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日米開戦を巡る黒い空気

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#山県

日米開戦をめぐる「黒い空気」 (菊澤研宗「指導者の不条理」から)

菊澤研宗「指導者の不条理」から そして日米開戦の場合に言及する。 ここで菊澤氏は不条理の説明に入る 日本にとって存亡の危機となった開戦の決定。 国として合理的な決定ができなかったことは、陸軍、海軍の損得計算に帰着するのは痛恨の極みである。 問題は、国の重大な決定の場に陸軍と海軍の意をくむ人間しかいなかったことだ。 いつの間にか、国の立場を第一に考えられる人物が、重要な場からいなくなってしまったことが敗因だ。

「山県有朋」半藤一利

昭和陸軍をつくったとされる山県有朋。 かれは政党政治から影響を受けないようするという明確な意図をもっていた。 半藤氏は昭和に遺したものをつぎのように言っている。 そして山県有朋が、自由民権運動を毛嫌いしたのは、つぎのような体験からでている。 山県の目指したのは軍人が主導する天皇国家なのである。 そこには国民の声を聴く政治はなかった。 日米開戦を決定する場に、国民を第一に考える政治家がいなかったのは、山県の考えたビジョンそのものだったのかもしれない。