月からもこんな僕らが見えるだろうか

【詩】

 

地球がぐるり一回転してまた今日になる

昨日との境界を見きわめられずに僕らは

時はどこまでも引き伸ばせられると信じ

多忙を言いわけにぼんやりと生きてきた

ショーウインドウ並ぶマネキン指さして

本当のあなたはどれですかと尋ねられて

答えることできなくてようやく気づいた

みっともない自分を鏡の中から追い出し

現実を見て見ぬふりして僕ら歩いていた

太陽が沈む回数をかぞえることなく今を

今を無闇に引き伸ばして体裁だけ整えて

どれだけ東に走れば追いつけるのだろう

どれだけ考え続ければ取り戻せるだろう

見あげれば東の空に月がぽっかり浮かぶ

月からもこんな僕らが見えるのだろうか

痛ましくも愚かな僕らが見えるだろうか

地球がぐるり一回転してまた今日になる


tamito

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#詩 #月

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