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1ヶ月前だけどご挨拶「ハムレットからの特別席」座キューピーマジック

日々腰が上げる悲鳴の音量が上がり続ける中、なんとか「ハムレットのための特別席」全公演を乗り越えました!(笑)

遅ればせながら、ご来場いただきました皆様、スタッフ様に御礼申しあげます。

その昔、役作りと称した無駄な表現を駆使したがる私に対し、演出家が「無駄な意志を持つな!素体に自然と入ってくるものだけ有り難く頂戴していろ!」と怒鳴ったことがあった。まさに現場が凍りつき、皆の不信の目が僕に集中した瞬間です(笑)
今回、その嫌な記憶を稽古場でふと思い出した時から、この役は僕の中で初めて動き出した気がする。

それで最終的にこんな役に収束していったんだけど……

撮影:中沢志保さま

とりあえず放送禁止やろ、これ(笑)

さて、製作手記的な内容で追記するとすればあと一つ記しておきたいことがあります。

珍しく今回は、映画や演劇の分野以外からインプットを行いました。

それがこの曲です。

ボブ・マーリーの曲ですが、全米一位シングルとなって有名なのはこのエリック・クラプトンのカヴァーですね。

「保安官を撃っちまったよ!」というショッキングなタイトルの楽曲ですが、その歌詞の根底にあるのは黒人差別へのアンチテーゼではないかと思います。
とりわけ「毎日バケツを井戸へ落としていると、いつかその底だって抜け落ちてしまう」という歌詞が妙に印象に残っていましたが、今回パックという妖精を演じていてその意味がわかった気がする。
それは、彼が撃ったのは保安官ではなく、もしかしたら自分自身なのではないかと……

亡くなった母親に向け繋がっていない電話をかけ続けている主人公は、バケツの底が抜け落ちるのを恐れ半ば自己防衛本能でその行為に身を委ねている。しかしそれは同時に「底が抜けてしまえばいい」という対極の欲求も存在するわけで、そうした『破壊願望』の象徴が劇中でのパックの存在であったわけです。
「あの独特の重厚感はどうやって出したの?」というご感想をいただきましたが、何か答えになったでしょうか?(笑)

もちろんreverbの効いた音響効果や、元から持ち合わせた低音ボイスもそう感じさせる要因だったかもしれませんが、この曲にまつわる思いから得たヒントは板に落ち着いて存在する上で非常に役に立ちました。

撮影:中沢志保さま

ご観劇いただきました皆様、気に入ってもらえたら幸いです。

しかし、最後にまた冒頭の内容に戻るようで恐縮ですが「自然と入ってくるものだけ有難く頂戴しろ」って、今回は一体なにが入ってきたんだよ?
まったく覚えていない(笑)
ただフラリと袖から登場して、サラリとセリフを喋ってフラッと捌けただけ。特別な「なにか」をした覚えはない。それでも伝わるもんなんだね、芝居って。

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