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馬と俺003『盛』

 2022.6.26 岩手競馬、盛岡開幕。
 前日午前中までは曇り予報であった。雨の覚悟もあった。しかし、その前日の天気予報が大外れの晴天となり、この日の天気予報もガラリと変わったのだ。梅雨ということもあって天気は不安定であるのはわかるが、最近天気予報が外れまくっている気がする。よく見ると降水確率は30〜40%が続いている。いつでも1塁ベースに戻れる位置までしかリードしていないようなものだ。とにかく、盛岡開幕のこの日は気温が30度まで上がるほどの快晴の真夏日となった。
 僕は『うまのわーるど』なるテレビ岩手が主体となる競馬イベントの中の競馬教室の先生ということで来場させていただいた。昨年はプライベートで盛岡開幕を迎えたわけで、ありがたい話だ。
 さらに、開門時に入場ゲートにおいて記念品等の配布のお手伝いもさせていただいた。場内から開門前の場外の様子はちゃんとは確認できていなかったが、例年のことを考えれば結構なお客さんが並んでいることは想像できた。一番先頭に並んでいたお客さんにゲート越しにお話を伺ったら11時開門の2時間半も前8時半から並んでいるとのこと。猛者である。
 開門。僕はすでに暑さで朦朧としているということもあり、「ここまでか…」と勘違いしてしまったほど、戦国時代の城攻めの如き勢いでお客さんが場内になだれ込んできた。ハッと我にかえり記念品を一人一人に手渡ししていく。コロナ感染防止用にゴム手袋をしたわけだが、まさに手だけがサウナスーツ状態。手首から先だけがガリガリになるんじゃないかというくらいに汗で中がびちゃびちゃになってしまった。
 各テレビ局のマスコットキャラクターも大変だったと思う。減量中のボクサー並みに過酷な追い込みになったのではないだろうか。
 とにかく、関係者も「南部杯並み」と驚くほどの大盛況ぶりで、配布する品も即品切れ終了するほどであった。

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 競馬教室では、競馬初心者を対象に馬券の種類や買い方、競馬新聞の読み方などをレクチャーする。
 毎回、冒頭で岩手と馬の関わりについてお話をさせてもらうのだが、ここでガッツリ行ってしまうと競馬を楽しむ時間がなくなってしまう。3分程度の中で何を話すか。南部馬の話をするか、小岩井農場の話をするか、日本初の女性ジョッキーの話をするか、毎回考えるのだが、結局メイセイオペラの話をさせていただいている。
 参加者は全員が競馬初心者というわけではないのだが、ほぼ岩手県民である。しかし、日本競馬史上唯一、地方に所属しながら中央を制した馬の名前を知らない。競馬好きの常識は、所詮、競馬好きの常識であることに気付かされる。

「99年、フェブラリーステークス。英雄は東北から来た。日本競馬史上唯一頭、地方から中央を制した馬。メイセイオペラ。栗毛の来訪者。時代は外から変わっていく。砂の王者へ。フェブラリーステークス」

 2013年のJRAのCMである。カッコ良すぎて完全に暗記してしまった。過去の栄光で終わらせてしまっては勿体無い。今話題のウマ娘も過去の名馬たちである。そのウマ娘が新規の競馬ファンを獲得したと考えると、岩手競馬にとってメイセイオペラは大きな鍵となるのではないだろうか。とにかく1日でも早くウマ娘にメイセイオペラが登場することを願うのみである。そうなればいよいよ僕も課金してしまうだろう。出るまで引くに決まっている。しかも、こんなに物語性のある名馬もいない。何せ馬房で頭をぶつけて頭蓋骨を骨折してしまった馬である。まさに破格のスケール。確実に爆発するはずだ。早くダートで育てたいものである。

 とにかく、激アツ必至の盛岡2022が開幕した。開幕日でこの盛況。マーキュリーカップ、クラスターカップ、南部杯、そしてJBC。どこまで盛り上がるのか。時代は外から変わっていく。競馬好きだけのイベントで終わっては勿体無い。岩手県民の話題の中心が岩手競馬になれば最高である。

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