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【2021年2月】投資初心者がタイで株式投資をはじめて1年経ったので結果をまとめる(後編)

こちらは、【2021年2月】投資初心者がタイで株式投資をはじめて1年経ったので結果をまとめる(前編)、の後編にあたる記事ですので、前編をご覧になっていない方、運用結果を知りたい方はまず前編をお読みください。
前編ではタイ株の概要やメリット、デメリットについて触れましたので、後編では筆者が実際にタイ株を始めてからの遍歴と推移、今後の方針についてエッセイ形式でつづります。

今回もタイ株への愛憎のあまり、ネタ要素多めで冗長な内容で、1万字ほどになってしまいました。
前編で挫折した方はそもそも後編に辿り着かないと思いますので、引き続きこの調子でいきます。

⑤タイ株口座開設(20年2月)

タイ株スタートに向けて十分な予習を終えた私は、いよいよ現地で証券口座を開設します。

・口座開設(20年2月)
→個人的に高まっていた投資をしてみたい熱と、前述のタイ株メリットを知ってしまった当時の私は、タイ株最高やんけ!さすが金持ち優遇国家!FIRE目指して今すぐやるしかない!という気持ちがとてつもなく盛り上がっており、すぐさまタイ株取引に向けてタイSBI証券に口座開設を申し込みました。

タイSBI証券は、現時点で唯一の個人向け日系証券会社となっていますので、タイ在住の日本人がタイ株口座を開く場合はSBI一択かと思います。

何よりネット証券で、取引手数料も最安に近いことから、どうしても対面で相談して人と人との温もりを大切にしたいというアレな人か、コンシェルジュが付くレベルのスーパーリッチ以外でしたら他の証券会社を選ぶ理由は特に無いでしょう。デメリットとしては、現状外国株の扱いが無いことですが、タイ株のみ取引する場合はあまり関係ありません。

タイSBIでの証券口座開設方法については、様々な方がブログなどで解説されていますので、そちらをご参照ください。当時は外国人の口座開設には対面で手続きを行う必要があり、タイSBIの入居するThai Summit Towerという少し不便な場所までドキドキしながら訪問しました。

現在はCOVIDの影響もあり、面談もオンラインで完結できるようになったようです。
形式上ではありますが、日本語通訳の方を介して投資適性等に関し質問をされます。タイに住所があり仕事のある方でしたら、反社会的勢力であっても正直にヤクザですと申告しない限りは大丈夫です。

ちなみに、タイSBI証券の取引手数料は、下記の通りです。なんと1日に2,000万バーツ以上売買する方でしたら、手数料が0.02%まで下がりますのでかなりお得ですね。残念ながら私は種銭が100万バーツほどで、それほどの取引をする日は今後も来ないでしょうし、個人で数千万バーツも運用している殿上人にはお目にかかったこともありません。

1日に500万バーツ以内の取引をするほとんどの人にとって、手数料は0.075%になります。
これは、月に合計100万バーツ動かしたとしても、SBIへの手数料はわずか750バーツ(2,625円)です。オンライン証券といえど、どうやってビジネスが成り立っているのか不安になりますね。

預り金の運用もしていないとのことで、どこで稼いでいるのか不明です。何かサイドビジネスで悪いことでもしているのかもしれません。
どちらにせよ、信用取引も出来ない、規模的にも大したこと無い、それなのに手間ばかり掛かりそうな在住日本人もわざわざサポートしてくれるタイSBIには感謝です。

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・タイ株準備完了(20年2月上旬)
→タイSBIへの申請後は、口座開設までに数週間かかるという説明でしたが、実際には1週間も経たずに手続きは完了した覚えです。
はやる気持ちを抑えつつ、すぐさま銀行口座との紐づけ手続きなども行い、スムーズに取引が行える状態になってしまいました。

