歳男 店長)の性事情を他のスタッフに聞いて回ってるらしい。

性欲は強いのか、アンダーヘアーはどうなっているのか、何故長年彼女がいないのか、、etc。

それを聞かれたスタッフは困惑していた。
そりゃそうだ、店長の性事情など知る由がない。

その話を聞かされた自分はもっと困惑した。
万が一好意があって聞き回ってるとしても他に聞くべき事があるだろう。

生々しく具体的な聞き取り調査に恐怖を覚える。

意を決して本人に聞いてみた。
何が目的で俺の性を嗅ぎ回るのだ、と。

理由は4つあった。

①身近に10個も歳上の異性がいない
②故におじさんの性事情が気になった
③遊んでそうな顔なのに遊んでる気配が皆無
④彼女欲しがる割に女性が来店すると裏に逃げるから

しゃらくせーガキが。
あとアンダーヘア関係ないだろ。


僥倖

ぎょうこう【僥倖】 
思いがけず偶然に得る幸運。
幸運を願い待つこと。


人生で一番握ったものはなんだろう。

誰かの手?
いやいや正味数十時間でしょう。

ペンや鉛筆も勉強してないし、
絵も描いてないからたかが知れてる。

箸やスプーンやフォークも違う。
ハンドルも違うな。

肉棒は良い線いきそうだけど、
一度に握る時間が短い。
恥ずかしながら短い。
時間がね。時間が。


断トツはコントローラーな気がする。
人生の通算ゲームプレイ時間なんて算出出来ないけど、万単位の時間は確実にゲームしている。
つまり人生の数年はコントローラーを握って生きている。そしてその時間は今後も増え続ける。
否、増やし続けたい。
叶うならコントローラーを握り続けて生きていたい。そういうゲーマーでありたい。

図らずもそんな人生をもし歩めたなら、
僥倖ではなかろうか。



お茶を濁す

お茶(ちゃ)を濁(にご)す 
いいかげんな言動でその場をごまかす。

お茶濁し全日本選手権があれば、関東大会への切符は掴めるぐらいにはお茶濁しに自信がある。

お茶を濁すにはコツがある。

例えば誰かの話を聞く時、
相手の話が起承転結のどこにフォーカスを当てて欲しいのか、まずはそれを聞き当てる。

起の事件に興味を持つか、
承のリアクションに笑うか、
転の予想外に驚くか、
結のオチに対する返答か、

大概の話には聞き所がある。
それを考えず、考えさせずに行うのが会話、
それが普通のコミュニケーション。
普通に生きれば全人類が出来る行為。

しかしこちらは普通のコミュニケーション方法など19年前の可燃ゴミの日に捨てた。

相手が聞いて欲しくない部分を掘り下げ、
本質からズレた所に論点を置き、
どうでもいい情報をぶっ込む。

簡単3ステップ。

これで大体の人は辟易として話を止めるか、
頭がこんがらがりこちらのペースに巻き込まれる。

ぜひ皆々様もお茶を濁してみてください。
あっという間に周囲から人が消える様は圧巻です。



片腹痛い

片腹痛(かたはらいた)い
実力以上のことを行っているのが、
滑稽で苦々しく感じる様。

素人AV好きはFPS(一人称視点)ゲーム好き
という持論がある。

この2つの共通点は言わずもがな主観で作品を楽しむという点だ。
彼らはひたすらに没入感を求めている。

素人FPS好きはフィクションと現実の境界線を曖昧にし、フィクションをフィクションと理解しながらもフィクションでは無いという自己催眠をかけ、全力で自己投影をして作品を楽しんでいる。

素人FPS好きは、
良く言えばロマンチスト、
悪く言えば痛い連中だ。

自分自身は真逆で、
女優物とTPS(三人称視点)が好きだ。
自分も作品に自己投影はする。しかしそれはあくまでも俯瞰で、要は神視点からの自己投影。
どこまで突き詰めてもフィクション、絶対に手に入らないものということを芯から理解し、フィクションと現実の境界線をしっかり引いた上で、全力で感情移入をして楽しんでいる。

女優TPS好きは良く言えばリアリスト。
悪く言えば面白味が無い人間だ。

自己投影と感情移入。
近いようで遠い。

作品に自分自身を組み込むのが投影。
作品に自分の感情を勝手に乗せるのが移入。

アイドルを自分の彼女だと思い込むのが投影。
アイドルを自分が育て上げたと思うのも投影。
アイドルのスキャンダルで絶望するのも投影。

女優TPS派の自分から見れば、
素人FPSの現実逃避するかのように没入する姿は正直片腹痛い、笑止千万だ。

でも更に正直の奥を掘れば、羨ましい。

どれだけ女優TPSが好きな作品を最高に楽しんだとしても、
更に先の楽しみを見出すのは素人FPSだからだ。


所詮はフィクションとどこか飽きらめにも似たスタンスで楽しむ女優TPSに対して、想像と妄想をこれでもかと肥大させ、好きなものに全力で傾倒し、フィクションがリアルを越えてくる彼ら素人FPSに最初から勝ち目は用意されていない。

その証拠に女優TPS派の自分が一番好きなゲーム対して抱く感情は間違いなく素人FPSのそれだ。
言い逃れもなく、その作品にこれでもかと没入したが故の一番だ。

そんな常を生きる彼らが、
どうしようもなく羨ましい。




使いたい言葉全部盛り

無理だ。無理だった。
使いたい言葉を全部使って文章にするなんて出来ない。最初は書けると思ってた。そんなしゃらくさい事を考えて、いざ書こうとしたら無理だった。釈然としない文章ばかりが出来上がる。
自信満々で書けると思ってた自分が片腹痛い。
もう、全部盛りは『無理でした。』だけ書いてお茶を濁そうとも思ったけど、それもなんか納得出来ない。書き始めたらイけるっしょって思ったんだけどなー。そんな射幸心染みた心持ちじゃ書けるものも書けないな。はぁーあ、根拠のない自信を勝手に掲げて、勝手に落ち込んで、ういやつだよお前は。僥倖がなあ。僥倖が難しいんだよな。僥倖に適したエピソードが無いと僥倖なんて使わないもの。そもそも人生で僥倖な出来事なんて起きないもの。起きないと僥倖なんて使えないもの。僥倖起きないかなあ〜なんて文章としておかしいしなぁ。文章って難しいなぁ。簡単に見えるものほど難しいよなぁ。簡単に見える事ほど突き詰めると超難しいんだよなぁ。それを理解してない奴ほどアホ丸出しで街を闊歩してるよなぁ。理解してないくせに理解してない事を偉そうに言うアホ多いよなぁ。『知らないんだから教えろよ』とか、『へぇーよく知らないけど』みたいに言うアホじゃなくて良かった。そんな人間じゃなくて僥倖だったわ。出来たわ。