だからぼくは永遠ではないけれど

【詩】

 

今日はきみにたいせつな話があります

それは永遠と一瞬についての話です

まず前提として

質量のあるものに永遠という言葉はあてはまりません

そしてぼくらは質量のあるものだけを信じて日々を営んでいます

質量のないものを頼りにしては決して生きてはゆけないからです

であるならばなぜ永遠なんて言葉があるのでしょう

それは質量のあるものには例外なく寿命があるからです

時間的制約があるからこそ

永遠なんてありもしない言葉をひとは生んだのです

ぼくの質量にも時間的制約があります

おそらくはきみより早く質量を持った分だけ残る時間は少ないでしょう

ぼくは永遠ではないのです

だからぼくのことを永遠だと思わないでください

 

そして一瞬という言葉があります

時間軸でいう一秒前後、いや百分の一秒くらいかもしれません

質量のある世界では何ひとつできない短い時間です

けれど質量のないものに対してはその一瞬であらゆることができるのです

質量を持たないひとの思いは時間を距離を超えます

いわば一瞬にして永遠を捉えることができるのです

日々、質量のあるもののなかで暮らしていては気づかないけれど

何かの折りに触れふと感じるのです

いま、この一瞬に永遠があったと

きみはこれまで幾度も永遠の一瞬を生きてきたはずです

ぼくも何度も一瞬のなかに永遠を感じてきました

だからぼくは永遠ではないけれど

きみの一瞬のなかで永遠なのです

それがぼくがきみに伝えたいほんとうのことです

 

tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?