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旧国道の無人販売所

小学3年生の頃

ピアノのレッスンから自転車で帰る途中

旧国道沿いに面した野菜畑に

まるでお地蔵さんを祀ってるような

観音開きの大きな木箱を発見した

木箱は水色のコンテナの上に置かれている

中には土まみれのジャガイモやタマネギや
所々虫に食われたホウレンソウが鎮座

そしてアルミの貯金箱が添えられている

看板はもちろん

値札も何にもない

野菜と対峙した人間に全部委ねてる

しばらく眺めていると

土被った、形の悪い野菜達の面構えが

なんだか不気味に思えて

立ち漕ぎでシャーっと帰った

もちろん夕食の時間に母に報告した

母)
100円くらい持っとるやろ?
お金入れてもらって来たらいいったい

僕)
何こもらえると?

母)
自分で決めたらよか

僕)
え?全部もらってもいいん?

母)
あんたがそうしたいならしたらよか
後から差額ば支払いに行くわ

僕)
さがく?100円で足りんの?
いくらでも取っていいんやろ?

母)
うん
あんたは100円ば出して
100円で買えると思う分だけ持って帰ればよか
お母さんは100円じゃ足りんと思ったら
勝手に足して払う
無人販売っちゃそんなもんよ
売る人が店に立たんで
お客さんに全部決めてもらうんよ

僕)
わるい人が全部ぬすむっちゃない?

母)
まあ、そげな人もおるやろね

僕)
ならあんなのやめた方がよくない?
ドロボーがおらんか
ちゃんと見張らないけんやろ

母)
見張るくらいなら店番するやろ笑
いいんよ
お店に立つ余裕がないやろうし
盗まれたらそれまでたいっち
思える人がやりよるんよ
あーいうのは

僕)
ふうん

母)
あんたもジーッと眺めとらんで
ちょっとは気きかせて買って来んね笑
カレーに入れてやるけん

僕)
いや、いいや
やめとく

母)
なんでよ

僕)
なんかもう、計算が大変そうやん

母)
いくらなら、払えるわって
思ったお金を貯金箱入れるだけやん笑

僕)
それが合ってるかわからんやん
ちゃんと合わせたいんよ、ちゃんと

母)
あんた、公文式の算数ばがんばりすぎて
ちょっと🤏変になっとるみたいや





@北緯1度某所

バジルなんて常備してるわけもなく

かといってロックダウン中で

スーパーに行くのも一苦労だ

てなわけで

ホウレンソウをしっかり茹でて湯切りして

カシューナッツとニンニクチップと一緒に

オリーブオイルを入れながらミキサーにかけて

ジェノベーゼソースみたいな何かにした

お店なら

これをいくらで提供できるんかな?

とか考えながら食べた

まあホウレンソウの原価次第かな

旧国道沿いに

パスタの無人販売所とかできないかな

ボロネーゼ、ジェノベーゼ、ソリャネーゼ

あたりをバケツ🪣に入れて置いとけば

それなりに繁盛しそうだ

うーん、でも

パスタ全部盗む悪い奴がいるかもしれないから

見張りが必要になるな

見張りは誰が適任だろうか

目を血走らせながら

そのセルフプレジャー三昧の中指で

シャーっとスクロールしてる

あなたが向いてるかもしれない

けど

見張り代をどの電子マネーで払えばいいか

皆目見当がつかないしやめとこうかな

なにより

Pay Pay Pay って圧を

互いに与え合いたくないし

うーん

やっぱり

そーっと

決済用QRコードだけ貼っとくのがいいかな

あのミャンマーの金ピカ寺院の

喜捨用QRコードみたいに

Pray Pray Pray しながら

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