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アートと法律─よくわからない人のための読書案内

アート活動に携わるとき、そのメインフィールドは企画や制作、発表といった活動が中心です。しかし、アートにも当然バックオフィスは必要で、トラブルを未然に防ぐために対処すべき事項もたくさんあります。

にもかかわらず、表現以外の分野に苦手意識を持っている多くのアート関係者はとても多いのです。

そこで第一歩として、アートと法律の関係について理解の一助となったり、実際に必要になった時に役に立つ情報について、わかりやすく書かれた書籍を5冊紹介します。

・クリエイターのためのアートマネジメント─常識と法律(作田知樹)

アートと法律の基礎知識がまとまった一冊。

知識無用の法律相談!
誰も教えてくれない
お金のことからトラブル解決法まで。
現役のクリエイターやデザイナーから寄せられた豊富な相談例、
それに対する著者たちの明快な回答をもとに、
クリエイティブな活動を続けて行く上で最低限必要な
「常識と法律」の基礎知識がこの一冊に!

・ビジネスパーソンのための契約の教科書(福井健策)

契約とはなにか、基礎的なところからわかりやすく理解できる入門書。

ユーチューブの利用など、海外企業と直接「契約」する機会も増えた。国際メディア契約の第一人者による、実例満載の契約入門書。
契約交渉は古来、日本人が最も苦労してきたところだ。国際化が進み、今は企業も個人もネット上で海外企業と情報のやりとりをする時代。現代ビジネスに必須の契約マインドの身につけかたを、国際コンテンツ契約の第一人者が伝授する。
【担当者編集者より】2000年代に入って下された、ある衝撃的な判決。ウルトラマン・シリーズの権利を持つ円谷プロが、たった1枚の契約書により、シリーズ6作を海外で利用する権利を、永遠に失ったのです。ユーチューブやグーグルなど、現代の「黒船」が世界制覇を目指す時代。国際メディア契約の第一人者である著者は、日本のコンテンツを守ってくれるのは契約書の文言だけ、と言います。巻末の「契約の黄金三原則」は、すべての現代人必読です。

・現代美術キュレーター・ハンドブック(難波祐子)

付録に契約ひな形があります。

魅力的な展覧会を企画して、時代の新たな価値観や感性を提案するキュレーターという仕事。その醍醐味を紹介すると同時に、華やかに見える仕事の実際の姿を、実務的な展覧会の企画から実施までの流れに沿って具体的に解説する。アーティストとの契約書の雛型など、資料も充実の入門的な手引書。

・弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール(高木啓成)

音楽や動画分野はこちらが詳しいです。

【クリエーターの皆様には】
クリエイターとして活動している著者ならではの視点だから、
「ここがわからない! ここが知りたい! ! 」がよく分かる
弁護士で作曲家の著者による『権利』『契約』『ルール』の解説書!
「自分の楽曲がコンペで採用されたっ! この後どうすれば」?
「著作権契約書をもらったけどよく分からない・・・」
「著作権ってあらためて何のこと」?
「自分で制作した動画アップしたい」
「ゲームの実況、自分もしたい! 」
クリエイター活動の中でギモンに思うこと、判断をしないといけない法律や契約のことについて
詳しい文章とかわいいイラストで解説! !
【法律家の皆様には】 法律専門家のために、文献や判例などの脚注、モデル契約書集も掲載。
音楽業界の知識や動画制作の知っておくべきルールも徹底解説!
エンタメ法務必携の一冊!
● クリエイターや自社YouTube 動画制作に取り組む企業からの相談に備えて手元に置いておきたい一冊。
● 音楽クリエイター、動画クリエイターの個別の留意点を説明したうえで、両者に共通する契約の基本やトラブル対処法についても解説。

・おとめ六法(上谷さくら、岸本学)

文化芸術分野は人数は女性が多いにもかかわらず、男性が支配的立場にあることが多いという問題もしばしば指摘されます。そんな視点から、「女性の味方になる法律の本」も紹介しておきます。

わたしが悪いから、こうなっちゃったの?
警察に行ったらつかまえてくれるの?
相談したら、逆に不利にならないの?
万が一のそのときというのは、なにをどうすればいいかわからないもの。
本書は、【六法+α】の、女性の一生に寄り添う法律集。
憲法・刑法・民法といった六法の中から、女性の一生に寄り添う法律をピックアップ。
さらに、DV防止法、ストーカー規制法、著作権法、軽犯罪法、男女雇用機会均等法……など、毎日を守る大切な法律を網羅しました。
どんな証拠が必要になる? どこに相談すればいい?
あなたが持っている権利を守るために、知っておくと便利な手続きも具体的に解説します。
トラブルにあったとき、「わたしが悪かったからだ」と思い込み、
一方的に自分を責めてしまう人がたくさんいます。
しかし、本当にあなたが悪かったのでしょうか?
あなたはなにか法律に触れるようなことをしたのでしょうか?
相手の行いのほうが正しかったのでしょうか?
「わたしが悪いのかな」
そう思ったら、ぜひ本書をめくってみてください。あなたが再び前を向くきっかけになる「法律」が見つかるかもしれません。

最低限の基礎知識が広く共有されていることは、健全な表現活動を継続していくためにも大切なことだと考えています。ぜひ、参考にしていただければ幸いです。

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