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親指は “親分肌” ?!

今回は、「手」についてのお話をしたいと思います。

ピアノを弾くとなると「手が大きい方が良い」とか、「指が長い方が良い」とか言われますが、実際には、指が多少短くて大きくない手でも結構大丈夫だと思います。曲中で難儀している箇所は、では手が大きかったら問題が全部解決されるか?と言えば実際にはそうでもありません。ただ、さすがにオクターブが届かないとなると、いろんなところが全部アルペジオになってしまい、音量を求められる箇所はいささか迫力不足になってしまうので、オクターブが届くと良いですね。

海外には、指が太すぎて黒鍵と黒鍵の間に指が入らない人がいるので、そのような方達は特注ピアノでないと弾けないことになりますね。鍵盤の下に膝までが収まらない背の高い人もいます。日本人とはちょっとスケールが違いますね。

手や指は「大きさ」や「長さ」よりもむしろ、「骨格」の方がピアノを弾く上では大事なポイントです。骨格はその人が持って生まれたものですが、長年の訓練でピアノ仕様の別人の手に生まれ変わります

そして、指の関節一つ一つが、自在に動く条件を備えていること、その関節が折れる方向と反対側に凹まないこと、反り返らないこと、また必要な時は、その関節を絶妙な角度に強靱に固定出来ることですね。この"止まっている強さ"がものすごく大事です。この指関節の強さを支えに脱力を実現出来るのですね。

要訓練は、両親指、特に利き手ではない方の親指の2つの関節の強度です。この、親指の使い方が巧くなると、演奏技術は飛躍的に向上します。

一番短くて関節も他の指よりひとつ少ない親指ですが、他の4指を束ねる統率力がどうも備わっているようで、さしずめ親指は親分?なんでしょうか、残りの4指は"親分にならえ~!!"って感じで、常に連動して良くも悪くもなるんですね。

広範囲の鍵盤が自在に弾けるのは、この親指がちょうつがい的な役割を果たしてくれるからです。後でお話しする予定ですが、音階やアルペジオを弾くテクニックの要となる部分です。

手本は、とりあえず自分の利き手です。利き手が二本あるように弾けたらいいですね。

手は頭の外に出た脳だと言われています。しかし、頭の指令を超越して勝手に動いてはくれません。伝えたい音楽が強く明確に在ることが、手の資質を乗り越えた技術を可能にすると思います。

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