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『出張森づくり隊』、静岡県へ行ってきました!

2023年9月29日~10月1日、静岡県へ森づくりのお手伝いに行ってきました。その時の活動の様子をレポートいたします。

【出張森づくり隊 in 牧之原市 for 放置竹林と古民家裏山の崩落斜面整備】

私が『出張森づくり隊』という環境団体に入隊したのは、今年の6月のことです。

「森にも個性がある。その個性に合わせた手入れの仕方も、森の数だけあり、環境再生の方法も一つではないはずだ。だから、日本全国の森へ出向いて、その場所に合った〝森が喜ぶ森づくり〟をしていきたい」

そんな、隊のビジョンと、私がいま一番大切にしたい自分の想いが重なって、既に4回、森づくりのための〝出張〟に参加しました。
単なる観光ではなく、目的を持って、見知らぬ地へ赴くことが出来るのも、出張森づくり隊の楽しみであり魅力でもあります。ただの遊びやレジャー、観光目的だと、どうしても観光名所やグルメの旅みたいになってしまい、それだと経済的にも躊躇って、無駄遣いのような後ろめたさに負けて先送りしてしまうことが多いのですが、出張という名のもと、使命感を持って旅行にいけるのもワクワクする醍醐味があるんです。それと、共通の目的と想いを持った、世代を超えた見知らぬ人たちとの出会いも、、、。

今回も、素敵な方たちと知り合うことが出来ました。

環境意識の高い、地元の大学生の方々や、
オリジナル和紅茶づくりに挑戦中の農家の方も参加。

老若男女の総勢8人で、親交を深めながら、様々な造作を行いました。

江戸時代から13代つづく庄屋さんとの出会い

今回の出張は、全国各地にある出張森づくり隊の拠点のひとつ、〝古民家 どんぐりの芽〟から程近い場所で、山の斜面に数十本のスギの木が伐採されたまま放置されているのをたまたま見かけた隊長のYUKIくんが、その山の持ち主に事情を聞くため訪ねて行ったことが発端でした。

Welcom boad
古民家 どんぐりの芽
玄関先では Welcome frog のツッチー(DGM48メンバー)が出迎えてくれました。

植林後に数十年が経過して大きく成長し、傾き始めて、隣接している建物に倒れ込む危険があったため、仕方なく伐採せざるを得なくなったのだそうです。

しかし、発生材の処分費用までは工面することが出来ず、そのまま放置しているとのことでした。

私は以前、少しだけですが林業に関わったこともあるので、一目見て、このまま放置することの危険性を感じました。

・山側に倒されたままの木は、いずれ枝が腐食し、残った幹は支えを失ってブレーキが効かなくなり、斜面をずり落ちて来る可能性もある。
・地中に残された根もやがて枯れ、地形を支えていた力が弱まるとともに、地下から水を吸い上げなくなれば山肌の乾燥が進む。
・地表が乾燥すれば、降った雨は地面に染み込まずに表層を流れ、ますます山の保水性が失われ、森は荒廃してゆく。等高線と直角に近い角度で置かれた木の下は水みちになりやすく、土砂の流出に拍車をかける。
・枝を払わずに放置された場所はヤブ化しやすく、山の荒廃が進めば、ササやタケなどの浅根性の植物が蔓延っていく。
・・・・etc。

数え上げればキリがありませんが、昨今の〝想定外の豪雨〟のせいにされている川の氾濫や、山の崩落などの、〝自然災害〟(あくまで人間目線での災害です)に繋がる可能性が否定できません。

もちろん、悠久の自然の営みの中では、数百年、数千年と時間をかけて、ゆっくりと環境を再生していくのだと思いますが、人間だって自然の一部、自然に寄り添いながら、助け合って生きていくことだって出来ると思うのす。

そんな、自然が再生するための〝きっかけ〟づくりをするのが、出張森づくり隊の目指すところです。。

出張森づくり隊の活動に理解を示してくれた、とても素敵な庄屋さん。

課題は、倒木の処理だけではなかった

初日、山主の庄屋さんが、周辺の森を案内してくれました。
そして、伐倒したスギの片づけよりも、先に優先したい場所がいくつもあることが分かりました。

手入れがされないまま荒廃し、人が入れなくなってしまった竹林。

先日の大雨で斜面が崩れた母屋の裏山。

斜面が崩落して流出した土砂
竹林の入り口で作戦会議

山の中の通り道も、各所で倒木が道を塞いでいたりで、繋がりを失っていました。道がなければ、山の手入れも叶わず、荒廃が進むばかりです。日本の全国各地で直面している、さまざまな森の問題の縮図が、そこにありました。

