差分和分の応用と下降階乗【一橋大学2017年数学】

一橋大学2017年数学第3問

$$
P(0)=1,\,\,P(x+1)-P(x)=2x
$$

をみたす整式$${P(x)}$$を求めよ。

解答

差分和分を思い出すと、これは

$$
\Delta P(x)=2x
$$

という差分方程式を解くことに相当すると分かる。両辺を和分して、$${P(x)}$$を求める。

$$
\begin{align*}
P(x)&=\sum 2x\delta x+C\\
\end{align*}
$$

和分定数$${C}$$は、$${P(0)}$$が与えられているので、$${\displaystyle \sum2x\delta x}$$を求めた後に$${x=0}$$を代入して確定させれば良い。問題は、$${\displaystyle \sum2x\delta x}$$をどのようにして求めれば良いかである。今回は、$${2x}$$というシンプルな関数なので、結果が2次式であることは確定しているから、無理やり求められないこともないが、もし被和分関数がもっと複雑だった場合どうすればいいのかを考える。

下降階乗

$${x^{\underline{n}}}$$を以下のように定義する。

$$
x^{\underline{n}}=\prod_{k=0}^{n-1}(x-k)=\underbrace{x(x-1)\cdots\{x-(n-1)\}}_{n}
$$

すると、次が成り立ちます。

$$
\begin{align*}
\Delta x^{\underline{n}}&=nx^{\underline{n-1}}\\
\sum x^{\underline{n}}\delta x&=\frac{x^{\underline{n+1}}}{n+1}+C
\end{align*}
$$

証明は、差分の定義に従って実際に計算してみると分かるので省略します。

この公式を利用すれば、

$$
\sum 2x\delta x=
\sum 2x^{\underline{1}}\delta x=x^{\underline{2}}+C=x(x-1)+C=x^2-x+C
$$

となって、$${C=1}$$が求まる。したがって、

$$
P(x)=x(x-1)+1=x^2-x+1
$$

模範解答では、

$$
P(x)=a_nx^n+\cdots+a_1x+a_0
$$

と文字でおいて、次数を確定させ、$${P(0)=1}$$から係数を確定する、という流れで解いていることが多いようです。

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