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風が吹かなくても(痛風体験)

痛みというのは、気づいたら来るというイメージがあって。
ケガした瞬間は痛くなくても、傷口を見たら痛むという経験は誰しもあるんじゃないか。
今日は気づいたらビックリするぐらい痛い、痛い!痛風になった話をする。なんで話をするかというと治療が順調に進んでるから。治ってない病気は体験談に書けないから。

経緯

大学を辞めた後も一人暮らしを続けていた私は、好きな物が何でも食えたのだ。肉とかを多めに食っても文句言う人なんていない。
しかも鬱病を常に抱え込んでいたから、いつ死んでもいいや、みたいな感情がいっぱいいっぱいあって、健康なんて気にしてなかったのだ。

仕事場まで歩くのは普通で、立ち仕事も多かったので、足にかかる負担は多かった。2020年ころの話。

ある日気づいたとき、足の痛みを感じた。痛風は親指付け根って言うけど、私の場合は土踏まずの部分に痛みがあった。踏み込むとじわーっと痛む感じで、なんだろうと思っていた。

この頃(2020年初頭)の痛みは大したことなかった。歩くと痛むだけで、歩けないほどではない。踏み込む時だけで、座ったりすると痛まない。腫れているわけでもない。

昔から土踏まずが痛むのはよくあった。小学校くらいから走るだけで痛む。走ると痛いから走るのは遅かった。

最初は体重が増えたせいかなと思った。家族も同じ意見だった。精神科の主治医は、痛そうにしてるのを見て「整形外科に行ってください」と言ってくれた。

それで整形外科に行き、レントゲンを撮ってもらった。先生は「足の骨が少し飛び出ているので、土踏まずに当たって痛むのかも。」と言っていた。
つまり偏平足の亜種というのが最初の診断であった。

よって、靴底にインソールを入れたり、痛み止めを飲むなどして堪えた。
痛み止めはよく効いていたし、湿布ももらったので痛い時は貼ってた。

発作

ところが2020年10月頃には様子が変わってきたのだ。

夜、左足の痛みで目が覚める。ズキズキとした痛みが足首から土踏まずを経て親指に広がっていく。そこで痛み止めを服用するが、あまり効果がない。
ズキズキと言ったが、鈍器で殴られる瞬間の痛みを常に受けているといった方が正しいかもしれない。

とにかく鬱病患者にとっては眠れないことは致命的なので、必死に寝ようとした。しかし眠れるはずがない。とにかく痛い。
気づくと朝になっており、仕事に出かけた。

数日間そんな日が続き、そして最悪な朝がきた。

いたい!

目覚めた時にはやはり左足に激痛があり、足を動かすことすらできない。
仕事に行くために立ち上がろうとするが、足を地面に付けると雄叫びを自然に上げるほどの痛みがあり、ぐあああああああ!と叫びながら足を手で持ちあげて片足でトイレに行き、なんとか身支度を済ませ、出かけようとした。

一番ヤバかったのは靴を履くときで、靴が足に触れるだけで強烈な痛みがあり、なんとか足を突っ込もうと格闘してまたうわあああああああと雄叫びを上げてしまった。(近所迷惑)

そのまま左足を引きずりながらバスに乗り、仕事場に行ったところで(殆ど覚えていないが)、上司から「もう帰って診てもらってください」と言われ、足をずるずる引きずりながら、なんとか病院についた。

病院について医者が足を触ると相当な痛みがあり、すぐにエコー検査をかけてもらった。台に足を乗せると先生も自分も驚いた。

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左足のほうがデカい!

足全体がパンパンに膨れ上がっている。腫れているのだ。
そりゃ痛いわ・・・。
黒くなっている部分は靴で圧迫されているからだと思う。

先生が「こりゃ・・・」と言い、私は何の病気なのか気になった。
先生が「採血」と言うと看護師さんが来て採血された。

痛み止めはジクロフェナクが処方され、「採血の結果が出る2日後に来てください」と言われた。

二日間は痛みと戦い続け、両親に食料を送ってもらって家で過ごした。
何回でも言うけど本当に痛い。朝起きたら痛い。痛い足を引きずってトイレに行き、痛い痛いと言いながら日々を過ごすのだ。
風が吹かなくても、痛い。吹いたらもっと痛い。

さて数日後、私は採血の結果をもらいに病院を訪ねた(タクシー使った)。

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尿酸値は14.8!!!
痛風を起こす可能性のある基準値7.0の2倍の数値を記録した。
世界記録に挑戦できるんじゃないか。

赤血球などの値も相当な炎症が起こっていることを示している。

「痛風ですね」「普通こんなに高い数値は出んじゃろ」
と先生も驚いていた。

治療

痛風は尿酸値が一定以上を上回った時に、体内の尿酸が結晶化して炎症を起こした状態のことである。
詳細はWikipedia。知識の泉。

痛風の治療では、まず炎症を治めるところから始まる。炎症を治めずに尿酸値を下げる薬を飲むと、炎症が酷くなる可能性があるそうだ。
なので1週間ごとにジクロフェナクを服用しつつ様子を見て、炎症が治まって腫れが引いた段階で尿酸値を下げる薬を服用する。

痛みを強く感じてから4日ほど経つと、幸いにも少し腫れは引いて歩けるくらいにはなってきた。死ぬより辛かったけど耐えれた・・・。

一週間もすると殆ど腫れは引いて、靴を履いても痛くなくなった。

病院にいくと腫れが引いたことを確認して、尿酸値を下げる薬「フェブリク」が処方された。最初は2錠から始めたが結局3錠になった。

血液検査は最初は1ヶ月に1回程度受けた。薬の効果を確かめるためだ。フェブリク3錠を服用すると、尿酸値は安定して下がり、痛風が起きる心配はなくなった。現在は半年に1回、採血を受けている。

食事療法は、痛風の予防に最適だ。料理の練習をして、野菜でお腹を膨らますことを覚えた。鍋みたいな料理は塩分は多いが野菜も多く、たくさん食べれるので好きになった。夕食は一品だけでも作るのが趣味になった。

運動音痴だから激しい動きはできないけど、散歩くらいならできる。足の痛みを感じなくなってから、毎日散歩に出かけた。汗をかくくらいの速度で歩き、1時間ほどで帰る。

これらの療法を1年ほど続けた先日の血液検査では、尿酸値は4.9と一番高かった時の3分の1ほどになった。先生もほめてくれた。

先日からフェブリクを2錠に減らしてもらっている。もし尿酸値が上がらなければ、治療は順調に進んでいるということだ。
心の底から安堵している。

まとめ

痛風は若い人でもなるという事を知っておいてほしい。
お酒を飲んだり肉を食べたりすると、尿酸値は上がって痛風になりやすくなる。

あの痛みは感じた人全員が数秒でダウンするほどのものだ。
読んでくださった皆さんも気を付けていただきたい。

痛風になってよかったことは、食事に気を配るようになったことだけではない。
痛風の一番酷い時に仕事に行ったことは自信になっている。
どんな痛みを感じた時でも「痛風に比べればマシ」と思えるようになったからね。

インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。