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「家族を想うとき」ケン・ローチ監督

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カンヌのパルムドール賞など 各国で多くの賞を受賞した前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」(Amazon Prime やNetflixでは無料で観れるので、是非)で引退したといわれたケン・ローチ。

 マイク・リーと並び、長く冷徹ながらも共感を持ってイギリスの労働者階級を描いてきた名匠ですが、NHKで「万引き家族」の是枝裕和監督との対談が放送されたので見た方もいらっしゃると思いますが、彼とはレベルの違いを見せつける素晴らしすぎる映画でした。

 業務委託として宅配ドライバーを始めた名ばかりの”個人事業主”の夫と介護福祉士として一日で何人もの老人をケアする妻と子供二人の家族。夫と妻が家族のためにくたくたになるまで働いても暮らしはよくならず、家族が崩壊していくところが描かれます。

 主人公の夫は マンチェスター出身で赤毛なので、産業革命で景気が良かったマンチェスターに来たアイルランドの移民の息子と思われ、そんなイギリスらしい白人の階級社会の話ですが、夫婦それぞれの 現代社会の”人間インフラ”にような職業は すでに そしてこれからもっと日本で起こるだろうと思われるリアリティがあるテクノロジーに支配され ハイリスク ローリターンの全て労働者の自己責任の物語でした。

 オリジナルタイトルは「Sorry We Missed You」は、主人公が不在通知を出すときの紙に書かれたメッセージでもありました。



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