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コロナ新聞記事20年7月~21年3月


新型コロナウイルスの感染が始まって6か月が過ぎた。
中国の武漢で1月11日に初めての死者が出て、その5日後に日本で初の感染者が見つかり大騒ぎは始まった。
その後毎日ニュースが流れ、ワイドショーでも毎日取り上げ続けている。
大量の情報が流れ、世界中で同じように都市が封鎖なりそれに近い対応がとられていた。
人の命にかかわることなので同じ対応になるかもしれないが、あまりにも同質な対応である。
もう一度冷静に今までの流れを見ていきたいと思い、3月の途中から新聞の切り抜きを始めた。
そして、6月からは切り抜いた新聞記事の抜粋を、ブログに毎日載せてきた。





以下のファイルのダウンロードは、2020年7月以降のブログの内容を、

感染状況
ワクチン・治療薬・検査、
政府 感染対策、経済対策、
新たに分かったこと
事例研究
5つに時系列ならべたものだ。(以下の年月のダウンロードも同じ)
記事の後には
筆者はその時それを聞いて
でその時の筆者の感想を述べたものである。

また、各月のダウンロードの前に、記事の抜粋を挙げ、筆者のコメント(筆者はその時それを聞いて)をつけている。

2020年7月

7月9日 都内感染224人で最多。(日本経済新聞7月10日)
新型コロナウイルスの感染者が9日、新たに224人確認された。4月17日の206人を超え過去最多を更新した。政府は10日から、経済再開に向けた制限緩和の一環で、イベント参加人数の上限を「1千人」から「5千人」に緩和する。安倍首相は9日夜、「高い緊張感を持って感染状況を注視している。」と述べた。一方で「医療提供体制は逼迫した状況にない」と語り、緊急事態宣言の再発令には慎重な考えを示した。


(筆者の当時のコメント)
エアロゾル感染についてWHOが認めた。
空気感染の一種で当初、厚労省も認めていなかった。集団感染の現場はまさにこれによる感染であろう。
厚労省が当初、可能性すらも認めてこなかったのは通勤電車が念頭にあったのではないか。この可能性があれば接触感染どころの騒ぎではなくなる。

今ではシミュレーションで換気をすれば怖くないということが分かりつつある。屋形船やライブハウス、院内感染など接触感染だけでは説明できなかったことがこれによりはっきりと分かる。早急にガイドラインを出してほしい。


2020年8月

コロナ回復後 心臓に炎症。(日本経済新聞8月23日)
新型コロナウイルス感染症の症状が収まっても体の不調が続くとの報告が相次いでいる。ドイツの研究チームは回復した人の6割で心臓の炎症が続いていたと明らかにした。感染確認から数カ月過ぎても4割弱に息切れや疲労感が残り、5%に心筋梗塞の疑いがあった。国内では心筋炎の発生率は研究例はない。


(筆者の当時のコメント)
コロナ回復後に6割の人に心臓に炎症というドイツの症例だ。日本では研究例はないとのことだが、日本循環器学会で新型コロナウイルス対策チーム委員長の佐賀大学野出孝一教授は「患者の6割という数字は日本の治療現場の報告とくらべると多い印象だ」という。

ちなみに、心臓病の患者がコロナにかかるとどうなるのか、については日本循環器学会のQ&Aには、こう書かれている。
・まずウイルスにかかる危険性は心臓病だからといって高くはない、普通の人と同じである。
・重症化するリスクは高い。ウイルスが体内に入ると、肺に直接障害を与えるだけではなく、炎症反応を誘発して心臓や血管に2つの機序により負担をかける。
 ①ウイルスが肺に感染して血液中の酸素濃度がさがる
 ➁ウイルス感染による炎症の影響で血圧が下がる

ウイルス感染により心臓や血管にこのような負担が生じた場合、心臓はその他の大切な臓器に酸素をおくるために、いつもよりもより働く必要があるため、心臓病が悪化してしまう可能性がある。

