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VRChatを250時間だけやってみて思う「メタバースの歩き方」

こんにちは。角谷(@hitoshisum)です。
メタバースがかなり話題になっていますね。

大きな会社や国家規模の陣取り合戦を横目に、自分は何ができるだろうと焦りを感じていますが、いま僕たちにできることを粛々と進めていく所存です。

さて、今回は「メタバースの歩き方」について書いてみようと思います。厳密には、いまメタバースを歩く方法・体験する方法を書こうと思います。

メタバースはスマホの次だ、というような話があちらこちらで聞かれるようになっていますが、経験したことがない人にとってはなかなかイメージしづらいのではと思っています。

興味のある方はVRChatをやってみてもらうのが一番いいと思っています。しかし、どんな世界なのか全くわからないところからはスタートしづらいと思いますので、メタバースにもっとも近いといわれている「VRChat」を250時間やってみた自分の目線で、メタバースの取り組み方を考察できればと思います。ちなみに250時間はわりと初心者の部類で、VRChatは数千時間を超えるプレイ時間の人もいます。250時間というと4カ月間、毎日2時間やっているイメージです。

もともと自分はゲームには通じていなかったので、これからはじめる人の参考になれば幸いです。

メタバースとは

メタバースに関しては、様々な捉え方があり、考察しだすと長くなってしまうので簡潔に・・・ITmedia Newsさんから引用です。

メタバース(metaverse)とは、英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語。もともとはSF作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した作品『スノウ・クラッシュ』に登場する、架空の仮想空間サービスに付けられた名前だった。その後、テクノロジーの進化によってさまざまな仮想空間サービスが登場すると、それらの総称としても使われるようになった。

メタバースといわれて紹介されるサービスといえば、SECOND LIFE、VRChat、cluster、Neos VR、FORTNITEなどです。

その中でも、VRChatは「メタバースに最も近いサービス」とこちらの本で書かれていました。

数百万ユーザー、最大同時接続数は4万といった規模感。規模でいくと同時接続数1000万人のFORTNITEなどとは比べものにならないぐらいまだ小さいですが、ユーザーがワールドやアバターを作り、人の手によってそこに社会が形成されてされていくエコシステムという点で、VRChatが頭一つ抜きん出ているといったことが書かれていました。

僕はそれを知って未来を体験してみたくて、2021年7月にVRChatをはじめてみました。
すっかりはまってしまい、毎日2~3時間はVRChatの中ですごしています。

VRヘッドセットを使って「ワールド」に入り、人と交流する

VRChatのユーザーは自分で作成、または購入したアバターをアップして使うことができます。自分にあった見た目にするための改変なども盛んにおこなわれています。

同様にVRChat上に「ワールド」と呼ばれる空間を作成し、そこに訪れることもできます。(これらはUnityというゲーム開発ツールを使って行います。)

そこで友達と会って写真を撮ったり、ゲームワールドを楽しんだりしながら、一緒にいる時間を過ごすという世界です。撮った写真は、DiscordやTwitterでシェアされ、友達同士の絆が深まったりします。

ワールド数は2021年11月15日時点で、80521ものワールドが存在しているようです

このようにワールドを巡りするだけでも楽しいです。

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VRChatはアンダーグラウンドな世界ではある

メタバース自体は、昔の「インターネット」の登場したころととてもよく似てるような気がして、個人的にはとてもワクワクしています。一方で、VRChatに関していえばアバターやゲームになれていない多くの人にとっては、敷居の高さを感じるアンダーグラウンドな世界だとも思います。自分もそうでした。

同人文化の強いVRChat
VRChatでよく使われているアバターをご紹介していきたいと思います。たとえば2020年に登場したこの「薄荷」ちゃん。実際にVRChatを歩いているとよく会います。販売しているBoothをみると「スキ!」が5680を超えていますね。

有志の方により世界的に実施された「ソーシャルVR国勢調査2021」のデータによると、このような人間、または亜人間のパターンが89%を超えているようです。たしかに実感としてもそんな感じがします。

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今後、もっといろんなアバターが登場しそう
一般受けしそうなアバターも少しずつ増えてくるのではないかなと思います。

例えば最近3Dキャラクターの制作ツール「Vroid Studio」の正式版がリリースされましたが、こちらの見た目は、これまでアバターを使ったことがない人でも受け入れやすい見た目が作りやすい・・・気がします。僕も最初はVroidから始めました。

