残像

【詩】

 

夢を見ていたことは覚えている
でも、何の夢かはわからない
誰かに呼ばれていたような気もするし
誰かを求めていたような気もする
とても寒い場所に佇んで
腕を組んで俯いていた
何かを待っていたのだろうか
駅のホームのような
港の埠頭のような
いずれにせよ旅立とうとしていたか
誰かの帰りを待っていたか
そんな気配が僕の半径1メートルに漂っていた
とても寒いのに暖をとる術もなく
ずっと凍えて立ちつくしていた
そんな漠とした
霧のなかをさ迷うような微かな残像
目覚めてよかったのか
その先を見たかったのか
そんな是も非もつかないけど
誰かがその先にいただろうことに
悔やまれて僕は
しばらくベッドの温もりから
離れられなかった、昨日の明け方

 

tamito

#詩

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