心臓病はコロナ感染に注意すべき基礎疾患なのである。


2020年9月




感染対策 風評とのはざまで。(日本経済新聞9月9日)
新型コロナウイルス感染拡大で厳しい視線が注がれた国内最大の歓楽街・歌舞伎町を抱える新宿区。吉住健一区長は7日の記者会見で、対応の難しさを吐露した。検査に力を注げば感染者が目立ち、逆に風評被害を招く。「集中検査で、結果的に無症状者を含めて大きな数字が出て強烈なインパクトを残してしまった。それが新宿に対する恐怖心や差別感情を生じさせてしまった」。ここにきて、区内の感染にも改善の兆しが見え始めた。陽性率は、接待を伴う飲食業で8月は26%で、7月の40%から大きく下がった。全体でも8月は16%で7月の26%から10ポイント低い。区長は「基本的な予防を店舗経営者に徹底してもらったことが大きい」とした。記者会見に同席した調査チームの砂川富正医師は「店側は感染対策の努力はしているが、客のマスク着用率が1割に満たない」と指摘する。


(筆者の当時のコメント)
中国の感染対策の徹底が凄まじい。
ここまで検査と隔離をすれば感染は防げるはずだ。
ただ、新疆ウイグルで感染者1人で1カ月半の都市封鎖をするというのは行き過ぎだ。民主主義を標榜する国では到底できない。ウイルス対策というより政治的な対応という面が大きい。

新宿区の対応では、区長としてはよく努力されていると思う。
歌舞伎町のホストクラブの店長とひざを交えて話し合いを重ねられているという雑誌の記事があった。
新宿の歴史の中で、よくも悪くもつくられてきた街である歌舞伎町を突き放すのではなく、中に飛び込んで一緒に考えていく。
そうしたなかで、夜の街の店ごとに検査していくこと、当然出てくる陽性者に対する休業手当など、区としてできることを積極的にやっているようだ。新宿区民として応援したい。

2020年10月



10月29日 EU、コロナで連携深化。(日本経済新聞10月30日)

EUは29日、オンラインで首脳会議を開いた。新型コロナウイルスを封じ込めるため、加盟国間の政策協調を深めることで合意した。アプリでの感染者追跡を国境を越えて可能にしたり、抗原検査をEU全域で進めたりすることで一致した。ワクチンが利用可能になった場合は、加盟国に平等に配布する原則を確認した。


(筆者の当時のコメント)
欧州の第2波の感染急増について今一つ納得がいかなかったが、スペインで見つかった変異型がバカンスに来た人から、英国、フランス、ノルウェーに広がったとの説が出てきた。
コロナウイルスの変異はよく起こりその中で感染力が増すものが現れるのは不思議でもない。
まだ、変異型の性質はわかっていないようだが、この説は感染急増の説明としてはよくできているし、納得感もある。
 
EUがコロナで政策協調していくとのこと。
EUについてはコロナを契機につながりが強化されてきている。
経済支援でも財政的に苦しい国に対しても支援を行っていくことを従来この手の支援に反対していたドイツが決断した。
今回はコロナの感染対策である。人の移動を許している以上、感染の封じ込めも同じにしなければ解決しない。コロナは人も国の境界もないのだ。

 
歌舞伎町のコロナ感染拡大阻止の取り組みが政府の分科会で評価された。
そして歓楽街での感染拡大防止の対策でも歌舞伎町はモデルにされたようだ。吉住区長や高橋保健所長、そして歌舞伎町でホストクラブやバーなど経営する手塚マキ氏らの取り組みだ。
作業部会の対策で挙げられている「現場と対話する時間を惜しまないことや信頼関係の構築、偏見・差別への十分な配慮」を実践している。
詳細はニューズウィーク(8月4日号)や「コロナ戦記」山岡淳一郎氏(世界11月号)に載せられている。

2020年11月


感染、世界で5000万人。(日本経済新聞11月9日夕刊)

新型コロナウイルスの世界の累計患者数が8日、5000万人を超えた。
10月以降、欧米で感染が急増。1日あたり50万人を超える過去最悪のペースだ。
欧州で感染対策のロックダウンが広がる。経済や生活への打撃も大きく、政治判断は一段と難しくなっている。
IMFによればコロナの収束が遅れれば2021年の世界の経済成長率は5.2%から2.3%へと下振れする。累計感染が4000万人に達した10月19日からわずか20日間で1000万人増えた。

