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ありふれた光景

今回は、演奏本番に関するお話です。

本番演奏で、「普段の練習よりもうまく弾きたい」「いつもの自分以上に良く見られたい」・・・な~んてことを思い始めたら、奏者の緊張はMAXに到達してしまいますが(笑)、本番のクオリティは"練習の7割程度"の出来であれば、割と巧くいった方ではないでしょうか。

本番の出来をレベルアップするためには、練習のクオリティを更に上げておく必要があります。普段の練習を100%以上に仕上げておくイメージですね。そうすれば、"7割"も比例してアップしていきますね。

脅かすようですが、ピアノは上達すればするほど、色々なことが出来るようになればなるほど、奏者の緊張度合いはどんどん増していきます(笑)。奏者自身の技術の向上に比例して、「コンマ何ミリちょっとズレた」とか「あともうちょっとどうだった」とか、それはそれは細かい所まで自分へのダメ出しも益々手厳しくなっていくので、弾けるようになればなるほど、この辛いスパイラルからは抜け出せなくなってしまいます。

確かに、奏者以上に演奏内容に自覚がある人はいませんが、聴き手を"置き去りにした"あら探しのようなチェックが度を越すと、必ずしも良い方向に作用しない・・・ですね。

「演奏本番は緊張したまま弾く前提」で訓練しておくことをお勧めします。

"上がったままでどのくらい弾けるか"ですね!そのためには、小さい本番を嫌という程たくさん体験して、緊張したまま弾くのを、当たり前の日常にしてしまうことしかありません。

一世一代の大舞台は、手指が震えてしまい、普段の自分の手ではありません。その場合、震えた指を固定するためには、指の付け根の大きな関節を固めて、しっかり指を伸ばしたまま手の型をガッチリ作って弾く奏法が効果的です。指を丸めた奏法だと、震える指は更に不安定なベクトルになってしまい、状況は益々悪化します。

緊張状態がしばらく続く場合は、落ち着きを取り戻してリラックスするまで、ひたすら、鍵盤だけを見つめながら弾いて下さい

最後に奏者を助けてくれるものは、いつも目にしてきた"鍵盤"の光景です。広い舞台に置かれたピアノも、鍵盤だけに集中すれば、普段の練習と同じ、見慣れた景色です。

来る日も来る日も、どんな日もいつも目にしてきた、ありふれた日々の光景に落とし込んだものだけが救われる瞬間ですね・・・

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