Boothでもカッコイイ感じのアバターも販売されています。

「メタバースを知るには、VRChatをやらないわけにはいかないということですね」飛び込め~

先ほども書きましたが、僕は「メタバースに最も近いサービス」ということを本で読んで、VRChatをはじめました。いざ飛び込んでみたら、そこは体験したことがない新しい世界でした。紹介していきます。

ユーザーは、スマホやPCではなく、VRヘッドセットを使うことで、「身体性」を手に入れ、空間の中に「いる」ということができるようになります。イメージ的にはアバターに憑依するような感じです。

そこで起きるのは、ジェスチャースキンシップなどのコミュニケーションです。

メタバースをビジネス界隈で語るとき、意外とこの部分には触れられない気がします。僕は、身体性を伴うコミュニケーションはメタバースの一つの本質だと思っているので、あえて書きます。これを体験しないで、メタバースのイチ要素である社会性の本質は語れないと勝手に思ってます。ここで紹介するのはあくまで一例です。

身体性を手に入れたユーザーたちが作り出したVRChatの文化には、このようなものがあります。

「無言勢」
声を出さずに、ペンやジェスチャーのみでコミュニケーションをとる人達です。僕はVRChat上ではこれです。見た目とリアルの自分の声がマッチしないことに違和感を感じるので、声は出しません。比較的少数派な印象ですが、普通に存在します。

「ナデナデ」
まるで愛すべき動物をめでるような感覚でアバターをナデナデするという行動も見られます。いきなりナデナデするのは現実世界と同様で不快に感じる場合もあります。

「VR睡眠」
一番驚いたのがVR睡眠という文化です。VRChatの集会場と呼ばれるようなワールドを巡っていると、寝てる人が結構います。現実世界ではVRのヘッドセットをかぶりながら寝ているようです(寝るときだけ外す人もいるようです)。MPは回復するがHPが削られるといわれています。

「お砂糖関係」
VRChat上で恋人関係になることを、甘い関係ということでそう呼ぶ文化があります。VRChatに限りませんが、実際にソーシャルVRで知り合った人と現実で結婚するケースもあります。

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破壊されそうになる人格。
破壊された「自分は1つ」という固定観念。

僕自身、「アバター」をみにまとって活動してみるのはVRChatがはじめてでした。

アバターをまとうこと自体は、それほど抵抗はありませんでした。それが、自分のことを知らない人とVR上でコミュニケーションをしたとき、自分がこれまで築いた人格が崩れるような感覚を得ました。

どういうことかというと、アバターをまとってコミュニケーションをとると「相手が期待しそうな自分を演じてしまう」のです。僕はこの体験を通じて、人間は多かれ少なかれ自分の見た目に合わせて、相手が期待する自分を演じることで、自分の存在を形成している、ということに気づきました。

例えば、この記事を書いている角谷はわりと体格のゴツイ見た目をしていて、会社の代表という立場もあって、みんなから尊敬される強い自分を演じているわけです。もう自分はそういうものだと思っていました。

ところが、アバターをまとって、まったく現実の自分のことを知らない人とコミュニケーションしたとき、自然とアバターが振舞いそうな動きをしてしまいました。もうこの辺りはビジネス領域にいる角谷からは恥ずかしくて言えない気持ちですが、あえて切り込みますと、例えば現実の自分はしないような、口に手をあてて上品に笑うような動きをするわけです。いまではこのもう1つの人格は、TwitterやVRChat上でたくさんの友達を作り、VRChatでワールドを制作したりしながら、人生を歩んでいます

このような複数の人格を「分人」と呼ぶそうです。その集合体こそが自分らしいです。

つい先日のXRKaigiで慶應義塾大学大学院の南澤教授が「自分の中にパラレルな人生が存在する。それをうまく統合することで自分の経験値が積みあがる世界になるかなと」とおっしゃっていて、まさに自分はそれを体験していると思いました。

VRChatのはじめ方

メタバースを知るなら、まずはやっぱり体験してみることが大事だと思います。新しいものなので、余計にそうだと思います。

なので、この記事を読んでいただいて、「よし、やってみよう」という覚悟ができたら、Oculus Quest 2を買って、いまメタバースに最も近いサービスであるというVRChatを始めてみてください。VRChatをはじめたら、「[JP ] Tutorial」や「Quest日本集会所」などのワールドにいって操作方法を学んでみてください。

それから、Twitterで「#VRChat始めました」というハッシュタグで丁寧にあいさつをすると、たくさんの人がシェアといいねで迎えてくれます。これをきっかけに誰かが友達になってくれると思います。

