台にアニバーサリー
私の小学校にある踏み台の後ろ足に
『たに♡から二ヶ月アニハサニー!!』
と彫られている。
二ヶ月という絶妙な長さを祝っているのが微笑ましいし、アニバーサリーと書きたかったのは伝わってきて微笑ましい。
微笑ましいという表現を用いて、私はかつての自分の愚行を美化しようとしている。
当事者同士でなければ、付き合ってから二ヶ月の記念なんて興味もないのに、あの頃の友達連中は自分ごとのように喜んでくれた。
それで、ここに記念として彫りなよって言われて、舞い上がって彫った。
今では、たに、の顔なんて殆ど覚えてないのに、付き合っていて幸せだったことは覚えている。
そして今でも、この踏み台が自分では届かない高さにある本を取るために使われていることに心が沁みた。
足には変な文字が刻まれている踏み台だけど、あの頃の私たちと同じように、知識への渇望を手助けしている。
夢見てた先生になることはできなかったけれど、こういう人生も悪くないよなと、ふわりと感じた。
祝、二周年。
ここまで読んでいただきありがとうございます。