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『絶滅危惧職、講談師を生きる』 神田松之丞さんの不器用な強さに脱帽【読書メモ】_01

『絶滅危惧職、講談師を生きる』(著者:神田 松之丞 、聞き手:杉江 松恋/新潮社)読了。

まだ二つ目ながら、“いま最もチケットの取れない講談師”・神田松之丞さん。NHKのスイッチインタビューを見て気になっていたのですが、やっぱりライターや編集者さんなど、「言葉を生業に生きる人たち」にとにかく知名度が高い。

神田松之丞さん。1983年東京生まれ。
落語にはまり、立川談志にほれ込み、それでも講談師を目指す。「自分が生きる道」を確信し、さまざまな芸をひたすら観劇するも、 3代目神田松鯉(しょうり)師匠に入門するまで、落語も講談も自分では演じたことがないというから驚く。

“学生時代に落研なんかで自分で演じようとするのはもったいない。不謹慎な言い方かもしれないけれど、ご高齢で今しか聞けないかもしれない師匠方の芸を片っ端から観るべき”

と、徹底して「客席の視点」を鍛えていく。自分が観客だったときの感覚をいちばん信頼し、迷ったときは「あのときの自分だったらどう思うか」を絶対基準にする

“お客さんの時代が長ければ長いほど、良い芸人になれる気がします”

これ、すごく胸に突き刺さりまして。

「ブックライターになる!」と人材業界の営業職から、いきなりフリーのライターに転身して、はや5年。あらたがくも数冊のブックライティングのチャンスを頂いたものの、まったく思い通りに書けずひたすら苦しみました。
でも、学生~会社員時代ひたすら本を読みまくって蓄えた「読者の視点」は、多少なら持っているかもしれない。作り手側に立つことで忘れかけていた「読者の視点」。今後はもっと意識していこう、と元気をもらいました。

#読書メモ
・松之丞さんが目指すのは、目の肥えた常連客だけでなく、何の予備知識もない、今日初めて講談を聞いた人も「面白い!」と感じる講談
・(すごく器用そうな印象だけど)“脳内が方向音痴”で、師匠の着物もろくに畳めないダメダメな“Fランク前座”だった
・次世代に講談を残すことが、松之丞さんの最大の目的

『絶滅危惧職、講談師を生きる』 https://goo.gl/EAwkJx

満足の★5つ!


余談ですが、この本、寝る前に読みだしたせいで、夢の中でずっと松之丞さんと談志師匠がいろいろしゃべってた。起きたときにはめっさ脳みそ疲れてました。何にも覚えてないのが残念。

#読書メモ #新入社員にオススメの本

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