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1時間の演技レッスン、例えばこんなことやります!

おはようございます、ひがくぼです!
昨日のレッスン、みんなとても元気でレスポンスが早くて、短時間での変化も見られて、とても楽しい時間となりました!

さて、私の演技レッスンで実際にやった内容をご紹介します。

今回の対象:声優を目指す10代~20代前半の生徒さん、8名
実施時間:1時間

※コロナ対策のため、アップは椅子座ったままできるもの、発声を伴うワークの際には最大5名までアクティングエリアで正面を向いてやる、というご指定の中、プログラムを組みました。

時間内におさめ、偏りなく受講生全員に目が配れるよう細かくタイムスケジュールをしています。

ウォーミングアップ

座ったままでも、耳と手の反射区を利用して全身があったまるように考えています。
せっかくなので、詳しく書いておきます(・∀・)

①耳のマッサージ
・耳たぶをひっぱる→耳全体をもみもみする→両手でチョキを作って耳をはさみ、付け根から回す
②エラ(咬筋)のマッサージ
・人差し指をかぎ状にして、指の背の第二関節のあたりでほぐす
③首の付け根をマッサージしながら、頭を上下にする
④首筋のマッサージ
⑤鎖骨と腕の付け根のマッサージ
⑥指と手のマッサージ
・親指→小指→人差し指→薬指→中指の順に第一関節から徐々に付け根に向かってマッサージ
・手のひら→手の甲をマッサージ(筋膜のリリースを体感する)
⑦手を肩に添え、前後に回す
⑧座ってできる肩甲骨はがし
・片方の手を背中側にまわし、肩甲骨の間辺りを触る→もう片方の手を頭に添えて、手の重みを感じながら下を向く
⑨両手を組んで頭の後ろに添え、首の後ろから肩甲骨辺りまで(僧帽筋)をしっかりのばす
⑩両肩を限界まで上げて、ストンと力を抜く(3回程度)

参加者の様子と、要望を聞きながら若干の調整をしていきますが、呼吸を止めないことと余分な力が入らないようにということは必ず声掛けをします。

☆この時に伝えたいこと

・演じる前のコンディション作りの大切さ
・パーソナルゾーンと日常生活の話
・レッスンと本番について
※具体的にどんなお話をしているかは、それぞれ別の記事にしていこうと思います!

アイスブレイク

今回使ったワークは「仲間集め」

<ゲームの流れ>今回はコロナ対策バージョン
①一人がアクティングエリアでみんなの前に立ち「わたしと同じ○○な人」という呼びかけをする。
☆○○の部分は自分の好きなものやこと、なんでも入れてOKです。
②それを聞いていた周りのみんなは、リアクションをします。
ex)YESの人→ばんざい(ハイタッチのような気持ち)
NOの人→顔を隠す
どっちでもないという人→頬杖をつくモーション など
☆先にポーズを決めて伝えておいた方が、瞬発的に反応ができて面白いです。

誰も手を上げてくれないとさみしいのですが、そこは「オンリーワンも素晴らしいよ」といって盛り上がります(笑)

・どうしてアイスブレイクをやるのか

私のレッスンでは、最初のコンディション調整や関係性創りに結構きちんと時間を割いています。
「そんなことして遊んでないで早く演技の技術を教えてよ!」なんて焦る気持ちを持っている生徒さんもいないことはないと思うのですが…
せっかく他にも人がいるのであれば「利用しない手はない!」
演技の上達を目指す時に個々人でもやらなきゃいけないことは、それはもうたっくさんあるのですが、一人で稽古を重ねるのとはまた違った形で、色んなことを吸収することができます。

でも、もし…

そこにいる人たちには全く心が許せず、絶えず緊張するような関係性だったら…?

全てのことは演劇の学びに繋がっていると考えるので、それはそれで「こういう関係性だとこういう心身になるのか」という引き出しは増えるけど(笑)
そうじゃない方が、何倍もの充実した時間に繋がります。

なにより、演じる時には例えそれが一人芝居であっても<コミュニケーション>を取っている状態に違いありません。
実際に人がいる時に、その機会を無駄にするのはもったいないのです。

課題 詩の朗読

まずは初見で一回読んでみます。
今回はさらっと読むと30秒ほどのテキストを使用しました。
その時の自分の身体の感覚や、音として出てきた台詞をなるべく記憶しておく
自分以外の人たちの表現も覚えておくと、その後の変化について考察ができてより有意義です。

