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ちょっとブレイク「親知らず」と陶芸家の誤算

知恵の歯(智歯)とは、つまりは親知らず。青春期の知恵がつくころ、物事の分別がつくころに出現することから、英語でもwisdom tooth。

赤ちゃんのころは、小さな歯が少し見えただけで「かわいい、かわいい」と感動したものだが、その後はいくつ生えたのか、ひいてはいくつ抜けたのかも知らない管理不行き届きな親である。ご存知、こんなふうに親が無関心になったころに生えるということから別名「親知らず」。

写真「トゥースボックス」
(成形コッチョリーノ/少年画)

我が家の男性陣ふたりが奇遇にも、今月はこの歯を抜くと、それぞれが別の歯科予約をしていた。ひとりは60を過ぎて社会に落ち着いたところで。もうひとりは20を迎える前に整えるということだ。(検診や診察の必要性と病院予約は、基本的に相談のうえ小学生から本人に任せている)

前者はすでに親もそれを知る余地さえない。後者は「親知らず2本ぬく」と医療費の請求。

数日後、小学校にあがるときにつくってあげた小さな陶箱を出してきて「入らないよ」と。まずは歯がいっぱい入っていてびっくりした。そして格段に大きな知恵の歯を見て気絶しそうになった。こんな大きな歯を入れることなんて、こんなたくさん歯が抜けるなんて、陶芸家として大きな誤算。そしてふたりで口を揃えて言った。

それで、これらの歯、どうすんの。

よく箱の絵をみると、窓の外にぽ〜い!と歯を投げている彼の望みがにじみ出ている。つくづく陶芸家のエゴ、いや親のエゴだったのかもしれないと思った。明日からの令和に向けてつぶやく。経験のない未来なんて…。


※おまけ
ちなみに、わたしは知恵の歯の先天性欠損どころか永久歯の欠損者であり、乳歯は数本しか抜けた記憶がない。人類の進化とも言われたことがあるけれど、いにしえのクロマニヨン人にもこういう人がいたらしい。いやはや、歯は大切に。


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