何事も時間がかかりがちなタイで、あまりにも順調にことが進んでしまったことが、以降の投資成績に大きな影響を与えるとは、当時は知る由もありません。

タイ株の取引には、証券会社に関わらずほぼ全員がSteamingという取引アプリを利用していると思われますが、初めてアプリを開いた時のことは今でも覚えています。

そこには黒い背景に緑と赤の数字がところ狭しと並び、これまでテレビやメディアで見てきたトレーダーの姿そのものです。
画面で目まぐるしく移り変わるデータを見た私は、幼少期に初めてスーパーファミコンやプレイステーションに触れた時のような、形容しがたい高揚感に包まれていました。ああ、これで夢見た株式投資家デビューだという実感で、完全にハイになりキマっている状態でした。

当時の私の頭の中には、資本階級、テンバガー、不労所得、高配当、セミリタイアといった甘い言葉の数々が際限なくよぎっていたことは言うまでもありません。これまでの人生で前〇友作氏のツイートをリツイートしたことも無く、情報商材、マルチ商法や新興宗教の類には一切引っかかったことのなかったスーパークールな私でも、思い返せば株式投資に対しては冷静さを失っていました。

※謎の数字や用語、チャートが並ぶ様子を見て興奮していた初心者時代。

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・タイ株スタート(20年2月中旬)
→いよいよ投資家デビューに向けて準備を進めます。
マニュアルを読み込んでSteamingの操作方法を覚えつつ、タイバーツを証券口座に入金、タイSBIのタイ株豆知識を熟読し、SET、XD、NVDRといったタイ株用語を頭に叩き込みます。
タイSBIのサイトでは、かわいい猫のゆるキャラが私のようなド素人に株式投資の基本を教えてくれるのですが、今見返しても基本を抑えた良いことが書かれています。

どうやらタイで外国人投資家が配当を貰うには、普通株ではなく、議決権の無いNVDR株を買う必要があるようです。
私含め、ほとんどの方はタイで議決権を行使するつもりなど無いと思いますので、配当の為にNVDR設定を忘れずに行います。

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SBIのサイトでゆるキャラから投資の心構えを教わり、数々の投資家ブログをチェック、投資本も何冊か読み終え準備万端のはずの私は、何を考えたのか投資の心構えなど一瞬で忘れ、とりあえず知っているタイ企業の株を、配当利回りとチャートをなんとなく確認しただけで買いまくりました。
リスク分散という気持ちで、1企業あたり3万バーツを上限に、とにかく様々なタイ企業の株を買い漁っていました。

当時の記録を見ると、ひと月の間におよそ70万バーツ(245万円)を勢いに任せ投入しています。具体的には、ADVANCやTRUEといった通信株、ANANDAやLHといったデベロッパー、タイ5大銀行の株です。Tipcoというタイのフルーツジュースが好きというだけの理由で、TIPCO株を買ったりもしていました。

当然こんな超適当な買い方をしていたことから、バーツ貯金は直ぐに底をつきましたが、少なくとも配当が入ればプラスになるという謎の自信で満ちあふれていましたのでマイペンライです。
その為、機会損失だけはしていけないと、日本から持ってきていた日本円のへそくりもタイ株につぎ込むべく、当時はSuperRich(タイで有名な両替所)にダッシュで駆け込みタイバーツに換金、種銭の足しにしたりしていました。
自分で振り返ってみても改めて思いますが、本当に馬鹿な買い方をしていました。

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⑥コロナショック直撃(20年2月下旬~6月)


・念願の株式投資デビュー、そして。。。

→タイ株デビューしてから1週間ほどは、仕事もろくに手につかず、一心不乱にStreamingアプリを見続けては細かく上下する数字にキャッキャッしていました。そんな中、世界中の投資家を震撼させる歴史的大暴落がSETをも襲います。そう、皆さんご存じコロナショックです。

そういえば、1月頃より新型ウイルス発生のニュースが世間を騒がせていましたが、その頃は世界的パンデミックにまで発展すると予測できていた人は少数派でした。
当時の私は、連日暴落していく各国指数とタイ株ポートフォリオを見ながら、何が起きてるのかもよく分からず、しばらくは呆然としてチャートを眺めるだけの状態になっていました。

