夜の谷間にひっそりといる

【詩】

 

夜の谷間にひっそりといる

あざやかな街の灯 見あげた先の

とぼとぼ歩く猫 路地の暗がり

ざわめきの均衡破る クラクションの音

群衆に飲み込まれる 詩を売る女のか細い声

生も死もなく 過去も未来もなく

ここから見えるのは 都会の幻想

サーカスのよな ボガートの映画のよな

あるいは 見世物小屋の絵看板のよな

掌の汗がひいていく 膿んだ心が乾いていく

夜の谷間にひっそりといる

 

tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?