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さよならアメリカ、さよならニッポン ~戦後、日本人はどのようにして独自のポピュラー音楽を成立させたか/マイケル・ボーダッシュ


ずっと読みたかったこの本。絶版でかなり高騰していますが、図書館で探してもらい読むことができました。
 はっぴーえんどの楽曲をタイトルに冠した日本への留学経験のあるシカゴ大学近代日本文学准教授による著作で原題を邦訳すると「J Popの地政学的全史」
 アメリカの占領が始まった1945年から90年代初頭のポストバブル期までの日本のポピュラー音楽史が、日本(アジア)のペンタトニック・スケール(五音階)を多用するメロディ、敗戦国特有の状況や心情からバブルを頂点とする経済発展と世界からの冷戦時代、ベトナム戦争、サイケデリックカルチャーの影響を受けながら、発展していった日本のポピュラー音楽の変遷と独自性がジャック・アタリなどを引用したポストモダンな切り口で描かれており、日本がアメリカからの解放へ向かう時期の服部良一、笠置シズ子によるブギ、黒沢明の映画、美空ひばり、坂本九、ウエスタン・カーニバル、グループ・サウンズ、はっぴーえんど、荒井由実、ニュー・ミュージック、YMO,  CHAGE and ASKAら日本のビックネームのアジア進出まで、エポックメイキングな出来事やアーティストを焦点があてられた大変面白い書籍。
“「西洋まがい」と「日本もどき」の間で宙ぶらりんになり、西洋からも日本からも、確固たるアイデンティティの感覚を得ることができず、残された手段は僕らの日本を探し出すことだった“と当時を語る松本隆の言葉が引用され、アメリカにも日本にも属さないことを宣言するはっぴーえんど「さよならアメリカ、さよならニッポン」を日本の音楽の転換点であったと評価され、また彼らの作品を引っ張り出しておりきました。


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