 
(当時の筆者のコメント) 
世界の感染急増が止まらない。
欧州ではロックダウンが行われたので、その効果はもう少ししてから出るはずだ。
米国は大統領選が終わり、共和党などの密な集会がなくなるので、これももう少しすれば効果が出る。20日で1000万人というペースは続かないだろうと推測されるが、やはり冬本番という季節的な要因は読めないところだ。
北海道で感染が拡大しており、その要因が冬場の環境が挙げられている。暖房で密閉された空間で過ごすことが多くなるので換気をこまめにするように言われている。
感染者がくしゃみをしたり、また大声を出したりすると飛沫が外に出る。
会話をしていてもすこしは飛沫は出る。感染者の微粒子となった飛沫をエアロゾルというが、それを換気で外に追い出すのだ。
さらに、冬になると重症化しやすいと国立病院機構仙台医療センター長の西村秀一氏はいう。
それは、冬は湿度が低くく乾燥し、飛沫となった微粒子が夏よりは粒子が小さくなるからだ。大きい粒子は鼻先や咽頭など上気道の先端に吸着し肺の奥まで入っていかない。一方、小さな粒子は直接肺の奥まで侵入し、いきなり肺炎を発症しやすくなるからだという。
暖房で乾燥するので湿度管理も大切になる。換気と湿度が冬場は要注意ということになろう。
ついでに、西村氏はエアロゾル感染は中途半端なアクリル板のパーティションも難なく超えてくるので、設置しても気休めだとも言っている


2020年12月

誰に人工呼吸器 重い判断。(朝日新聞12月18日)
新型コロナウイルスの感染拡大が続けば、「誰に人工呼吸器をつけるか」という問題が、現実のものになる。
日本集中治療医学会などのグループは11月、医療スタッフがとるべき判断の手続きを提言した。医師ひとりでなくチームで判断することなどが柱だ。ただ、具体的な判断基準は示しておらず、実際は、医療現場が究極の選択を迫られる。
「よりよい結果が得られると期待される患者に優先的に資源を振り分けるという観点」から、人工呼吸器などを用いた治療の差し控え・中止を想定しなければならないと提言は説明する。


(当時の筆者のコメント)
とうとう東京の感染者が800人を超えた。
すでにこのまま推移すると4週間後に1100人になりますよ、という試算は最近出されていたが。試算通りか少し早いようなペースになってきた。
東京都の17日のアドバイザリーボードによると、入院判断のチャートが出されており、65歳以上は無条件で入院ではなくなった。
具体的には、65歳以上70歳未満で基礎疾患のない人は入院させなくてもよいということになった。もちろんリスクはあるが、入院キャパシティに余裕がなくなってきたのだ。
その先は朝日新聞の記事にある、「誰に人工呼吸器」の世界となる。
入院の選別見直しはやむを得ない。
コロナ以外の一般医療にはがんや心疾患、脳血管疾患などもっと重篤な患者も多数あり、その人たちにも病院は医療を提供している。
医療崩壊はそこにも負担を強いるのだ。

ここでよかった点を付け加えておくと、インフルエンザの患者数だ。
12月7日から12月13日の週で57人だ。前年同週は77425人だから激減である。秋口にコロナ・インフル同時感染でマスコミを騒がせていたが、これに関してマスコミは何も報告していない。
興味があることしか報告しないのだ。でも医療体制としてはよかった。
 



2021年1月

子供の感染「家庭」54%。(日本経済新聞1月13日)
感染の急拡大が続く新型コロナウイルスは、子供への感染も広がっている。多くは家族からの感染で、専門家は親世代が家庭内で感染をひろげないよう消毒を徹底することが必要と指摘する。
2020年5月6日時点で609人だった国内の10代以下の感染者数は、1月6日時点で約34倍の2万1127人になった。
全感染者数は同期間で16倍になっており、10代以下の感染のペースが速い。


(当時の筆者のコメント)
子供の感染が春の感染より増えているという。
全体の倍のペースだ。
子供は感染しにくいというのが定説で、それで今回の宣言では学校は閉鎖してない。
調べると英国では、変異種の感染で子供も大人と同様に感染者が出ているようだ。
それもあるのか英国では学校も閉鎖されている?
英政府の諮問機関である「新型呼吸器系ウイルス脅威諮問グループ」は、12月21日の記者会見で、変異種が他の株に比べて、子供に対する感染力が強い可能性があると述べている。
インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授は、11月5日から12月2日にかけてイギリス全体がロックダウンされたとき、その間で感染者の年齢層が変化し、年少者の割合が多くなったのではと指摘する。ロックダウンによって大人同士の接触は減っても、学校は閉鎖されず、子供同士の接触は禁止されていなかった。
ただ、インペリアル・カレッジ・ロンドンの感染症学科長のウェンディ・バークレー教授によると、この変異体は特に子供を攻撃するとか、子供への感染力が特に高いというわけでないという。
これを聞くと、我が国の緊急事態宣言は学校を対象としておらず、また子供は感染しにくいということが前提となっている。
まさに英国の変異種が入ってきていることを考えると大丈夫か、という気がする。
 

