さすらい

【詩】


たとえ故郷の山河に決別したとしても

いま住む街が自分のための場所とは思えず

気持ちは中空に浮遊したまま

心はいつまでもさすらっている


止まり木で羽根を休めるような人生を

誰かが見る浅い夢のなかにいるような

そんな不確かな人生を送っている

生活という地を這う影に追われながら


いくつもの季節が通りを行き過ぎ

あの場所で鮮明に記したはずの記憶も

1000ピースのパズルに紛れて

いつまでも探せずに通りをただ眺める


「明日なんて永遠に来なければいい」と

複雑なきみの言葉の意味を読み解いて

それでも明日に期待している自分に気づく

絶望にはまだ遠くさすらう時のなかで


tamito

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