まさか、10年に1度あるかないかといった大暴落相場に、デビュー1か月もしない内に直面するとは夢にも思いませんので、損切も入金も出来ない無の境地に陥っていました。
ネット上でも、米国や日本株クラスタの方々が、しきりに大恐慌やリーマンショック時の二番底パターンを解説しており、常人であれば落ちてくるナイフは掴めない相場です。そういった中でも、強気に入金をし続けて一財を築けるくらいの胆力のある人がハイソーの階段を登れるのかもしれませんね。

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2月上旬までは1,550ポイント前後をうろうろしていたSET指数も、一時期は場中で1,000ポイントを切ることもあり、3/23に底となる終値1,024ポイントをつけます。当時のスクリーンショットは保存していなかったのですが、私のポートフォリオも一時期は-40%ほどにまで激落ちしていました。

当時は、ニュースなどで流れてくる、サーキットブレーカー発動!無制限緩和!緊急事態宣言 !ダイヤモンドプリンセス!といった、よく分からないけれどカッコイイ言葉の数々に心を躍らせるくらいしか救いはありませんでしたね。

今思い返しても、タイ政府による夜間外出禁止令の発令後、街中から観光客とマスクが消え、夜の街は真っ暗、人通りと渋滞の喧噪も消えたバンコクは異様な光景でした。
たらればの話にはなりますが、タイSBIの口座開設がこんなにスムーズに行かずに、2週間くらいかかってくれれば少しは大暴落を回避、もしくは暴落後にエントリー出来ていたのになあと、今でも1日10回くらいは考えたりしてしまいます。

※コロナショック時のSET週次推移とチャート、その後のリバウンド

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さて、3月に底を打ったタイ株も、それ以降は急速に株価がリバウンドしていきます。しばらく新規入金を控えていた私も、喉元過ぎればという感じで4月下旬から徐々にタイ株を再開していきます。

この頃は、主にCPF、TU、BJCといった食品系銘柄、BTSやBEMといった鉄道銘柄に手を出していました。5/19には、以前よりタイ株投資家の遊び場となっていたタイ航空が破綻しますが、SET全体への影響はそこまでありませんでした。

そういえば、Stay Homeでヒマを持て余した筆者が、現在のTwitterアカウントを開設したのもこの頃です。6月上旬まではタイ株も上昇トレンドが続き、この頃はコロナもすぐに収まり株価も経済もそのうち戻るだろうという気分だったような覚えです。

ちなみに本記事を書く為に当時の私のツイートを辿っていると、下記のような恥ずかしいツイートが出てきました。自戒も込めて晒しておきます。
この逆神ツイート以降、SETリバウンドトレンドは終了し半2番底に向けまっしぐら、次にSETが1,400ポイント台に戻るのに半年近くかかかることになります。

⑦タイ株低迷期(20年7月~10月)


・リバウンドを見せるも踏ん張れないSET。。。
→S&P500や日経平均が9~10月までに年初来指数をプラマイゼロ水準まで回復する一方、ハイテク株やトレンド銘柄に欠けるSETは、この時期に他国指数に大きく差をつけられていきます。

コロナショック後の急速なリバウンドを体感していた私は、次に暴落が訪れた時こそ全力で資産を突っ込む、というのを家訓にしたつもりでしたが、ダラダラと落ち続けていくSETを見ながらも、エントリータイミングを見極められずに実際にはほとんど動けませんでした。
私の保有していたタイ5大銀行株も、2番底に近い価格まで落ちてきたことから、耐えきれずに損切りを行いました。

この頃はトランプ大統領がアメリカ大統領選挙前に感染したり、タイ在住者でさえ既に忘れかけていますが、8月末にはバンコク伊勢丹閉店と、あまり良いニュースも無かった印象です。

当時のタイ国内では、厳しい対策や衛生管理によりCOVID感染状況はだいぶ抑え込まれていたものの、半軍事政権に対する国民の不満が高まり反政府デモが頻発します。一時期は学生を中心とするデモ隊に、強硬策を取る政府側が放水車や催涙ガスを投入。バンコクの中心部でBTS運行停止といった交通規制も行われ、違った意味でのStay Home期間が再度やってきました。