コロナワクチン開発速く。(日本経済新聞 1月1日)
新型コロナウイルスに対する予防ワクチンが実用化し、英国や米国で大規模な接種が始まった。
「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使ったワクチン、回復者の免疫を模した抗体医薬など様々な技術開発が進み、感染症領域の技術革新は百花繚乱だ。異例のスピードで進む対コロナの医薬品開発に世界の期待が集まる。 
WHOが新型コロナによるパンデミックを宣言したのは2020年3月、ワクチン開発には通常3~5年かかるといわれているが、今回は1年以内という短期間で開発できた。原動力となったのが「mRNA」「ウイルスベクター」「DNA」といった様々な新技術を使ったワクチンだ。
一般的なワクチンは鶏卵など動物細胞を使ってウイルスを増やす。ウイルスの毒性を弱めたり、完全に不活化したりすることで人への病原性を最小限に抑え、免疫にウイルスの特徴を覚えさせる。長年使われてきた手法で安全性も有効性も高い。
 しかし、今回はこの概念が一変した。世界でいち早く実用化した米ファイザーや米モデルナなどのmRNAワクチンが代表例だ。
DNAやRNAといった核酸を用いるため核酸ワクチンとも呼ばれる。人体が核酸を使ってたんぱく質を作る仕組みを利用し、人工的に新型コロナのたんぱく質を体内に作り出す。
 ウイルスを使わず短期間で製造できるのが特徴で、最短1~2か月で最適なmRNAを合成できる。半年~1年近くかかる従来のワクチンより格段に早い。今回の臨床試験(治験)で証明された有効率は90%超。初期データだが、既存ワクチンを大きく上回る効果を証明した。
大規模接種で早期に集団免疫を獲得できる可能性に期待が高まる。
 核酸を使ったワクチンではDNAに働きかけてたんぱく質を作らせるタイプを米イノビオ・ファーマシューティカルズ、日本のバイオ企業のアンジェスなどが開発を進めている。これまで人で使われた実績がないワクチンだが幅広い感染症への応用が期待される。
 ウイルスベクターワクチンと呼ぶタイプも期待を集めている。全く別のウイルスに新型コロナなど標的となる感染症の遺伝子情報を搭載する新世代のワクチンだ。培養が容易で病原性も弱いウイルスを活用し1~2か月で製造を始められる。しかも実際にウイルスに感染するため、より自然な形で強い免疫反応を引き出すことができるといわれる。近年、エボラ出血熱ワクチンとして実用化されたばかりのワクチンだが、新型コロナでも有効として、英アストラゼネカとオックスフォード大学が全世界への普及を目指している。ロシアが20年8月に治験中にもかかわらず緊急承認したワクチンもこのタイプだ。
 こうした新技術は安全性や有効性を確認し実用化するまでに10年近くかかる例もある。だが世界的な危機なら、素早く商業化できる可能性がある。各国・各企業が実用化を急ぐのはコロナ後の世界の競争を見越しているからだ。
技術革新が進むのはワクチンだけではない。注目を集めているのが抗体医薬だ。現在、新型コロナ治療に使用している薬はエボラ出血熱向けに開発された「レムデシビル」、抗炎症剤として使われている「デキサメタゾン」など既存薬の転用が多い。
米リジェネロン・ファーマシューティカルズと米イーライ・リリーが開発した抗体医薬は、新型コロナ向けに一から開発した新薬だ。感染から回復した人の血液内にある「中和抗体」を分析し、新型コロナウイルスに結合する抗体医薬を創製した。従来はコスト面で感染症治療に向かないとされた抗体医薬だが、コロナ克服への期待が高まる。
新技術の登場と実用化でパンデミックは収束に向かうのか。21年は人類と感染症の戦いの勝敗を占う年となりそうだ。


