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令和6年司法試験憲法 参考答案例

こんにちは、be a lawyer(BLY)のたまっち先生です。

今回は、昨日まで実施されていた令和6年司法試験の憲法について、be a lawyer講師(77期)が参考答案例を作成しましたので、公開させていただきます。

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では、早速、令和6年司法試験憲法の参考答案例をみていきましょう。

令和6年司法試験憲法 参考答案例


第1 規制①について
 規制①は、犬猫の販売業を営もうとする者(以下「犬猫販売業者」という。)が犬猫販売業を営む自由を侵害し、違憲ではないか。
1 憲法22条1項は「職業選択の自由」を保障しているところ、犬猫販売業も同項にいう「職業」にあたる。
 したがって、上記自由も同項によって保障される。
2 規制①は、犬猫販売業者に対し、販売場ごとに、その販売上の所在地の都道府県知事から犬猫販売業免許を受けなければならず(売業の適正化等に関する法律の骨子(以下「法案」という。)第2)、第2各号のいずれかに該当する場合には、都道府県知事は免許を与えないことができるというものである。
 これは、犬猫販売業者は、犬猫販売業の免許を受けなければ犬猫販売業を営むことができないことを意味するものであるから、規制①は上記自由に対する制約となる。
3 もっとも、上記自由も無制約なものではなく、公共の福祉(憲法22条1項)に基づく制約に服する。
 そこで、上記制約が公共の福祉に基づく制約として正当化されるかを検討する。
⑴ 職業は、各人が個性を全うする場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するものである一方、公共の安全、秩序維持や経済の調和という理念に基づく社会内在的制約に服しうる権利であるともいえる。
 そして、規制①は、法案第2各号のいずれかに該当する場合には、都道府県知事は、免許を与えないことができるとするものである。
規制①の対象は犬猫に限られてはいるものの、統計資料によれば、犬猫をペットとして飼養する者は計60%を占める。残りの40%はその他の種類のペットが占めており、その割合も増加傾向にあるが、その種類が多種多様であることからすれば、依然、犬猫販売業の売上に犬猫が占める割合が大きいことも事実である。
そうすると、規制①は、実質的に犬猫販売業を許可制とすることを定めたものであるといえる。
 そして、一般に許可制は、選択した職業の内容についてではなく、職業選択の自由そのものを制限する点で、強度な制約とされるところ、規制①は、上記の通り、売上の大部分を占める犬猫の販売を許可制にするものであることから、犬猫販売業者の犬猫販売業を営む自由そのものを制限するものであるといえる。
 さらに、規制①は、免許交付に際し、犬猫の需要均衡(法案第2第2号)や犬猫シェルターの収容能力(法案第2第3号)という、犬猫販売業者の努力ではいかんともしがたい要件を課すものである。
 これらの事実からすると、規制①は、許可の要件に犬猫販売業者の努力ではいかんともしがたい要件を定めるものであり、強度な制約であるといえる。
 なお、規制①の目的は、犬猫の供給が過剰になることを防止しし、もって人と動物の共生する社会を実現(動物の愛護及び管理に関する法律1条)する点にあり、犬猫の販売業の経営の安定、犬猫由来の感染症等による健康被害防止などの点を目的とするものではない。
 そこで、上記制約は、重要な公共の利益のため必要かつ合理的なものであり、許可制に比べてより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては規制の目的を達成することができないといえる場合には憲法22条1項に反しないと解する。
⑵ 
ア 規制①の目的は、上記のとおりである。
 ア 許可制自体について
我が国では、販売業者や飼主による犬猫の遺棄が大きな社会問題になっており、A省では飼 主が飼養できなくなった犬猫を保護する「犬猫シェルター」を制度化することが検討されている。他方、「犬猫シェルター」の整備により、犬猫を手放す心理的ハードルが低下する結果、犬猫シェルターに持ち込まれる犬猫の頭数が収容能力を大幅に超えることが懸念されている。そうすると、このような問題への対応は、個人の意識改革のみでは限界があるといえる。そのため、犬猫の供給が過剰とならないように、犬猫の販売業に免許制を採用したことはそれ自体としては、重要な公共の利益のための必要かつ合理的な措置であるといえる。
そして、販売方法についての規制によっては、依然、遺棄の問題が解決されず、上記目的は達成されない。
したがって、許可制を採用すること自体は憲法22条1項に反しない。
イ 犬猫飼養施設要件(法案第2第1号)について
規制①は、免許の要件として、販売場ごとに犬猫の販売頭数に応じた犬猫飼養施設を設けることが必要とする(「要件1」とする)。
 確かに、要件1は、犬猫の体調・体高に合わせたゲージや運動スペースについての基準及び照明・温度設定についての基準を定めるものであり、現行の基準より厳しいものであるから合理性を欠くとも思える。
しかし、これらの要件は、いずれも諸外国の制度や専門家の意見を踏まえて検討されたものであり、国際的に認められている基準の範囲内のものであるから不合理な基準であるとはいえない。
 また、現行の要件では上記の目的は達成できておらず、厳しい要件が必要であるといえる。そうすると、同要件は、上記の目的を達成するために必要かつ合理的な措置であるといえる。 
ウ 需要均衡要件(法案第2第2号)について
 規制①は、免許の要件として、犬猫の需要均衡を考慮する(「要件2」とする)。
 確かに、売れ残ること自体ではなく、売れ残った犬猫を適切に扱わないことを規制すべきであり、需要均衡を要件として供給過剰を抑制することは必要性を欠くとも思える。
 しかし、日本では生後2~3か月の子犬や子猫の人気が高く、体の大きさが成体とほぼ同じになる生後6か月を過ぎると値引きをしても売れなくなるといわれている。そうすると、犬猫の供給が過剰になり、売れ残りが出ること自体を抑制すべきであるから、このような要件を定めることも必要であるといえる。 
 また、需要均衡の判断は、都道府県ごとの人口に対する犬猫の飼育頭数の割合や取引量等を考慮した基準にしたがって行われる予定であり、これをもって不合理な基準であるとはいえない。
 そうすると、同要件は、上記の目的を達成するために必要かつ合理的な措置であるといえる。
エ 規制①は、免許の要件として、犬猫シェルターの収容能力を考慮する。
 そして、犬猫シェルターは、これまでと同様に犬猫販売業者からの引き取りを拒否できると規定される予定である。そうすると、飼主による持ち込みの増加が仮に起こるとしても、それは直接は犬猫販売業者が原因とはいえない。
 確かに、犬猫シェルターで収容する頭数が、地方公共団体や民間団体で現在引き取っている頭数を超えないようにするための方策を検討してほしいという要望が多くの都道府県から寄せられており、犬猫シェルターの運営の適正という観点からは、犬猫シェルターの収容能力を要件とすることには一定の合理性が認められる。また、売れ残りを減らそうとする犬猫販売業者の無理な販売も、飼主による犬猫シェルター持込み増加の要因となりうる。
 しかし、そうであるならば、犬猫販売業者の販売方法や売れ残った犬猫の管理方法を規制することによっても上記目的は達成できるから、要件3は必要性を欠く。
⑶ 結論
 よって、規制①は、憲法22条1項に反し違憲である。

