たみやま

|短い小説 もしくは エッセイを掲載してます|投稿ペースは不定期|鬱病で現在は療養生活…

たみやま

|短い小説 もしくは エッセイを掲載してます|投稿ペースは不定期|鬱病で現在は療養生活中|身体障害者|

マガジン

  • 📗エッセイ

    思った・感じたことを文章にしてみたものです。

  • 📙ショートストーリー

    400字詰め原稿用紙で数えると 5~30枚程度の短編が揃っています。

最近の記事

読書日記 ①

李 琴峰 『五つ数えれば三日月が』  片思いが叶わない、というか叶えない事を選んだ百合小説。 2つの国や文化や言語をまたいだ物語ではあるけれど、読んでいる内にそのことは些細な添え物みたいに思えてくる。  いい意味でありふれた恋物語というのが読後の印象かな。 金原 ひとみ 『マザーズ』  読み終えた後、ああ、金原 ひとみさんの書いた小説だったなあという感じがすごくする長編。 悪酔い一歩手前のいい感じに落ちてく陶酔感があるから、この人の小説は止められない。  母親たちの、と

    • 📙熱をさます

      【1】  これは、私が先週出会った子猫についてのお話。 三日前の土曜日に半同棲をお終いにしてこの部屋にあったささやかな荷物と一緒にいなくなった男についての話じゃあない。 【2】  仕事をしている間は、責任感とかいう得体の知れない重石が感情の蓋を動かないようにしてくれている。 自分と向き合うなんてまっぴらだ。 今日みたいな日は、特にそう。  だけど今、あいつの傘や普段使い用のスニーカーなんかの失せた小さな玄関が、私にすっと現実を突き付けてくる。 こんなのおかしい。 一方的にあ

      • 📙予報どおり

        【1】  電車の窓から見える夕暮れ刻の空が、みるみるうちに黒い雲に覆われていく。 私はその様を冷めた顔で眺める。 どうやらこの電車に乗ってるひと達のほとんどは、傘なんか持っていないみたいだ。  隣に立っている会社員さんの口から、心底うんざりといった具合のため息が吐いて出た。取引きに失敗した帰り? それともうんざりする様な類の無駄な会議に出席してきた帰り?どうでもいいけどご愁傷さまでした。 せいぜい貴方の隣に立ってる女子大生と同じように、ずぶ濡れになりながら家へお帰りください。

        • 📙ギフテッド

          ベッド脇の小さな窓から弱々しい陽の光が差し込み、私は目を覚ました。         遂に、この日がやって来てくれた。 あと数時間もすれば、私は私の夢を叶えることができる。それも、最高の晴れ舞台で最高のドレスに身を包んで、数え切れない人々の願いを成就させるための素晴らしい代償として、私は夢を叶えられるんだ。 これ以上のことなんてこの世界にあるわけがない。 私ははっきりそう言い切れる。 もっと 奇跡のような素晴らしいことが用意されているとしても、私がそれ等に出会うことはもう、

        読書日記 ①

        マガジン

        • 📗エッセイ
          1本
        • 📙ショートストーリー
          6本

        記事

          📙ミスエデュケーション

          「お、お願い、壊さないで。 私、なんでもするから。 駄目、来ちゃ駄目、来るなぁッ!!!」…そこで私は目を覚ました。                                   どんな内容の夢だったかなんて、ひとつも覚えていない。                ともかく、私は強烈なイライラに急かされ目を覚ました。 外はまだ暗い。 枕元のスマホをのぞいてみると、午前3時58分。        畜生、こんなどっち付かずな時間にひとの事起こしやがって、何様のつもりだ。 私は

          📙ミスエデュケーション

          📙ランウェイ

          わたしの負け わたしを生んだ世界の負け  どうでもいっか もうぜんぶ うんざり 【1】「おまたせ。 ゴメンね、下駄箱のなか片付けるのに時間掛けちゃって」 そう言いながらあなたが見せてくれたコンビニのビニール袋には、結構な量の画鋲や錆びた釘が入っていた。  「ううん、全然いいよ。 おかげで5限の途中からすっごい聴きたい聴きたいってなってた曲、3回もリピートできちゃったし」 「え、あの8分くらいあるやつ?」 「そう、それ。 だから別にいいよ。 今日、5限上がりで時間もいっぱい

          📙ランウェイ

          📙ベストピクチャー

          【0】「わたしがあなたと同じなもんか」「あなたがわたしと同じなもんか」さて、問題です。 どの人物がどの人物に対して言っているのでしょうか? ● 今は平日の午後2時半過ぎ。 それでも、新幹線が到着すると駅の構内には少しだけ賑わいがやって来る。              横を歩く母親が、片足を引きずりながら歩く私を支えようと、手を伸ばしてきた。 だけど私はその手を掴もうとはしない。        私たちはもう、そんなことする関係じゃないんだよ。 もう、無理して戻ろうとなんかし

          📙ベストピクチャー