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【食道アカラシアと診断されるまで (1)】

2017年10月末、食道アカラシアの治療のため、昭和大学江東豊洲病院でPOEM(ポエム)という手術を受けました。

そろそろ術後半年。日常生活にはほぼ問題はなくなり、最近では「ああ、ここ数年で一番体調がいいかも」と思えるぐらいに回復。西洋医学に、本当に心から感謝する日々です。

食道アカラシアは、このPOEMという最新術式の誕生のおかげで、いまでは手術さえすればほぼ完治する病気です。難病ではないものの、発症率が10万人に1人というめずらしさとその症状から「病名が判明するまでに時間がかかる」傾向があるそうです。

私は1年半程度でしたが、長い人は何年も何十年も症状に苦しんでようやく病名が判明、ということもめずらしくないそう。

食道アカラシアとは、平たくいえば飲み食いしたものが胃に落ちていってくれない病気です。食道の機能が落ち、「ごっくん」したものを下に押し出していってくれない。さらに本来「ごっくん」したタイミングで緩むはずの食道と胃のつなぎ目の筋肉が、いつまでも固く閉まったまま。つまり、飲み食いしたものがずっと食道内にとどまったままだいたい、そのまま戻します(医学的には「嘔吐」ではなく「逆流」)。

症状だけで「アカラシアっぽいね」と診断されるには、
・飲み食いしたものの大半をそのまま戻す(胃酸の味はしない)
・固形物だけでなく、水分も取りづらくなる
・寝ているときに、飲食物が逆流してきて枕をよごしてしまう
・激しい胸痛を伴う(全員にあるわけではない)
・体重減少

などが、分かりやすい目安のようです。上記のような質問をしてくれる医師にはじめて出会ったときは「ああ、もうそれです。まさにそれなのです!」と本当にほっとしたのを覚えています。

なぜ、なかなか病名がアカラシアだと判明しないのか。
医学的知識がない人間が、最初に医師に訴えるのは、

「ごはんがのどを通らない」「食事を戻してしまう」

もう、いかにも心理的な原因っぽいじゃないですか。変な病気にかかっているとは、気づかれにくい。逆流性食道炎という、メジャーで似ている病気もある。

ただし、残念ながら、これらアカラシア特有の症状を正確に訴えても、「アカラシア」に結びつかない医師もいます。しかも、内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)だけでは、専門医でも判断が難しいほど。

※同じような症状でも必ずしもアカラシアとは限らないケースもあるので、同様の症状があれば、食道の専門医がいる病院に紹介状を書いてもらい、専門的な検査を受けることを強くおすすめします(明らかに症状に当てはまるなら、最新術式のPOEMを実施する病院に紹介状を書いてもらうことをおすすめします)。

ちなみに、私の場合、最初にかかった病院では「水分が飲み込みにくいのは気のせい」と言われ、2つ目の病院では胃カメラや心電図、レントゲンの検査も行いましたが、「アカラシアではない」と断言されていました。3つ目の病院でようやくアカラシアと診断され、4つ目の病院で手術。同じような検査を何度も受ける羽目になり、本当に面倒くさかったし、財布的にも肉体的にもしんどかった・・。

食道アカラシアの発症率は「10万人に1人」とよく言われているのですが、よくよく調べてみると実際はもう少し多いようで。医学系の情報誌だと「10万人に1~6人」とあります。ということは、日本人の8000人弱はかかる可能性がある。しかも、放置しても自然治癒することはなく、悪化すると手術以外の選択肢はありません(食道がんなどを併発していくケースも)。

そろそろ記憶があやふやなところもあるのですが、正確な発症原因もまだわかっていないこの病気。同じ症状で何年も何十年も苦しむ人がひとりでも減るといいなぁと、備忘録的に経緯を少しずつ書いていきます。

※当記事は実体験に基づきますが、医学的な記述に関しては専門家ではありません。正確な記述ではないかもしれないこと、ご容赦ください。

#食道アカラシア
#POEM    #嚥下障害

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