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20年あたためてきた不思議なお話し。「星に願いを」⑦

つづきです⭐️

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女の子の本当の願いは・・・

星たちは静かに見守っています。


わたし、お父さんとお母さんが

欲しい。


女の子がやっと、その言葉を口にすると

星たちは優しく女の子を囲みました。

「僕たちを信じていて。」

女の子は星たちと一緒に

遠い遠い

地球を

しばらく眺めました。

そして夜が過ぎ


気がつくと朝になっていました。

女の子はまた街へと向かいます。

お父さんとお母さんが出来たら・・・

女の子は昨日出会った男の子の

お父さんとお母さんを思い出していました。

あんな風にお誕生日を

お祝いしてもらえるのかな。

そんな事を考えると

心はとても幸せでした。

叶わないと決めつけてしまうよりも

もしも、そうなったら・・・と

想像してみるというのは

とても幸せで楽しいことなんだと

思いました。

街までの道のりを歩く足が

とても軽く感じました。

不思議です。

いつもは足がなかなか進んでくれず

沢山の人が自分を追い越していくのに

今日は大人の人にだって

ついて行けそうなほど早く歩けます。



そうして歩いていると

ふと

お店のガラスの

ショウウインドウの中にある鏡に

目が止まりました。

覗き込んでみると

鏡には自分が映っているのが

見えました。

その姿を見て、女の子は落ち込みました。

ボロボロの服。

長い間、身体を洗うこともしていません。

髪には小さな埃が沢山絡まっています。

思わずため息が出ました。

なんて汚いんだろう。

こんなに汚いわたしに

お父さんやお母さんが出来るわけがない。

女の子は一瞬にして

そう思ってしまったのです。

すると

さっきまで楽しく想像していた

夢のような世界は

頭から消えていき、

思い浮かべようとしても

そのカケラすら頭に描くことが出来なくなって

しまいました。

やっぱり、わたしは

今日食べる分のお金を稼ぐことを

しなくちゃいけない。

そんな風に思ったのです。

足もとを見ると

靴も汚れています。

いつもいつも歩いているので

もう底が破けてしまいそうです。

女の子は

いつものカフェへと入っていきました。

そうっと入ったのですが

タイミング悪く、

お店の人と目が合ってしまいました。

お店の人は睨みつけるように

こっちを見ています。

きっと、わたしが誰かに声をかけた瞬間に

このお店の人は

わたしをここから追い払う。

そして、わたしは

大きな声で怒られる。

女の子は、そうなる事を知っていました。

どうしょう。

そう思いながら

お店の人の目が届きにくい場所へと

ゆっくりと移動しました。

テーブル席から少し離れると

カウンターの席があって

カウンターに座っている人のおかげで

その後ろを歩くと

お店の人からは見えません。

だけど、ここでは

いつものように

声をかけることも出来そうにない。

仕方なくお店を出ることにしようと

思ったその時です。

「お嬢ちゃん!」

声がしました。

女の子は震え上がりました。

お店の人が自分を

捕まえにきたと思ったからです。

逃げようと思っても

怖くて身体が動きません。

前に酷く怒られた経験が

頭の中を走りました。

また怒られる・・・

そう思っていると

お店の人とは違う服装の若い女の人が

近寄ってきました。

この人は誰だろう・・・

そう思っていると

女性は

「あなた、お母さんはいるの?」と

聞いてきました。

警察の人だ・・・

女の子は歯を食いしばりました。

「いません。」

女の子は前に警察にも連れて行かれたことが

ありました。

その時は迎えに来てくれた

おばさんにきつくきつく叱られたのです。

何日もお金をもらっていません。

きっと、わたしにはもう帰る家さえ

なくなってしまうんだわ。

そう思いました。

女の子を引き止めた女の人は

近くにいる男性のところへ行き

何か話をしています。

もう仕方がない。

逃げ出す力も出ませんでした。

しばらくして

女の人は男の人を連れてきました。

「突然で驚くかもしれないけど・・・」

女の人が言いました。

警察とは様子が違います。

黙って見ていると

今度は男の人が、しゃがみ込んで

言いました。

「僕たちのところへ養子に来てもらえたら

嬉しいんだけど・・・」

と言いました。

養子?

女の子が不思議そうな顔をしていると

女の人が

「私たち、夫婦なんだけど

子どもに恵まれなくて」

そう言うと

今度は男の人が

「つまり、僕たちの子どもになって

もらえないかな。」と言いました。

女の子は驚いて何も言えませんでしたが

その後、2人を家へと案内しました。

おばさんが嬉しそうに何か話しています。

女の子は空に飛んだ時のように

自分の身体が宙に浮いているような

不思議な感じがしていました。

日にちの約束をして

女の子は、その2人の家に養子に

もらわれることが決まったのです。

お父さんと

お母さんが

出来ちゃった・・・

嬉しい?

嬉しくない?

何も分からなかったのです。

想像もつかないことが起きました。

だけど昨夜、願ったことでした。

女の子は部屋に入ると

ポケットからコースターを取り出して

言いました。

本当に本当に叶った。

お星さま

おばぁさん

ありがとう。

おばぁさんとの約束、どんなことがあっても

もう二度と、あの言葉は口にしない。

そんなことは出来ないって

思っていたけど

女の子は、あの日以来

その言葉を口にしていません。

それよりも

信じられないような夢が

ドンドンと叶っていきます。

女の子の小さな胸は

あたたかいぬくもりで

いっぱいになっていました。

さぁ、お星さまたちに会える

最後の夜です。

女の子は眠りにつきました。

・・・・・・・・・・・・・

つづきは明日です😊

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