【百線一抄】025■かずら橋が越える峡谷は峰向こうー土讃線
名の通る主要幹線といえども、その鉄路が穿つ道程が殊の外、何か
につけて自然に抗う隘路続きとなるとどうしても歩みが鈍くなる。
四国を南北に縦断する路線は少なく、讃岐山脈と四国山地を越えて
大歩危小歩危と名だたる渓谷をなぞりながら、香川と高知を我こそ
はと結んできたのが土讃線である。多度津から琴平、吉野川を越せ
ば徳島県阿波池田、峡谷を抜ければ後免、高知と進み窪川に至る。
歩みを阻む山岳を眺め、琴平、阿波池田、須崎の各地区に根を張る
風に順次線路を延ばし、山越えの区間は昭和初期