言葉拾う土曜日
【詩】
誰かが抱える荷物をあなたは
少しうらやましそうに眺める
持つものと持たざるものとが
互いに同じ視線を投げかけて
湿った風が通りを吹き抜ける
夕方にはまだ早い曖昧な午後
お守りのように触れる藍色の
首飾りがこの街に浮きあがる
珈琲が飲めなくてもあなたは
素敵な時をそうして過ごせる
抱えた小さな淋しさもいつか
この街の雑踏に紛れて消える
通りをゆく人たちあんなにも
幸せそうで悲しそうで僕には
言葉を探すことしかできない
街に落ちた言葉を拾う土曜日
tamito
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#詩
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