風の強い町

【詩】

この風の強い田舎町でわたしは毎日詩を書く

ただっ広い平野の真ん中あたり、隣町との境界も曖昧で

大型チェーン店が居並ぶ街道沿いを除けば、町の大半を田んぼが埋め尽くす

風は西から東へと田の上を馳せて、ほんの1~2分でこの町を通り過ぎる

わたしは川沿いのカフェでノートブックを広げ、不規則に浮かぶ言葉を書きとめる

昨日、隣家の猫が死んだ、わたしは猫の魂が亡骸から抜けでるのを見た

明日、言い争う恋人たち、仲直りする言葉をわたしは知っている

幼いころに越してきて以来、大人になるまでこの町で過ごしている

いつかずっと西の歴史ある町に、北方の雪深い町に、異国の港町に、住んでみたいとも思う

ただ、どこへ行こうとわたしの魂はこの町にしがみついているだろう

否、ずっとこの町にいようが、わたしの魂は行きたい場所をさ迷うだろう

また強い風が町を吹き抜けてゆく

わたしの魂をのせてただっ広い平野を渡ってゆく

tamito

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#詩

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