「竹林にも入れなくて、タケノコも取りに行けないんですよ」

という庄屋さんの言葉を重んじて、午前中は放置竹林を整備し、午後から裏山の斜面の手入れをすることにしました。

タケノコ採りたいから竹林を整備!?、、、。

ちょっと違和感を感じた方がいるかも知れませんが、実は逆に、これって一番大切なことなのかも、と思うんです。だって、毎年の春、タケノコを掘って食べ(間引き)、成長したらタケを切り出して様々な生活の道具をつくって利用する。その道具は、古くなって使えなくなったら再び土に還せばゴミも出ない。そうやって人は、いにしえから自然と共存してきたのだと思います。そうした日々の暮らしの中には常に、自然への畏怖と感謝の念があったと思うんです。その、いちばん大切なこと、、、、自然と共に生きるってことが、現代では失われて来てるんじゃないのかな、、、。

放置竹林整備の様子

折り重なって倒れている枯れたタケと倒木を片づけ、斜面には歩きやすいように発生材を利用して階段を造作しました。

立体パズルを解くように、倒れたタケを外してサバいてく
使えるものは、使う。
ゴミとして捨てるために運び出すものはありません。
丸太や枝は、階段づくりに利用します。
打ち込む杭も手作り、土中環境の改善に役立ちます。
〝かけや〟も手作りのもので。

竹林が綺麗になってゆくのとシンクロして、歩きやすい道も伸びてゆきました。

階段の出来上がり!

ランチタイム♪

お昼ご飯は、すっきり気持ちよくなって来た竹林の中で頂きました。

〝どんぐりの芽〟の庭先に生えている(究極の自然農?!)シソの実を、
炊きたての御飯に和えて、
おにぎりも手作り。

手入れ後は林内の空気が動き始め、そよそよと通り抜ける初秋の風に癒されました。

母屋の裏山整備の様子

午後からは、庄屋さん宅の裏山法面の手入れに向かいました。

現場着。先日の台風による豪雨で奥に見える斜面が崩れ、石垣の下にある水路に大量の土砂が流れ込んでしまったとのこと。

周辺を見て回ったら、崩落の様々な原因も見えて来ました。
重機を入れて大工事を行い、コンクリートの擁壁を造って斜面を守る?!、なんてことはせずに、自然の力を借りて、なんとかここの地形を安定させていきたい、、、。

土中の水と空気の流れを改善し、微生物と植物たちの力で斜面が安定していくための〝きっかけづくり〟を行うことにしました。時間はかかっても、場当たり的で問題を先送りする一時的な対症療法ではなく、数十年数百年と地形が安定する、古来から受け継がれてきた造作です。
斜面に段を切り、溝を掘り、杭を打ち、炭や枝葉を入れ、もしも安定する前に崩れたとしても土留めになって家屋への直撃を防げるよう〝しがらみ〟を編んでいくことにしました。

写真右、斜面脇を登る階段づくりも、地形を安定させるための大きな役割を担っている。
崖際と、途中の斜面には、地形に沿って段を切る。
杭づくりにチャレンジちぅ~。
自分で苦労して作った杭を自分で打ち込むって、何故だか楽しい喜び!
先輩に教わりながら〝しがらみ〟づくり。
だいぶ伸びて来た。

コンクリートの擁壁なんかより余ッ程°うつくしいなァ~。

と、だいぶノビて来た私、しがらみの擁壁を眺めながら、チョット(かなり)一息。
出張森づくり隊の良い所は、自分のペースで無理せず休憩できることです。
疲れを知らない若者1
疲れを知らない若者2
疲れを知らない若者3
チームワークMAX!。うわあっ!、
一つの生命体と化している、、!!!
作業アフター1
作業アフター2

とりあえず、今回は応急処置までは出来ましたが、まだまだ道半ばです。
今後も継続していきたいと思います。

ふりかえり

♤ 〝森づくり〟の観点で作業をしたことが無かったが、どうやったら〝道〟がつくれるか、が分かって良かった。(二十代、農家の方)

♡ 全員知らない人たちの中に入ったが、教えて貰えて良かった。自分たちのためではない活動が出来たのが良かった。(学生)

♡ ハーブのこと、菌糸のこと、階段のこと、、色んなことを知ることが出来て良かった。(学生)

♡ 森に入るのは久しぶりでした。何故この作業をするのか?、を学びながら出来て良かった。次回はもっと質問責めにしたい!笑(学生)

♤ 絶対また来ます。(六十代老人、ろうそく作家)

静岡県の山々と皆さま、有難うございました!!

静岡県駿河湾の流木♪


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