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消防用設備点検の作業員がやって来た!

 先日、我が家で消防用設備点検が行われました。これは良いチャンスなので何をしているのか見せていただきました。今回は、私たちの身の周りにある消防用設備にまつわるお話です。

1.消防用設備点検とは

 共同住宅などに住んでいると「◯月◯日(◯時〜◯時の間)に消防用設備点検があるので在宅の協力をお願いします」というお知らせの紙が入る作業予告。一体何時に来るのかわからず予定を立てにくかったり、はたまた既に予定が入っていてもっと早く言ってくれればいいのにと思ってしまったり、ここだけの話、点検の立ち会いは少し面倒だなと思うのは私だけでしょうか・・・。でもこれ、きちんと点検をしておかないと、いざ火災が起きた時に消防用設備が正常に作動してくれないかもしれませんよね。必要な時に適切に作動しなければ命にも関わることですので、定期的な点検が法律で定められています。

 少々堅苦しい話をすると、消防法第17条には「消防用設備等点検報告制度」というものがあり、消防法で定められた消防用設備を設置する建物(共同住宅だけでなく、学校や病院、商業施設やオフィスなども)の所有者や管理者には、定期的に設備点検をした結果を消防署へ報告しなければならない義務が課せられています。その他、設備の整備や適正な維持管理を行うことも義務化されています。

 消防用設備とは具体的に言うと、消火器やスプリンクラーなどの消火設備、自動火災報知設備や非常ベルなどの警報設備、避難はしごや誘導灯などの避難設備に加え、防火水槽や消火活動時に必要となる設備などがあり、それらを一つ一つ点検していくことになります。特に共同住宅の場合は、個々の部屋に設置された自動火災報知設備や避難設備の確認が必要になるため、在宅の協力が必要となるのです。

 また点検の頻度は、消防設備の外観や簡易操作による確認を行う機器点検と呼ばれるものが6ヶ月に1度、消防設備を実際に作動させて総合的な機能を確認する総合点検と呼ばれるものが1年に1度とされていて、消防設備士や消防設備点検資格者、防火管理者が点検を実施します。


2.我が家での点検レポート

 2−1.自動火災報知設備

 さて、我が家は共同住宅ですので定期的に点検作業があります。今回は作業員の方の許可をいただき撮影させてもらいました。せっかくなので作業の様子に加えて、自分で少し調べたことも交えながら簡単にご紹介します。はじめに、各部屋の自動火災報知設備の確認からスタートしました。

 自動火災報知設備とは、火災による煙や熱を早期に自動的に感知して警報ベルなどで建物の中にいる人へ火災を知らせる設備のこと。その種類には、熱を感知するもの、煙を感知するもの、炎を感知するものがあります。我が家は熱感知タイプのものでした。熱を感知すると下の写真の緑の丸で示したようにセンサーが赤く光ります。家の中に設置されている火災感知器は、あくまで感知するだけなので感知器自体から音は鳴りません。感知器と連動して外の非常ベルが鳴るようになっています。

 ちなみに、熱や煙を検出してその機器自体から警報音を出すタイプは火災警報器と呼ばれています。いわゆる火災報知機とは、自動火災報知設備や火災警報器などの総称ということになります。住宅用火災警報器については、2004年改正(2006年から実施)の消防法で新築住宅への設置が義務化されました。なぜかというと、総務省消防庁の調べによれば火災全体における建物火災の割合は半数以上を占めており、火災によって亡くなった人の割合を見ても住宅での火災が全体の約9割(2004年のまとめ)にのぼっているからです。さらに、住宅火災で亡くなった方の中でも高齢者の割合が高いことや、亡くなった経緯の第1位が逃げ遅れであることは現在も変わっていません。火災発生を早期に知らせ、逃げる時間を確保して逃げ遅れを防ぎ人命を救う、そうした役割が火災警報器には期待されています。

 また既存住宅であっても、2011年6月までに各市町村の条例に基づいて住宅用火災警報器を設置することが全国で義務づけられました。ただし、先に紹介した自動火災報知設備を設置している場合は住宅用火災警報器の設置は免除されます。したがって、日本の住宅にはこの両者のどちらかが必ず設置されているはずだということになります。もしも設置がまだだという方がいらっしゃれば、住宅用火災警報器はホームセンターでも売っていますので急いで設置してください。一方で設置の義務化から少なくとも約10年が経過しているため、義務化に伴い設置した機器でも機能劣化が懸念されます。適切に設備の更新をしていく必要がありますので、定期的な点検はしっかりと行いましょう。

 2−2.避難はしご

 続いての点検設備はバルコニーにある避難はしごです。実際に自分で開けて使ったことがあるという人は少ないと思いますが、どのような仕組みになっているのか興味がありませんか?手順を追って見ていきたいと思います。

 このように蓋にちゃんと使い方が書いてありましたが、普段は全く気に留めておらず読んだことはありませんでした。蓋を開けると下の写真のようにチャイルドロックが引っかかるようになっています。

 チャイルドロックを外すと落下防止のネットなどのような遮る物はなく、いきなり下の階のバルコニーが現れました。

 そして写真上方の赤いレバーを押すと・・・

 はしごが一気に開き落ちるという仕組みです。はしごの先は下の階の地面についていないので、完全に固定されません。実際上から見る限り、不安定でゆらゆら揺れていて降りるのが怖そうだなという印象でした。しかし、もっと怖いのは避難はしごを使いたいのに使えなくて避難経路が断たれることですので、スムーズな避難ができるよう、共同住宅にお住いの方は特に以下のことに気をつけていきましょう。

①避難はしごの周りやはしごが降りてくる下に物を置かない
②隣の家と自分の家のバルコニーを仕切っているパーテーションの前に物を置かない

 洗濯の物干しやガーデニング用品なども、安全なところに置いて日々の暮らしを楽しみたいですね。


3.まとめ〜次回予告

 我が家での定期点検は以上で終了です。所要時間は5〜10分程度であっという間でした。さて、長くなってきたので今回はここで一旦ストップして、次回に続けたいと思います。次回は、私たちもよく知っている消防用設備である消火器の使い方や、火災に遭ってしまった時の対応について投稿する予定です。どうぞお楽しみに。



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