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マスクトピア
2014年5月8日 14:53
浅瀬に人影がうかんでいた ゆらゆらと動いているのは髪の毛ばかりで まだ生きていた父とふたり はるか野の際をいく船に手を振り 斜面の草をゆらす風に 白い花びらをちぎっては散らした 別れのはじまりはこんなにも唐突で わたしはふいに折り重なっていく予感に 編みあげた冠をかぶることも忘れて 鈍色の裂け目にのまれるように遠ざかる 父の