まだ歌っている

【詩】

 

もう何回目だろうと思っても
数えることなんてできやしない
記憶のなかのそれと目の前の
咲く花に違いはないけれど

強い風に運ばれるように街が
いっせいに色を変えてもまだここで
川の流れを見ている幾千の
飛沫が岩にあたって弾けるさまを

ありふれた友達がありふれた言葉で
やさしく語りかける木曜日に
まだ夢から覚めずに歌っている
上着を脱いでシャツの袖めくり

 

tamito

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