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ここでは政治面での良い悪いといった話題は避けますが、当然経済もタイ株も低空飛行で、タイ株クラスタにとっても連日お通夜みたいな雰囲気でしたね。

この時期にもう我慢できないとタイ株に見切りをつけ、米国や日本株に改宗した方も多いのではないでしょうか。SET指数を振り返ると、10/30に1,195ポイントをつけて1,200ポイントを割り込んだ時は、このままSETが2番底に突入してもおかしくはない様子でしたが、この日を底に指数は回復していくことになります。

・タイ株低迷期のチャート(20年7月~10月)vs S&P500、日経平均

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⑧タイ株回復期?(20年11月~現在)

・11月からトレンド転換するも、いまいち伸びないSET
11月に入るとSETに急速な買い戻しが入ったようで、12月まで順調に推移し1,500ポイント台まで回復します。ようやくタイ株のバリューに世界が目を向けたのかと思うのも束の間、それ以降は現在(21年2月末)に至るまで1,500ポイント前後をうろうろし、今後どうなるか見えない相場が続いています。

COVIDに関しても、それまでタイは世界の中でも感染抑え込み優等生として空港隔離以外での感染者はほぼ見つからず、11月頃はもうニューノーマルなんて忘れてタイ国内ではのどかに過ごしていた覚えです。
しかしながら、12月中旬にはバンコク隣県で突如500名以上の大規模感染が見つかったことから第二波モードに突入、毎月延々と非常事態宣言が更新され続けています。

個人的には、株価も全体的に復調したというよりも、DELTA、HANAなどの電子機器銘柄、STAといったゴム、農業銘柄、Kerry Express(KEX)やPTT Oil and Retail(OR、カフェアマゾン)といった新規大型IPOが牽引した要因が大きいと見ています。

1年前と同水準である1,500ポイント台に戻したにも拘わらず、株価が低迷したままの銘柄と明暗がはっきり別れている印象です。タイ航空やタイエアアジアといった銘柄が、コロナショック前以上の水準に戻しているのは、本当に訳が分かりません。

・20年11月~21年2月のSET指数。

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⑨現在のタイ株ポートフォリオ

興味のある方向けに、現在の筆者タイ株ポートフォリオを公開します。(21年2月末)
はい、見事に真っ赤となっており、一つも緑がありません。紅です。

恥ずかしい限りですが、これが私の実力と現実です。タイ株にもトレンドにのってグイグイ伸ばしている銘柄もあるのですが、私は大体SET50の大手企業から選定しており、見事なくらいトレンドから置いて行かれている、明暗でいう暗の方の銘柄ばかり選んでしまいました。

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これでも損切りや利確によって、だいぶスリムにはなりました。種銭は大したことはないので、今後も銘柄数は5~10くらいに抑えるつもりです。

ひと昔前を考えると、SETが1,500ポイントに戻しただけでも、だいぶマシなのかもしれない、と言い聞かせています。私のトレード履歴やポートフォリオは定期的にTwitterでも記録と恥を残していますので、決して参考にはしないようにしましょう。

まとめと今後の方針

・何が悪かったか、反省点
→投資を始めた直後にCOVIDショック直撃という豪運もありましたが、上記のようにとにかく適当に銘柄を買っていた、損切りをしなかった、下げトレンドの逆張り銘柄を好んでいた、という典型的な投資素人がカモられるパターンに陥っていたと自省しています。

保有銘柄を-20%になっても損切りしない一方で、+10%くらいになったら直ぐに利確してしまっていたので、これでは益が出るはずもありません。

ただ、逆に投資1年目で爆益が出てめちゃくちゃ儲けてしまっていたら、今頃会社も辞めてパタヤやプーケットあたりでセミリタイア、調子に乗って痛い目に遭っているかもしれませんので、高い授業料だったと考えるしかありません。

また、証券会社のTarget Priceを信用していた、というのも大きな間違いでした。取引に慣れてきて少し賢くなった(つもりだった)私は、タイ証券会社のアナリストが分析した内容を基に、目標株価を算出していることを覚えます。

