見出し画像

「昔ばなしがきこえるよ」 ワークショップ@都美術館 1日目  

[1日目] 2022年8月17日   10~12:30pm

今回のワークショップでは、

育った場所やルーツが違うけれど、今東京に住んでいる子供達が集まる。そして、“違う文化をもっている。だけど共通するものもある。”という事を、一緒に物を作ったり、話したりする中で感じられたら良いのではないかと思いました。未だ、日本語だけで発信されることが多い美術館の情報は、日本語が第一言語でない人には届きにくいのかもしれません。ワークショップをきっかけに、一度きてもらう事で美術館にも馴染みを持ってもらえたら。そこで「やさしい日本語」を使って発信すること、ワークショップを行うことも大きなポイントでした。

内容は大きく、“紙作り”と“昔ばなし”の二つでした。

そこで、なぜ“昔ばなし”なのかというのは、自分でもまだうまく説明できないのですが… 昔ばなしというのは、世界中にあるもので、国や地域で共通点があったり、理解できないような違いがあったり。誰しも、一つは大好きな昔ばなしがあるのではないでしょうか。大切な根っこのようなもの。それぞれの国の言葉で「むかしむかし…」を教え合い、みんなで言ってみることにもしました。

一緒に紙を作ることは、アイスブレイクにもなります。そして、紙はテントになり、来年に美術館で展示される予定。テントの紙を作った子供達が来年観に来てくれたら、さらに広がりが出るのではないかと考えました。蝶々がとまっているような形のテントには、子供たちが安心して本を読んでいられるような、“避難所”のような意味も込めています。

1日目のメインは紙作り。一つは各自1枚B5サイズの紙漉き。もう一つは、共同で大きな紙作りです。B 5サイズの紙は、2日目に作る本の表紙になります。大きな紙の方は、2日目にはテントになる予定です。

朝10時、15人の8歳から16歳の子供達が集まってきました。日本、中国、アメリカ、インドにつながりを持つ子供達です。自己紹介や荒木の作品紹介や、今回のワークショップのねらい、なぜ昔ばなしか、などをお話ししました。そして、自分がつながる国の言葉で“むかしむかし”を、1人づつに言ってもらい、みんなで声に出して言いました。

インド出身のNさんの登場。彼女は、2日目は参加できなかったので、1日目に昔ばなしを紹介したいと準備してきてくれました。16歳らしく、自分のパソコンでパワーポイントを準備してきてくれました。インドの昔話を日本語に訳して、画像を見せながら発表しました。Nさんが紹介してくれたインドで人気の昔ばなしには、一話づつに教訓が必ず一つ入っているそうで、そのお話の教訓は「嘘つきは必ずつかまる」という事でした。

その後に、紙を作る素材や、作り方の説明をしました。そして、2部屋に分かれていよいよ紙の制作です。

アート・スタディ・ルーム=2日目に作る本の表紙にする紙を作る部屋。

紙の元が入った2リットル入りのペットボトルを、100回シェイクするか、ミキサーにかけるという2種類の方法で、紙の元の繊維を細かくしました。そして、水を張ったバットの中に入れます。

すく為の枠は、食品トレイを2枚重ねて、網戸のアミを挟んだ物です。1人1〜2枚、そして時間が余った子供達が、2日目から参加する子供達のために余分にすいてくれました。

スタジオ=テント作りの部屋の方は、

ブルーシートが敷き詰めてあり作業部屋という雰囲気です。同じ紙作りといっても、もう一つの部屋の作業とはだいぶ違います。蝶の形のテントの、羽の部分の紙を作ります。そのテントは、高さ160cmで蝶がとまっているような形になる予定です。

90リットルサイズのバケツに入った、大量の紙の元を用意しました。その紙の元を、すだれと網がひいてある木枠の上に乗せていきました。バケツから紙の元を、ラーメンの湯切り用アミですくいます。ちゃっちゃっと水を切り、アミの上にどさっと乗っける。

そしてアミの上に手でのばしていく。すだれの下にはどんどん水が落ちていきます。濡れた紙の元を手で伸ばしていく感覚を、食べ物にたとえたり、雪に見立てて遊んだり、水しぶきを飛ばしながら作りました。

子供たちはレインポンチョを着ていたので、水濡れを気にせず楽しめました。仕上げに自分達の手形をつけました。2日目に紹介する昔ばなしを探してくる宿題が出て、感想シートを書いて1日目のワークショップは終了しました。

ここまでのPhoto 石井俊
表紙用の紙は、お野菜を干すネットに入れて乾かしました
Photo Tamana Araki

来週また会おうね!







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?