風の向こう側

【詩】

風の向こう側 在りし日の
親しき者が 手を振った
両の手 流れに差しだした

西日が強く 町を染め
ひぐらしの声 木霊して
命の気配 苦しいほどに

その涼しげで 穏やかな
風の向こうは 楽ですか
風のこちらは 淋しいです

光と闇の 境目にいて
昼間の命 夜の命
狂おしいほど 命の季節

何度も何度も 呼びかけて
その涼しげで 穏やかな
両の手 あなたに差しだした

 

tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?