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LPixelとの思い出

2013年の夏に参加した医療学生ハッカソンのApplicareが終わってから、ハッカソンに参加していたエンジニアの稲山さんが、

「エルピクセル」っていう会社が、アルバイトを募集しているみたいだよ、と紹介していました。

その時のLPixelは、まだ人数が3人くらいで、HPもWordpressでとりあえず作ったものでした。始まったばかりの大学発ベンチャーという感じで、まだ知っている人もほとんどいない会社でした。

画像解析!なんか面白そう!

ただ、朽名さんのMRIやPETを活用した画像解析の論文紹介などがされていて、「画像解析!なんか面白そう!」と思って、アルバイトしてみようと思ったのが最初のきっかけでした。

当時、僕は池袋の診療放射線技師の専門学校に通っておりましたが、ぶっちゃけこのまま診療放射線技師として現場で働くのかなあと疑問を感じていました。

専門学校に通う前に、親父のつてで病院見学をさせてもらい、診療放射線技師の仕事を見ていましたが、「こんなに気を遣わなければいけない仕事場で本当にやっていけるんだろうか」、という気持ちになったことを覚えています。

診療放射線技師の学術分科会に画像解析の部門があったので、例えば、医師みたいに、最初の2~3年頑張って、そこからは専門医みたいに得意分野で頑張るみたいなキャリアもあるかなあと思い、その絡みもあって、今そういう仕事をしておけば、何かにつながるかなあと思いました。

変わりもんだった僕

1人、社会人学生的に、医療関係の会社に勤める為にお金をもらって学校に通っているおじさんがいましたが、基本的に専門学校の人達は放射線技師になりたい人がほとんどで、僕は相当変わりもんでした。

専門の2年生の11月~12月頃に柏のキャンパスの研究室にお邪魔し、挨拶をさせて頂き、朽名さん(まだ研究室の作業服だった!)、湖城さんとそこで初めてお会いしました。

柏キャンパスの近くのお料理屋さんでご馳走になり、朽名さんの研究者としての人柄、熱意のようなものがいいなと感じましたね。

とはいえ、特に画像解析の何ができるわけでも無い中で、自分は週末勉強会をやっているから、

それの主催をやってみないかと言われて、最初は、Google HangoutでPython+Fiji(朽名さん)、Photoshop(湖城さん)の週末勉強会のアレンジをしてました。

その成果的なものが、LP-Tech(現IMACEL Academy)に残っていますね。

画像解析入門シリーズは①~⑦まで、Python講座は1~10まで初歩的な内容を書いたあとは、三好君たちがかなりマニアックな記事を書いてくれて、僕の役目は終わりました。

他には、LPixelのイベント報告などもここでやっていました。

↑こちらは、上野のいいオフィスに会社オフィスがあった頃に講演した時のこと。その後神楽坂・神保町にお引越ししました。

研究者の不正問題がホットトピックで、NHKが特集を組んでいた頃のことです。LP-examが注目されて、その後少しお手伝いしました。

こちらは本郷アントレプレナープラザにいた頃ですね。文章書きのスキルと技師の実習や勉強していたことをフルで活かしてブログ記事を書いておりました。

それから、ソンジュン経由でたまたま繋がった眞鍋先生と日大病院で開催した「医療xITカンファレンス」にLPixelさんに来て頂いたり、解析のお手伝いを軽く頼まれて、テストプログラムやソフトウェアを調べたり、自分が出来る範囲で色々やっていました。

専門学校の卒業までは、インターンとしてお邪魔していました。

急にやって来たDeep Learning

最近DLR(Deep Learning Reconstruction)というワードを耳にしますが、Compressed Sensingとか逐次近似再構成法の次のバズワードになるのかなと外から思ったりしています。

Deep Learningが来ても技師の仕事は無くならんというか、役割が変わるだけだと思います。教師データを作るのは技師さんだし、どんなAIの構成だと良さそうかというアイデアは実は技師さんの方が出そうな気もします。Deep Learningがどんなものかだいたい知っていれば。

2年半前にこんな記事を書きました。

まだ現場にすら出ていなかった自分ですが、新しい技術は市民権を得たら一気に広がるものだとiPhoneの事例で実感していたので、今は違っていても、もしかしたらそのうち人工知能が診断に入ってオペレーションを良くするとか考えられそう、とは思いました。Applicareでもそういうこと色々考えていましたからね。

でも、今年のITEMでも明らかにAIが来ることが現場レベルでも期待されている感じがして(技師さんもAIをチェックするようになったり、Chainerがどうとか言うようになったり!)、完全に流れが来たなと言う感じがしました。

実際すでにクリニックで動きつつあります。

Deep Learningが来る、人工知能が来る、と言われる中で、LPixelはうまく時流に乗って、医療界の理解と市民権を得たのが今年だったんだなと思いました。お疲れ様です。

未然に防げる死を避けるために

私がお世話になった飲みの先輩が先年亡くなりました。

年末までオールするくらい元気だったのに、1月の最初の出勤日にいつまで経っても来ないので、自宅に行ってみると冷たくなっていたという話を聞きました。

同僚にそんな話をしていたら、「本当は健診で調べたらいいんだよね。。」と話していました。

あまり縁起でもない話ですが、脳血管系の疾患は冬に多い気がします。その中で未破裂脳動脈瘤はMRAで事前に調べていたら分かることでもあります。

MRAは、GREのシーケンスでスキャンしたボクセル画像をビューワーで3次元で解析します。ビューワーでコントラストを調整し、血管像と関係ないものを除外して、医師が観察し易い画像を技師が提供します。

その場で瘤が分かれば、オーダーした担当医に連絡することもあります。(経過観察あるいはクリッピング)

ただ、1日に数十人の検査をし、読影し、結果を返さなければいけない中で、実際には見落としの可能性がある。

もし、見落としがなく、リーズナブルに検査できる仕組みがあれば、未破裂動脈瘤を未然に気づいて対処することも出来るかも知れない。

そして、それはAIを活用して徐々に実現しつつある。

LPixelがきっとそれを日本の現場から支える日が近づいて来ているのだなと思います。

それを支える人達を応援したい。

CIRCUSプロジェクトに取り組んでいる林直人先生が、技師こそAIの開発に関わるチャンスがあるんじゃないかと話しているのを聞いたことがあります。

きっと、技師さんのコミュニティをもっと活かした方がより良いものが出来るんじゃないかなと感じています。

是非頑張って欲しいです。医療がより誰の手にも身近にアクセス出来るものになればいいなと思います。

※医療現場から抜けてしまったので、だいぶずれているところももしかしたらあるかも知れません。その際は是非ご指摘下さい。

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