例えば、下記ADVANCの現在価格は165.5バーツですが、ほとんどのアナリストが目標株価を220バーツあたりに設定して買い推奨しています。

当時これを見た私は、投資のプロ達がこぞって高値を設定しているのに、今の株価めっちゃ安い!その内Target Priceに近づくんだから、直ぐに買わないと損でしょ!と思い込んでいました。完全に馬鹿でしたね。少し慣れてくると、これらは単に証券会社が買い煽りをしているだけで、ほとんどの銘柄がTarget Priceを上回るようなことは無いことに気づきます。一部のギャンブル化したようなバブル銘柄以外では、売り推奨となっているものはあまり見ることがありません。

・タイ証券各社が算出するADVANCのTarget Price例。ほぼBUY推奨。
 SETTRADEのHP、もしくはアプリからシンボル検索で参照可能。

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・今後もタイ株を続けるかどうか
→まだまだ含み損がありますので、タイで働いている間は続けるつもりです。ただ運用金額が多くなってくると、タイ株ばかりに資金投入するのは不安ですので、他国株や株以外の投資にも手を出して分散させていきたいです。
私はタイに永住するつもりは無く、いつかは日本へ帰国する身ではありますので、長期投資は考えず短中期での出口戦略は考えないといけないと思っています。

リンク先のリクさんの記事によれば、条件が整えば日本に帰国しても口座を維持できることも可能なようですので、プラ転するまでは意地でも残しておくかもしれません。
まあ、その時が来た時もSETが低迷し続けてるようでしたら、全てS&P500やNASDAQに転進させたい気持ちもあります。

・今後のタイ株投資方針
→2020年の反省を生かして、2021年の方針としてはこれらを気にしてタイ株とつきあっていきたいと思っています。

1. アフターコロナ、中長期的成長を信じられる銘柄はホールド
→上記のポートフォリオで言えば、EGCO、BTS、BEMあたりでしょうか。このあたりは中長期的な成長が信じられ、タイ経済もある程度戻れば株価も戻るだろうと楽観はしているので、塩漬けてホールドしたいと考えています。

2. それ以外はトレンド順張り、当てが外れれば損切り
→デイトレードやスイングトレードをする気はあまり無いので、塩漬けホールド銘柄以外は、1~2か月持ってみて思ったように動かない、マイナス圏に突入するようであれば気にせず損切していきます。また、昨年は逆張りに賭けて塩漬けが多かったので、素直に順張り銘柄に乗っていきたい気もあります。

3. 今後のタイ株と経済を占うマクロ情勢
→タイ経済、株の一般的なマクロトレンドとして注目すべき項目は下記でしょうか。まあ、誰にも明確なことは分かりませんね。

・プラス要因
+ ワクチン普及でコロナ終了、経済と観光客回復?
+ RCEP等、世界貿易改善の効果で製造業、一次産業での輸出好転
+ バーツ高(タイバーツ建て資産保有している人にとって)
+ 資金が一巡して外国人投資家がタイ株にカムバック

・マイナス要因
- 国内、近隣国含めた政情不安、半軍事政権の先行き
- タイ国内や周辺国でのCOVID第三波、四波の発生
- そろそろ耐えきれずにどこかの大手企業が倒産しだす
- 世界的株高バブルの終了

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巷でよく言われていますが、米国や日本をはじめとする中央銀行の異次元金融緩和により、2021年2月現在、先進国の一部グロース株やIT株は、理屈では説明できないような値上がりをしています。

そんな中、2021年は新たな投資先を求めてグロース株からバリュー株へのセクターローテーション、先進国から新興国株への資金流入が起きるという専門家の予測もよく見られるようになってきています。
タイ株投資家の多くはこういった言説に賭けて、タイ株にスポットライトが当たる日を今か今かと待ちわびながら冬の時代を耐え忍んでいるのではないでしょうか。私も切にそう願う者の一人です。

