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とある絵描きの てのことば


てのことば  
絵描き 物書き Nさん



これはアーティストの人に言ってはいけないことかもしれないですけど、
この手はものすごく素直です。

そしてとっても繊細。
でも、繊細でなければ絵は描けないと思うし、
アーティストの手ってだいたい繊細です。

今の時代のアーティストの手は、性別的には男性でも、
特にものを書いたり、作る人は女性的な手相の人が多くて、
細かいことが上手にできる。

この手から伝わってくるのは、たとえばパンを作るときに、
ものすごく遠回りをしたがる。

遠回りをしながら捏ねるんだけれども、
出来上がりはすごく単純、シンプルなものを求める。

遠回りというのは、なんというのか

「あれもこれもやってみたい!」
「え、こっちも面白そう、あ、あっちも面白そう」と、

その場の好奇心や閃きにしたがうので、一見するとムダが多いというか。

だけど、出来上がるものは単純、シンプル。

それは、「単純なものになっちゃった」ってことではなくて、

「とってもシンプルな、単純な味のパンをぼくは作りたいんだよ」



この手が、本人がそれを望んでいるんです。そこが最初にお伝えした「素直さ」がいちばん出てくるところなんですね。

そう、パン。
Nさんパンは好きですか? 

実際に作ったりされますか? 

たぶんこの手はパンを作るのがとても好きですよ。
前世というものがあるとしたら、前世でもどこかでパンを作っていたはず。

ぜひ、手ごねでパンを作ってみてください。

そのときには、天然酵母の菌を自分で作って、その菌でパンを作りたいってこの手は言っています。

パンを作るとNさんは気が抜ける、リラックスできます。

それから酵母菌と話しができるので、菌からパンを作るとNさんの暮らしは

「にぎやかに」なる。

一気に楽しくなるみたい。

キッチンにはNさんひとりなんだけど、菌たちと「一緒にいる」という感覚になるので、目には見えない菌たちと毎日が楽しい パーティー になるみたいですよ。

すごく素敵ですね。

 ◎

 この手はさっきから、

「 今のままでいいけれど、今のままではダメ 」

ってことをものすごく伝えてきます。

「今」に目に見える不満が特にあるわけではないけれど、

でも、今のまま、このままではダメだって感覚が常に漠然とあって、時にはそれが大波のように襲ってくるみたいです。

「今のままではダメ」ということで、何かをいつも求めるわけですが、新しい要素をNさんに加えるとしても、この手は

「 好きなことしかやりたくない 」。

じゃあ、何を意識したら、加えたらいいのか。

「大事な要素はなんですか?」

と聞くと、この手は、「パン作り」と「ジャーナリズム」「リアリズムを追求する」と、言います。

パン作りをしながらのリラックスしたパーティーと、ギュっと集中して、
リアリズムのある文章を書く。

それが何かというと、「極端さ」ということです。

この手は、Nさんは、とても極端なことを求めているし、この先もさらにそれを求め続けていきます。

ものすごい「極端」を。

それはなぜかというと、Nさんという個体の持っているエネルギーが、ものすごくフラット。
中立。

ニュートラルな状態にしかないから。

たとえ極端を求めても、どちらかに振り切って、狂うことがない。

本人にしたらもしかしたらコンプレックスに感じていることかもしれませんが、

常に冷静で、淡々としていて、溺れることがない。

だから、”極端”を求め続けることができるんです。


聴き手・うのたまご
文・野村浩平

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