https://line.me/R/ti/p/@744euyfh?oat_content=url&ts=05031728#~


第2 規制②
 規制②は、犬猫販売業者の、犬猫の販売に関して犬猫のイラスト、写真、動画を用いて広告する自由を侵害し、違憲ではないか。
1 憲法21条1項は、「表現」の自由を保障するところ、広告のような営利的表現であっても、発信者の内心の意思を外部に表明するものであるから、上記自由は同項によって保障される。
2 規制②は、犬猫販売業者が、犬猫の販売に関して犬猫のイラスト、写真、動画を用いて広告することを禁止しており(法案第4)、上記自由に対する制約となっている。
3 もっとも、上記自由も無制約なものではなく、公共の福祉(憲法12条後段、13条後段)に基づく制約に服する。
 そこで、上記制約が公共の福祉に基づく制約として正当化されるかを検討する。
⑴ 上記自由は、営利的表現の自由の一種であることからすれば、表現活動をとおして自己の人格を発展させるという自己実現の価値を有する一方、民主政の過程に資するという自己統治の価値との関わり合いは希薄である。
 また、上記制約は、表現の方法に関する制約であり、思想の自由市場を歪めるおそれのある表現内容規制に比べれば、制約の態様としては強度とはいえない。
 そこで、上記制約は、制約の目的が重要で、手段が制約の目的との関係で合理的な関連性が認められる場合には、憲法21条1項に反しないと解する。
⑵ 上記制約の目的は、犬猫の購入者の安易な購入の防止にあるところ、飼い主が十分な準備と覚悟のないまま犬猫を安易に購入した結果、犬猫を遺棄する者が一定数いることが社会問題になっていることを考えれば、このような安易な購入を防止する目的は重要であると言える。
 イラスト、写真、動画は、購入者の視覚に訴える情報であり、購買意欲を著しく刺激する効果があるものといえる。
 そうすると、このような情報の広告への利用を制限することにより、購入者の購買意欲を刺激することを一定程度防ぐことができ、購入者の安易な購入の防止に一定の効果を発揮するといえる。
 しかし、広告で品種、月齢、性別、毛色、出生地等の情報を文字情報として受け取ったとしても、どのような犬猫かをイメージすることは困難である可能性は高く、イラスト、写真、動画がどのような犬猫かを購入者に伝える情報として果たす役割は大きい。
 また、犬猫販売業者は、購入希望者に対面で適正な飼養に関する情報提供を行い、かつ、原物を確認させることが義務付けられている。
 そうすると、広告段階で犬猫のイラスト、写真、動画を使用したとしても、購入段階で適切な情報提供が行われる限り上記の目的は達成されるのであるから、上記制約は必要性を欠く。
⑶ 結論
 よって、上記制約は、目的との合理的な関連性が認められず、憲法21条1項に反し違憲である。     
                                以上


いかがでしたでしょうか。

出題趣旨、採点実感がない中ではございますが、合格者が作成した答案例として少しでも参考になれば幸いです。

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