麻の実の栄養素

1。良質なタンパク質で必須アミノ酸をすべて含む。

 人体が必要とする9つの必須アミノ酸を十分に理想的な割合で含んでいる。

2。植物油で最も必須脂肪酸が多い麻実油(おのみゆ)

 人体にとって極めて大切な必須脂肪酸はリノール酸とαーリノール酸であるが、これらは体内で合成することが不可能なので食事から採らなければならない。麻の実の重量の30%から35%は、麻実油(おのみゆ)と呼ばれる脂肪油である。麻実油は、植物油の中で必須脂肪酸の割合が80%と最も高く、しかもそのリノール酸とαーリノール酸のバランスが3対1と理想的な割合で含んでいる。

3。食物繊維が豊富。

 麻の実は、古くから血糖降下作用、潤腸通便作用が高い漢方薬として使われてきました。麻の実には、食物繊維が約23%含まれている。

 食物繊維は、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性の炭水化物」と定義され、老化抑制や、ガンの予防にも効果があるとされている。そのため、5大栄養素である糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルに加えて、食物繊維を第6の栄養素という。一日最低17gの摂取が必要とされ、最近問題になっている生活習慣病(高血圧症、高脂血症、糖尿病、ガンなど)の予防のためには一日30g以上が必要といわれている。

 食物繊維の働きは、次のとおりです、

1. カロリーの取り過ぎを防ぎ、コレステロールなどの余分な吸収を防ぐ。

2. 血糖のコントロールを助ける。

3. よい腸内細菌が住みやすい環境を作る。

4. 通便を助ける。

4。ミネラルとビタミンがバランスよく含まれている。

 麻の実のミネラル分には、骨や歯の形成と成長に欠かせない「マグネシウム」、「リン」、「カルシウム」が多く含まれている。

 また、血液中のヘモグロビンの構成成分であり、酸素の運搬に重要な「鉄」やヘモグロビンの合成や骨や血管壁を強化する「銅」も多く含まれている。そのため、麻の実は、貧血の90%の原因になっている鉄欠乏に非常に有効であるといわれている。

 さらに味覚異常や生殖能力に関係が深い「亜鉛」も含まれている。

 ビタミンとは、動物の生理機能を調整する働きともつ微量の有機化合物の総称で、体内で合成することができず栄養素として食物から摂取しなければならないものです。ビタミンは、体内の生理作用を調整する潤滑油としての役割だけで無く、生活習慣病や老化の予防、細胞のガン化抑制物質として高い評価をされている。麻の実には、活性酸素から体を守って老化を防ぎ、また血栓の予防や治療に効果があり、さらに最近の研究ではアルツハイマー病で脳細胞が死滅していくのを抑制する効果があることがわかってきた「ビタミンE」、赤血球や細胞の新生に不可欠な「葉酸」が多く含まれています。

(参照、「麻の実クッキング~21世紀を拓く自然の恵み~」著者赤星栄志の8頁から27頁)
 なお、種子(麻の実)の100グラムあたりの食品成分表は、次のとおりです。
エネルギー 469kcal             マグネシウム 640mg

水分 5.9g                鉄 13.1mg

タンパク質 29.5g             銅 390マイクロg

脂質 27.9g                糖質 9.2g

ビタミンA 効力 11 IU             繊維 22.1g

ビタミンAカロチン 20マイクロg     灰分 5.4g

ビタミンB1 0.35mg            カルシウム 130mg

ビタミンB2 0.19mg            リン 1100mg

ナイアシン 2.3mg            ナトリウム 2mg

亜鉛 6000マイクロg

  出所「四訂 食品成分表」女子栄養大学出版部

麻の実栄養素のデータ集(参照「麻の実クッキング~21世紀を拓く自然の恵み~」著者赤星栄志の8頁から16頁)

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