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Webライターラボ8月コラム企画「忘れられない戦い」

Webライターラボのコラム企画に参加させていただきます!

※虫が苦手な方はご注意ください

もう20年ほど前のことになるだろうか。

うら若きお姉さんだった私は、いつもの様に洗濯物を畳んでいた。
Tシャツをばさりと振った瞬間、何かが視界をかすめて天井へ飛んでいく。見上げた先にいたのは巨大な蛾だった。

羽を広げると25センチはあっただろうか。山奥で育ち、比較的虫に耐性のある自分が引くレベルの大きさだ。
次の行動が読めない謎の動き!
舞散る鱗粉!
雀よりも大きく聞こえる(ような気がする)羽音!
悲鳴をあげて1LDKのリビングから逃げ出すしかなかった。

当たり前だが、リビングを明け渡しキッチンに立てこもっても状況が改善するわけがない。
意を決し、ほぼ半泣きで殺虫剤を片手に私はリビングに舞い戻った。

殺虫剤を吹きかけると更に酷くなる羽音→あまりの恐怖にキッチンに逃げ出す→再び殺虫剤をまく→逃げ出す…

こんな行動を5セット程繰り返すと、ようやく羽音がバサッ…バサッっと間遠になった。

そっとドアを開けると、文字通り虫の息となったアイツがいた。体の太さはおよそ2~3センチはあっただろうか。恐怖のあまり実物より巨大に見えた可能性も否定できないが、見た瞬間鳥肌がブワっと立ったのをよく覚えている。

20枚ほど重ねたティッシュで動かなくなったアイツを包み、ビニール袋に入れて密封。迷ったあげくゴミ箱へ移動させて合掌。
戦いを終え窓を全開にして換気をしながら殺虫剤を拭き取る間も、第2のアイツが現れるのではないか、と悪い意味でのドキドキは止まらないままだった。

昆虫好きには絶好の体験だったかもしれないが、私には身の毛がよだつような恐怖体験となった。
なお、20年後には食器用洗剤を片手にゴ〇ブリと戦う1夜を迎えることになる。

Discord名:たむら
#Webライターラボ2408コラム企画

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