欲しいもの(ショートショート)
夜の22時00分。スマホがクリスマスの曲を鳴らしながら震え出した。待ちに待った春も、いつの間にか晩春と呼ばれ、夏がその座を奪おうとしている。
スマホの画面には『大和』と表示されている。大和とは大学のゼミが同じだった。異性に対して一目惚れするってのと同じように、大和に一目惚れした。恋愛感情とかそういうのじゃない。一目見た瞬間に、こいつとは親友になるんだろうな、と直感が働いた。
昔からこういう直感は当たる。現にどの彼女よりも大和と過ごした時間の方が長かった。それに、どうでもい