ただ、ここ1年を生き延びてきたタイ株クラスタには理解いただけると思いますが、実際は米国株が急落した場合はそれ以上にタイ株は下げ、米国株がリバウンドしてもタイ株の戻りはそれ以下、というパターンを何度も味わってきました。

そして、タイは既に新興国というよりは中進国という中途半端なカテゴリに分けられていますし、実は日本と同様に今後高齢化社会に突入していくことは明白です。

その時、たとえ予測されているような新興国への資金流入が起こったとしても、そこで伸びるのはインドやインドネシア、ベトナム株になる可能性がどう考えても高く、現地在住者としても、今後タイ経済やタイ株がバブるシナリオは全く見えないのが正直なところです。

まあ、この状況で日経平均が30年ぶりの高値をつけるシナリオを予想できていた人もほぼ居ないとは思いますので、何が起きるかは分かりません。

※ここ1-2年のタイ株クラスタ(イメージ図)

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補足:本当にタイ株は儲からないのか?

ここまで読んで頂いた方のためにも、少しは明るい話もしておきます。筆者がタイ株で損失を出していることから、タイ株に対して後ろ向きな内容となってしまいましたが、ここ1年でもタイ株で確実に利益を出している方、数倍以上の株価成長を遂げている銘柄はそこそこ存在します。
単に私が保有していなかっただけで、羨ましい限りです。

試しに、Tradingviewのスクリーナーを使い、SET銘柄の中から年間上昇率でソートすると、この1年で株価が2倍以上になった銘柄は、ざっと50-60社はありました。SETの1月時点での上場企業数が744社ですので、あなたの目利き力によってはこういった銘柄を掘り当てることもできます。

一方で、株価が年間で半分になった銘柄は15社程のようですので、確立としては悪くないようです。単に会社ごと消えた銘柄が多いのかもしれませんが。

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例えば、DELTAという電子機器製造の企業は、世界的な電子機器需要の増加や半導体不足といったトレンドに乗って、業績も株価も大きく伸ばしています。(仕手筋の狩場になっている節もありますが。。。)

コロナショック時には、30バーツという底値をつけた株価も、それ以降は急速に上昇し、一時期は748バーツまで上がったこともあります。たらればにはなりますが、底値で掴めていれば25倍と、ビットコインも驚くほどの値上がりです。テスラは最大で12倍のようですので、それ以上でもあります。

私は上がり始め初期の頃からウォッチリストに入れていたものの、上がるたびにこれは上がりすぎでは、と毎度思い全く手を出せませんでした。そうこうしているうちにバブル相場は終わったので、今から入れる人はギャンブラーだけです。

※タイ株界のテスラこと、DELTA vs TSLAの年間チャート。夢の跡。

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以上が私のタイ株年間運用報告と手記になります。

将来、コロナショックのような大暴落が再び起きた際に、自身でも当時を参考にできるよう書き連ねました。この無駄に長いタイ株ネガキャンに近い記事を読み切って、よっしゃタイ株をはじめよう!という特異な方は少ないと思いますが、タイ株に興味がある、海外に居るけどこれから投資をはじめてみたいという方の参考になれば幸いです。

特に最近ネット上でも株で儲かって仕方がないといった報告も多いので、過去の私のように熱にあてられず、煽り記事や爆益報告に踊らされず冷静に投資を行って頂ければと思います。

もし1年後もタイ株を続けていれば続編を書くかもしれませんが、個別株や市場分析をするようなスキルは無いのでそういった記事を書く予定はありません。現状、全くイケてないタイ株界が少しでも盛り上がってほしいとは心底思っていますので、別の形で何かしらまとめる可能性はあります。

では、いつの日かタイ株にもバブルが訪れて、マイノリティであるタイ株クラスタが爆益報告で盛り上がるようになればいいなと願っています。
目指せタイランドエリート。

【免責事項】
株式にまつわる取引は完全に自己責任で、損失やトラブルに対して筆者は一切責任を負えません。筆者のように、全く利益を出せずに損失ばかりという可能性も大いにありますので、無理のない範囲でトレードを行いましょう。


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