出雲駅伝感想

出雲駅伝は駒澤大学の優勝で幕を閉じました。
色々な大学のファンも居て、色々な思いや思惑はあるでしょうが、ゴールでの鈴木芽吹選手の涙を見ると、大学駅伝をずっと追いかけている人間ならグッと来ちゃう部分はありますよね。
(分からない人のために言うと、鈴木選手は入学直後から期待の選手で1年時から駅伝で活躍、2年の春には日本選手権で1学年上の先輩・田澤選手に続いて日本選手権で3位になるほど成長します。ただ好事魔多し、2年の夏に疲労骨折になり、駅伝シーズンは欠場続き、何とか合わせた箱根駅伝ではレース中に怪我を悪化させて大ブレーキに。そこからの復帰戦だったのです。いきなりの大舞台、しかもエース区間アンカーの重責、練習はできていても不安も大きかったでしょう。無事に走り切れた安堵感やこれまでの苦労、多くの人への感謝などが込み上げてきての涙だったと思います。その背景を知っている駅伝ファンは思わず貰い涙したのでした。)

ま、レースを簡単に振り返ってみましょう。
まず、レース前に激震。当日のエントリー変更で、優勝候補・東京国際大の大エースヴィンセント選手が欠場に。ヴィンセント選手は、前に書いた通り、「全てをひっくり返してしまう選手」で、それほどの選手が欠場というのは大きな影響を与えます。

そういう波乱の状況の中、レースは始まりました。
まず1区。

1区は予想通り、中央の吉居選手が抜け出します。サレー選手がそれを追い、東国の富永選手が集団から飛び出します。ただ、両選手とも追い切れず、集団に吸収され、無理をして追いかけた影響か集団からも遅れていきます。逆に集団の中で様子を見ていた選手が順に集団を引っ張り始め、その中で動きの良かった駒澤の花尾選手が集団から抜け出して吉居選手との差を詰め始めます。後ろからは青山の目片選手がラストスパートで差を詰め、上記の順位となりました。

2区は、良い位置でもらった駒澤の佐藤選手が先頭との差をどんどん詰め、追い抜いて先頭に立ちます。ただ抜かれた千守選手も粘り、後ろからじわじわ追い上げた三浦選手が猛烈なラストスパートで3位に上がります。強い追い風に乗って6人が区間新のスピードレース、駒澤は大エース田澤選手に先頭で渡す理想的な展開で3区へ。

ただ、田澤選手は体調不良もあったそうでコンディションがイマイチで、強い風の中ペースが上がらず、差はそれほど上げられず。それでも区間2位はさすがです。青学の近藤選手が快走し僅差の2位で襷渡し。中央もそれに続き、順天堂・創価・國學院がほぼ同時くらいで4区へ。

4区は強い向かい風の中、どの選手もペースが上がらず。その中で山野選手(駒澤)が少し差を開けます。後ろからは、この区間では力が抜けていた中西選手(國學)が区間賞で2位まで押し上げ、それに中央がくらいつく展開。青学はここで志貴選手がペースが上がらず國學・中央から離されてしまいます。順大も置いていかれる展開。

駒澤の安原選手が上手い走り。向かい風で後半キツくなる事を見越して前半抑え目に入り、差を少し詰められながらも後半に突き放し区間賞。2位との差を44秒まで開け、アンカーに少し余裕をもって渡す事ができました。上記の通り、復帰戦で精神的に不安があった鈴木芽吹選手には心強い差だったでしょう。2位争いは、國學・藤本選手がずっと引っ張っていて、中央・溜池選手が付く形。これは優勝目指して前を追いたかった國學院には難しい展開だったか。後ろではエースを置いた法政・小泉選手が区間3位の好走で順位を上げてきました。

駒澤・鈴木選手がすいすい逃げて区間賞。國學・伊地知選手も素晴らしい走りで2位争いを制します。後ろでは嶋津選手(創価)がさすがの走りで順位を上げますが、最後四釜選手(順大)との激烈な5位争いに敗れて6位でした。

駒澤は、1区花尾選手が2位と好発進、それが全てでしょう。以下、区間順位も全て2位以内と完璧なレースでした。
國學院は1区で少し出遅れ、なんとか粘ってついていき、4区中西選手区間賞で追い上げました。ただ、1区の出遅れで駒澤に逃げられたのが、優勝争いという点では痛かったか。島崎選手が万全だったら良い勝負だったでしょう。
(出雲記録会にエントリーされてるそうで、走れない訳ではなさそう。)
3位の中央は、ずっと上位で駅伝できていて、良いレースでしたね。さすがに國學院のエース伊地知選手にルーキー吉居弟選手がやられましたが、それはしょうがない。でも久々にこのレースに戻ってきた喜びはあったでしょうね。
4位の青学は、3区近藤選手が頑張って何とか食らいついたのですが、頼みの4区5区が不発。層の厚い青学としては、ここで前に出れないと厳しいです。アンカー中村選手は上手く走っていたと思います。
5位の順大は、2区三浦選手で3位まで来た所までは良かったんですが、3区伊豫田選手が、なんとか青学・中央に食らいつきたかったかな。あと5区西澤選手が向かい風で伸びなかったです。
6位の創価大は1区で出遅れて、せっかくのムルワ選手が追い上げるだけになってしまいました。去年と同じ展開でしたね。嶋津選手は意地見せましたが。
7位の法政は、3区内田選手が素晴らしかった。扇選手も好走、小泉選手は5区では強いので、そこで上がってきた形。さすがに稲毛選手アンカーは荷が重かったでしょうが、しっかり関東の争いに入れたのは良かったでしょう。
8位東京国際は、おそらくヴィンセント選手は直前のアクシデントでしょう。走れない事が分かってたらルカ選手をエントリーしていたでしょうから。大エースが直前に走れなくなったら動揺は大きいでしょうね。あと、白井選手の復調も待たれます。
9位東洋。ここも大エース松山選手が走れなかった。でもエントリー時点で外れていたので、それは覚悟の上だったはずですが、1区児玉選手が気負っちゃったか、吉居選手に付いていこうとして消耗したのか、ブレーキに。大エース不在だと追い上げる選手がいなくて、1区で出遅れると厳しいです。
10位関学は、1区守屋選手の快走の流れを持って、関東の一角を崩しました。
11位帝京は、小野選手らエース格が外れていて(でもレガシーハーフにエントリーしているらしい)、お試しレースなんでしょうね。あまり参考にはならないです。

駒澤は、唐澤選手や篠原選手が外れた中での優勝。彼らが復帰すると、全日本や箱根も楽しみになる結果ですね。國學院も島崎選手は走れている状態のようなので、まだ上がり目はありそう。中央は、去年の全日本以来、良い流れで来ています。青学は、岸本選手は練習を再開しているそうで、層は厚いので、全日本、箱根と人数が増え距離が伸びるほど強くなるでしょう。順大も層は厚いので、全日本、箱根と楽しみでしょう。
悪かった東京国際、東洋は、まずはエースの復帰待ちですね。

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