(筆者の当時のコメント)
mRNA医薬がブレイクスルーした。2000年代後半にmRNA医薬が将来ものになると考え、研究者がベンチャーで創業したという。今突出しているアメリカのモデルナ、ドイツのビオンテック、キュアバックの3社はそういう企業である。
コロナワクチンで最初にmRNAが実証されつつある。
ワクチンで気になるのは副反応である。
大阪大学の宮坂昌之教授によると、治療薬では「副作用」というが、ワクチンの場合は違うという。ワクチンの主な作用は「免疫を付与する」ことであり、ワクチン接種に伴う反応(局所の赤み、発熱、腫れ、全身の発熱など)は、実は炎症性サイトカインがたくさん作られるために起きるもの。
したがって、これらの反応は副次的なものではなくて、免疫反応の結果。
このような理由から、これらの現象は「副作用」ではなく「副反応」と呼ばれる。
副反応とは、ワクチンがからだの免疫反応を利用したものであることから、一定程度の生体の反応、特に炎症反応が起こることは防げない。
一番よくあるのは、接種した部位が赤くなり、腫れてしこりができることや、全身の発熱。通常1~2日以内に治る。
副反応はそもそもワクチンの目的から派生するもので避けられないものだ。しかし、重篤な症状が稀では起きるという。
免疫反応は個人差があり、数千人単位では思い副反応は見られなくとも、もっと大きな集団ではきわめて少数の人たちで命に係わる重い副反応が見られることがある。
さらに、悪い抗体というのがある。
一般にワクチンでできる抗体は、ウイルスを中和して、感染を防ぐ役割を果たすが、抗体が症状を悪化させる現象が、半世紀以上前にデングウイルスの感染で見つかり、抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれている。
mRNAワクチンはこのADEについてはどうか。
mRNA医療に詳しい東京医科歯科大学生体材料工学研究所の位高啓史教授によると、これはmRNAテクノロジーではなく、むしろ新型コロナ(Covid-19)そのものの問題だ。
例えばジカウイルスではこのADEが強く出てワクチン開発が中止になったものがあった。ジカウイルスがそもそもそういうウイルスだからだ。コロナもADEを起こしやすいタイプのウイルスかもしれないという心配はある。その場合、一般のワクチンでも同じことは起きる。
そうなるとコロナを制圧するためにワクチンが使えないという方向に行く。これはmRNAワクチンだけの問題ではない。
ただ、mRNAワクチンは細胞性免疫を比較的強く誘導しうると言われている。ADEを起こしにくい細胞性免疫に比重を置いた方が有利だ。mRNAワクチンは比較的ADEを起こしにくいと期待できる。

そもそもリスクはどこにでもある。要はワクチン接種によるメリットがその少ないリスクを許容できるかという話になる。十分な情報公開と専門家による議論が必要だ。
 


2021年2月



コロナ重症者、血栓症多く。(日本経済新聞2月22日)

新型コロナウイルス感染症の患者に起きる血栓症に関する国内の調査が進む。欧米に比べて症例は少ないが、重症者では頻度が高い。
厚生労働省の研究班が日本血栓止血学会や日本動脈硬化学会と、2020年8月末までに全国100以上の医療機関に入院した約6千人を調べた。発症したのは1.86%の105人、軽症や中等症では0.59%だったが、人工呼吸器やECMOを必要とする重症者では13.2%に達した。
なりやすい患者を探る研究も進む。体格指数(BMI)が高い傾向があり、入院中に人工呼吸器が必要となるなど重症化しやすかった。




(筆者の当時のコメント)
コロナの重症者に血栓症が多いという。
日経サイエンス(2021年3月)にエール大学の岩崎明子教授の論文が載せられている。
「私たちは現在、SARS-CoV-2感染症(新型コロナ感染症)の重症度が患者によってなぜこれほど大きく異なるのかを理解し始めている。まったく症状の出ない人もいれば、せきや発熱がある人もいる。最も重篤な患者は命を脅かす重い肺炎を患い、「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」となる。
現在、このウイルスがSARS-CoVやMERS-CoVと同様に免疫系を暴走させる場合があり、その結果として起こる炎症がARDSや一連の危険な症状につながることがわかっている。
・・・・・
一部のCOVID患者では免疫応答の暴走が全身にダメージを与え、血栓や心臓障害、さらには臓器不全を引き起こすことがわかっている。最も重篤な症例は集中治療室(ICU)での治療が必要となる。」
自己の免疫系が暴走することで、血栓や心臓障害、臓器不全を起こすという。このウイルスは防御となるべき免疫系を狂わせ、自身に襲い掛からせるのだ。このウイルスの恐ろしさがわかる。