友達ができ、あちらの社会の一員となったとき、メタバースの本質に触れられるように思います。

2021年11月、メタバースに関する様々な議論がうまれる。

僕はVRChatをメインにやっているので、主にVRChat界隈の議論を紹介したいと思います。

もともと結構議論あったVRChatに企業が参入されることへの賛否。
11月にFacebookがMetaに社名を変えたことや、日産が「NISSAN CROSSING」というワールドをVRChat上に公開したことで大きな話題を生みました。どうやってVRChatをみつめていくのがいいのかを考えるためにも、一部を紹介します。

僕自身はVRChatを愛しているので、VRChatをつかうみんながイヤな気持ちにならず楽しめるような仕事がVRChatをできるといいなと思っています。

とはいえ、すばらしいコンテンツをきっかけにVRChatに人は流れてくると思います。

VRChatへの企業の参入に対しては様々な意見がでているところですが、今後も様々なコンテンツが増えてきそうな雰囲気を感じています。コンテンツ力のあるエンターテインメント企業の参入によりVRChatをはじめる人も増えてくるのではないでしょうか。

来月12月にも、大型のイベントが待っています。
例えばサンリオさんの「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」。MoguraVRさんのニュースをみると「世界最大級の新感覚メタバースイベントになると説明されています。」とのことでした。

他にも、国内最大規模のVRChatのマーケットフェスティバル「Vket」が開催されます。Vketは来場者数は100万人以上になったこともあるそうです。


まとめ:メタバースは一般化の路線に徐々に歩み始めている。

スマホの次といえるくらい浸透するのに、どれぐらいの期間がかかるのかは誰にもわからないと思います。が、すでにやっている人はやっているという状況です。

VRChatは同人文化が強い世界感ではありますが、今後様々なメタバース関連サービスが登場してきたり、アバターが多様化してくると、一般の人も入りやすくなっていくと思います。

現時点ではもっともメタバースらしいサービスがVRChatということなので、そこにあえて飛び込んでみると少し先の未来が見れるのではと思います。

最後に:ザッカーバーグの手紙

“Meta”に込めた想いを、「メタバース」に注力するマーク・ザッガーバーグが手紙にしているので、最後にこちらを共有したいと思います。

創業者からの手紙(2021年版)

私たちは今、インターネットの次章の出発点にいます。そしてそれは、私たちの会社にとっても次章となります。

ここ数十年のテクノロジーのおかげで、より自然につながりあい、より自然に自分自身を表現することができるようになりました。私がFacebookを始めた当時は、Webサイトにテキストを入力することがほとんどすべてでした。しかし、カメラ付きの携帯電話が登場すると、インターネットはより視覚的で身近なものになりました。接続速度が速くなるにつれ、動画はよりリッチな体験を共有する手段となりました。デスクトップからWebへ、Webからモバイルへ。つまり、テキストから写真へ、写真から動画へと私たちは変化してきました。しかし、これは始まりに過ぎません。

次のプラットフォームは、より没入感の高いものになるでしょう。ただ視聴するだけでなく、体験の中に身を置くことができる、具現化されたインターネットです。私たちはこれをメタバースと呼んでおり、私たちが作るすべてのプロダクトに影響を与えるでしょう。

メタバースを決定づける特徴は、自分が他の人と実際に一緒にいる、あるいは他の場所に実際にいるかのような臨場感です。誰かと一緒にいるような臨場感は、ソーシャルテクノロジーの究極の夢です。だからこそ、私たちはメタバースを作り上げることに注力しているのです。

「ソーシャルテクノロジーの究極の夢」という言葉にぐっときますね。
Facebookが、SNSの延長上にメタバースを持ってきた、というのは個人的にはとてもしっくりきていて応援したい気持ちです。みなさんはどうでしょうか。


【告知】
TAMTO METAVERSE LABでは、メタバースの研究開発をこれからはじめたい企業の方々と一緒に、体験型の研究開発プロジェクトを行いたいと思っています。まずはVRをはじめるところを一緒にやってみませんか?ご連絡は角谷まで。
Twitter:https://twitter.com/hitoshisum

【告知2】※2022.8.30更新
東京理科大学様のVRChatイベント開催をご支援しました。
法人向けのVRChatワールド制作・イベント開催の支援をはじめました。

【告知3】※2022.8.30更新
体験会を定期開催します!