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全くのドラえもん素人が「映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)」を観た

突然だが、国民的アニメと称して過言ではない
・サザエさん
・アンパンマン
・ドラえもん
を見たことがない人はいるだろうか。

サザエさんは高校生まで毎週は欠かさず見ていたし(ながら見なので特におすすめの回は?と聞かれても困ってしまう)、アンパンマンは小学校低学年まではガチ勢で、大学生の時もリアルタイムで見ていた。
しかし、ドラえもんに関してはノータッチであった。
どら焼きが好きな22世紀からきたロボットとダメダメ小学生の物語、くらいにしかとらえていなかった。

そんな私がアラサーになって、ようやくドラえもんに触れる機会ができた。
なぜなら、3/3〜公開されている「映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)」のゲスト声優に私が気になって仕方がない男性アイドルグループ・King&Prince永瀬廉さんが選ばれているからである。

公開2日目に見に行ったが、家族連れが多いのかと多いきや男女問わず大人同士で見に来ている様子が見受けられ国民的アニメの底力を実感した。
私のようにひとりで見に来ている人も想像の5倍はいたので間口は広い。
ひとり映画デビューにも良いかもしれない。
以下、簡単にあらすじと感想を述べたいと思う(ネタバレを一部含んでいるので注意)


「パーフェクト」を目指して奔走する

最初の不穏なシーンで今作オリジナルキャラである、私が映画館に足を運ぶきっかけになったソーニャが現れた。
「ああ、悪役か・・ドラえもんに成敗されてしまうのか・・」と思った。

次のシーンで打って変わって学校のシーン。みんな声が高いなあと感じながら、前シーンとユートピア伝説の関係性を回収。テストでとんでもない点数を叩き出したのび太少年がユートピアらしきものが浮かんでいることを発見し、ドラえもんに報告するも反応なし・・・と思いきや別日にのび太くんの言っていたことを確かめるために飛行船とスーツ(?)を購入。タイム新聞なる道具で過去の新聞記事の噂を実際に見て確かめていた。
ドラえもん、気前がいいなあ。タイム新聞めちゃくちゃ便利・・!
そしていじめっ子っぽく見えていたスネ夫やジャイアンも真面目に協力していて「良い子じゃん!」と驚いてしまった。(これが通常運転なのか?)
あまりにも現実はスネ夫やジャイアンのようないじめっ子っぽく見えて実は良い子・・という案件が少なすぎる。むしろ良い子そうに見えた人が黒幕だったパターンが多くて人を簡単に信用できないなあ。そんなこんなでのび太くんが見たであろうユートピアと接触・・!と思いきやソーニャがとんでもない勢いでドラえもんたちを攻撃し暗転した。

目が覚めたらソーニャがいて、彼らを自分の住んでいる“パラダピア”に招き入れていることを説明し、のび太たちは「パーフェクト小学生」を目指すことに!
「ソーニャは悪者だから近づいちゃダメだよ!!!」と心の中で何度も叫んだ。
学校のカリキュラムは妙にリアリティが高く、また、出来が悪いのび太を応援する生徒の構図に心が温かくなった。周りはどんどんパーフェクト小学生になっていくのに一向に進展がないのび太。その苛立ちをドラえもんとぶつけ合うシーンで1回目の涙。自分の現状に近いものを感じてしまった。
それを見ていたソーニャが大笑いしており、初めて彼の感情が見えたことで一気に心を掴まれてしまった。

その後物語は「パーフェクト」の本質にあらゆる登場人物から迫っていき
パーフェクトにこだわるこの世界の真意とは、ドラえもん・のび太・ジャイアンとスネ夫としずかちゃんの分断。ソーニャの過去から見る現在のスタンスと葛藤・・・。
そもそものび太たちは元の世界に戻れるのか?!?!と私が語る必要がないくらいスピーディに且つファンタジー風現実的な展開で観客を魅了してくれる。
エンディングテーマが終わるまでに3回本気で泣いてしまった。
下半期によほど心掴まれる作品がない限り、間違いなくこの作品は今年見た映画で1番印象に残ったものになるだろう。

ドラえもんたちが教えてくれたこと

①欠点を受け入れ認め合うことの大切さ
欠点を消して、「パーフェクト」な状態を否定するわけでもなく
欠点がある人の方が面白いと言っていたのが印象的であった。
勿論欠点を開き直ってはいけないが(短気だからすぐキレちゃうよ?と周りに言いながら常時何かしらに文句つける、のようなものはNG)その欠点が逆に「パーフェクト」側から見ると長所にもなり得る場合があるという発想は目から鱗だった・・さすが22世紀から来た大先輩・・・!

②思い込み・初見だけで判断しない
劇中、初見敵ポジションと思われる人が現れる。その人をドラえもんとのび太は誤って攻撃をしたことで遠回りをすることになってしまう。ソーニャも初見でドラえもんたちに攻撃を仕掛けていたが結果同じ志を持っていたということもわかった。マイナスな印象を持っている人を避けたり攻撃したりする方法がたくさんあるため、ついついやってしまいがちだが一旦聞き入れてみることを怠ってはいけないと思い知らされた。

③自分の意思に従って行動する
最近王道アニメ作品を見ていなかった故の発見かもしれないが、この作品は一部シーンを除き皆自分の考えですぐ行動している印象的だった。
その意思が悪い意味で思い込みに化けてしまう部分もあるけれど「●●のために・・・」「○○だったら楽だから・・・」のようにいい意味で複雑に物事を考えていない。●●を▽▽したいから動く!、自分が◇◇したいから動く!と非常にわかりやすいし、強いなと感じた。
私は自分の意思に従って行動しているだろうか。自分の意思は持っていてもどこかで利害関係を計算したり顔色を伺ったりして自分を殺しながら生きているような気がする。だから行動に厚みがなく信用されないのかと妙に納得してしまった。もう少しまずは自分の意思に従って行動してみよう。(精神的)被害者が出てしまった時にはすぐにフォローできる態勢は用意しておこう。


おわりに

子ども・家族連れのための映画なんて侮ることなかれ。むしろ大人の方が刺さる映画だと思うし、逆にこんな上質な映画に幼少期から触れることができる子どもが成長したらどうなるのか楽しみですらある(誰目線?)
最近泣いていないな・・という人にもぴったりな作品だ。

そしてソーニャを演じた永瀬廉さんに拍手を送りたい。
ソーニャ目当てで観に行ったが、どこかで「こんな国民的アニメに声優味経験者が出たら叩かれるのでは?」「予告見た限り感情ゼロだけど表現できるの?」と失礼なことを思っていた。感情ゼロにもワケがあり、後半の畳み掛けは中の人を綺麗に忘れることができた。
思い起こせば永瀬廉さんの大きい仕事はいつも初手不安になることが多い。
大人気モンスター漫画(小野田坂道/弱虫ペダル)・朝ドラ3番手(及川亮/おかえりモネ)・誰しも知っている戦国武将(織田信長/新・信長公記)・闇深大学生(私/真夜中乙女戦争)と一歩間違えれば作品に泥を塗る大事故を起こしかねないものを見事にやり切ってくれている。1ファンとして誇らしい。
彼自身全く苦労話をしていないもののメンバーや共演者から見た姿や毎日ブログで発信をしてくれるのはまさにパーフェクトなのだが、時折見せるすっとこどっこいぶり(?)が愛おしさに磨きをかける。

ともあれソーニャのぬいぐるみが今は1番欲しいし、本編に再度何処かで出てきて欲しいと思うくらい2時間でドラえもんの世界に引き込まれた。


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