2021年3月


3月3日 首相、世論にらみ急旋回。(日本経済新聞3月4日)
菅義偉首相は3日、1都3県への緊急事態宣言を延長する方針を表明した。当初は7日までの宣言期限までで解除する考えだったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止を求める世論をみて急旋回した。東京五輪・パラリンピックや衆院選を控え、政策運営上の安全策を選んだ。
 


(筆者の当時のコメント)
医療提供体制が緊急事態解除の足かせになっている。
前日に続き 特集「コロナ医療の病巣②」(日本経済新聞3月4日)をみる。
『機器があっても扱える医師がいない。
重症患者の治療に使うECMOは昨年2月時点で全国で1412台あったが、同時に使えるのは300台程度。扱える専門知識と経験がある医師が少なかったからだ。
緊急事態宣言が発令された昨年4月、厚生労働省は緊急対策としてエクモの研修事業を盛り込んだ。当面800台の同時稼働を可能にすべく人材育成を急いだ。今年2月までに研修を受けた医師などは約2千人を超えた。
だが、エクモが3台ある東京都内の大病院の院長は「人手が足りず同時稼働は2台が限界」と明かす。今なお機器があっても使えない病院は多い。
日本集中治療学会「エクモネット」竹田晋浩代表は「他病院を指導できる医師がいる中核病院などにエクモを使う施設を集約する必要がある」と指摘する。
人口100万人当たりのコンピューター断層撮影装置(CT)は約100台、磁気共鳴画像装置(MRI)は同約50台でいずれも世界一。高額の最新機器を導入する施設が増えても、画像から異変を見抜く専門の読影医がいない施設も少なくない。検診などで撮影した画像の「見逃し」が発覚する事例も相次いでいる。
国家試験の合格数のみで数を調整し、地域ごと、診療科ごとに何人必要なのか、という調整機能がない。
日本経済新聞が首都圏4都県を調べたところ、ICUがある142病院のうち、1割弱が集中治療や救急科の専門医が不在。とくに集中治療専門医が少ない。米国2万9千人、ドイツ約8千人に対して、日本は2千人。
 
 亀田総合病院の林淑朗・集中治療科部長は「日本は臓器別の診療科の権限が強い」ことが背景にあると指摘する。ICUに入院した患者も各診療科の主治医せが診る病院が多い。「縦割り」の体制では「横断的な技能が必要な集中治療の専門医が育ちにくい」(林部長)
欧米では各診療科と連携しつつも、ICUでの治療は集中治療の専門医が中心となる方式が主流だ。
日本は数床のICUしか持たない病院が多い。1970年代に「一流病院の証し」として小規模なICUを持つ病院が乱立したためだ。
看護師不足に陥った日本看護協会は昨年4月と12月、都道府県ナースセンターに登録している約5万5千人の看護師にメールで復職を呼びかけた。これまでセンターを通じて復職したのは2月下旬時点で約2800人にとどまる。働く看護師約160万人に対し、潜在看護師は数十万人上るとされる。
日本看護協会の熊谷雅美常任理事は「結婚などで離職する人が多いのに潜在看護師を把握する仕組みがない。研修など復職しやすい支援を十分できていない」という。「夜勤など働き方改革も遅れている。復職しやすい環境を整える必要がある」と指摘する。』
そしてまとめとして、
『高齢化が進む日本では手術が必要な患者は減少し、生活習慣病など慢性疾患の療養病床が不足する。新型コロナで不足したからとむやみにICUなどを拡充すればミスマッチが広がるだけだ。
医療資源の育成、配置の適正化には、医師や医療機関を役割別に集約するなど効率的な医療提供体制への変革が不可欠だ』
としている。
新自由主義的な考えで進められてきた日本の医療制度の弱さが露呈している。普段の環境では効率的で問題は露呈しないが、コロナなどパンデミックになると硬直的で柔軟な対応がとりづらい。
命の問題に直結する医療制度は、ある程度医療資源の適切な配置を考慮に入れた政策を進める必要がある。記事にもあったが、いざというとき必要になる専門医や先進機器は
集約することが必要である。それには公的病院を拡充する方向だ。これは今までの国の政策と逆行する。今回のコロナの反省にたって方向転換してほしい。
 


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