ワーク『言葉の扉』

このワークは、私が好んで多様するゲームです。
言葉の背景にあるものに思いを馳せる、というか
ひとつの単語だとしても、人によって持ってるイメージや、それにまつわる思い出など全然違うものを持っているんだということを知ってもらいたいという時に使っています。

<流れ>
①ひとりがホワイトボードや黒板などを背にして立ちます。
ホワイトボードは、立っている一人以外には見える状態です。
②ホワイトボードにキーワードを書きます。
③ホワイトボードが見えている人たちは、そのキーワードを表す他の言葉を順番に言っていきます。
☆擬音語や抽象的な表現もなんでもありです。説明的になりすぎないようにするのが楽しむコツです。
④立っている人は「これかな?」単語が思いついたら回答します。
ex)キーワード「太陽」の場合、「あつい」「最高神」「ぽかぽか」など

人それぞれ、色んな言葉でひとつのことを表現しているということと、その単語が自分にとってどんな感情をもたらすものなのか、などを体感してもらいます。アイスブレイクでやった「仲間集め」はだいたいポジティブなものを出してくれるので、その時の身体の様子も振り返って、感覚を比較してもらいます。

☆この時に伝えたいこと

台詞って書いてあるから喋っちゃうし、演技を勉強してる人は台詞を口に出すこと自体が楽しかったりするので、それが目的になってしまいがち…
でも、本当はその単語、その一行の台詞が出てくるまでに星の数ほどの選択肢の中から伝えたいという想いと衝動のもと、「これだ」という言葉が出てきてるはずなんですよね。
大げさに聞こえるかも知れないけど、実際には無意識のレベルでその選択をしているはずなのです。
それを少しでも実感してもらえたらな、と思っています。

マンツーマンレッスン

みんなでレッスンを進めていて、吸収できること、発見すること、たくさんありますが、やっぱり個別のアドバイスも欲しいですよね。
ということで、一人当たり3分という時間でしたが、濃密な時間を過ごしました。
まずは、先程のワークを踏まえて自分なりに言葉の背景を考え、イメージを強くしてもらい、ひと通り読んでもらいます。
その後、それぞれに合わせたアドバイスをして、ラストにもう一度読んでもらいます。
アドバイスの内容は様々です!
いくつか、実際に出てきたものを紹介します。
○「ごちそうってどんなものを想像してる?」
→この方には言葉に対するイメージを質問してみて、より具体的なイメージができるように促しました。
○「緊張してると瞬きが多くなる。自分の内側に気がいってる時だから伝えることに集中しよう」
→この方は一連の中ですごく素敵に発語できている部分がありました。その時は目線がしっかりしていた!なので「できるよ!」といって集中してもらったらすぐに変化しました。
○「文章の一行ごと、もしくはブロックごとに見る方向を変えて喋ってみて」
→この方は、頭の中では色々と考えているのが見えましたが、「きれいに話すこと」にとらわれて、イメージの感覚が身体に落ちていないように感じました。見る方向を変えると自然に身体の感覚が変化し、声音も変わるのでそれを体感してもらいました。
○「右足重心になってるよ」
→この方はすごく好青年といった感じの声質と雰囲気で詩を読んでくれたのですが、右足重心になっていました。それは、体現したい役柄のイメージとは関係なく普段の癖が出ているだけだと感じたので(もしくは照れ隠し)その部分を指摘し、真っ直ぐに立ってもらったら、それだけで言葉が聞きやすくなり、重みも感じました。

まとめ

まとめで伝えたことは、今日の変化を味わって感じてもらうこと。
ちょっとしたことで、すごく変化があったのでどんどん色んな引き出しを増やしてほしいということ。

「三つ子の魂百まで」とはいうけれど、性格や癖は後天的に身に着くものが多い。いつでもフラットな状態に入れるように日頃からコンディション作りを意識すること、日常生活のすべてが自分が演じる時の引き出しになるということをお話して、まとめとしました。

みんなに伝えたいことはまだまだあって、今回のレッスンのために作ったノートの書き込みのうち、三分の一も伝えられなかったですが…
それでもやっぱりメモしておいてよかった(笑)
最後に「これだけは!」ってことをお伝えしました。
まぁ、私ばっかり喋っててもしょうがないですからね。
自分が発見したことに勝る学びはないと思っているので、その時間は提供できたなと思います!

さぁ、春から楽しみです!

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