物語の道行き

【詩】

 

どこか遠くへ連れていってくれる物語と出合い

きみは導かれるようにして行き先をあずける

自らの意思なき道行きの気軽さを楽しみ

見知らぬ街の景観や海沿いの光景に見とれる

高台で休息して味わう新鮮な空気

レストランで隣り合わせた老夫婦の笑顔

物語のなかできみは微睡むような幸せを感じる

ひととき、現実社会からの逃避行

物語を読むぼくはきみに心を寄せる

きみの弾むような気持ちが同期する

その目が捉えるもの、音、匂い、感触が

ぼくの五感を通して身体に染み入る

いつのまにか追体験は恋心へと変わり

きみの物語の道行きが穏やかであることを願っている

きみの物語の道行きが穏やかであることだけを願っている

 

tamito

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#詩

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