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HANASHINONETA(噺のネタ)

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噺家・玉屋柳勢( タマヤ・リュウセイ )が落語の「演目」毎に、稽古の裏話やエピソード、解説を。
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#寄席で掛けるネタ

[噺のネタ]9『手紙無筆』(大師匠の若き頃の十八番)

昨年、日本橋亭のヒルラクゴで久しぶりに『手紙無筆』を掛けました。 何年ぶりなんでしょうか…まったくわかりません。 前座の頃に習って、二ツ目になってからも鈴本の高座で掛けた記憶はあるんですが…あれは何年前だったのか。 それくらいご無沙汰の『手紙無筆』でした。 前座の頃は未熟だったこともあり、「無筆って…ちょっと時代遅れなネタだなぁ。10年後、演者がいるかしら」とすら思っていたのですが。 今回久しぶりに稽古してみたら意外に面白かったんです! 思えば昔、橘家文蔵師匠が寄席

[噺のネタ]8『表札』(昭和レトロな新作落語。)

今回は昭和の落語作家、鈴木みちを先生の作『表札』。 これは先代の古今亭今輔師匠のされていたネタで、いわゆる「芸協新作」です。 「芸協新作」とは落語芸術協会に伝わる主に昭和を舞台にした新作落語のことで、『ぜんざい公社』『ラーメン屋』などがそうですね。 『ラーメン屋』は雲助師匠の『夜鷹そば屋』の元ネタです。 レトロな雰囲気でアタシは好きです。 そんな芸協新作の1つがこの『表札』 (あらすじ)大学を出て社会人4年目の男の話。田舎から父親が上京してくるが、実はこの父親に秘